2018年12月30日日曜日

不安を煽るだけのTPP発効報道はやめよう

2018年12月30日にTPPが発効し、それに関する報道もされている。

TPP発効 価格下落を懸念 海外販路拡大好機の声も


但し、いつものことであるが、国内農家に対して不安を煽る内容が中心である。
長崎県内農家の多くは、農畜産物の関税の撤廃や引き下げで安い輸入品が増加し、国産価格が下落することを懸念している。一方、海外への販路拡大に向けた好機とする声も聞かれた。
もともと日本(農水省)の農政は、「日本の農業は弱い」と過度に主張することで、「弱いのだから保護するために補助金を出せ」というスタンスを崩していない。だから、とにかく「日本の農業は補助金がないと崩壊する」という言い方しかしない。

上記長崎新聞の記事も、見出しは価格下落と海外販路拡大を対等に並べているが、記事を読めば価格下落に対する不安についての内容が圧倒的である。

そもそも関税の低下による輸入増について、客観的に影響を述べる記事がマスコミに出ることはない。『科学的』には、関税の影響よりも為替レートによる影響の方が遥かに大きいのだ。

例えば為替が1ドル120円から80円に変化したとすれば、関税率が50%低下したのと同じ効果になる。実際に為替が120円から80円に変化したことはあるし、その影響で日本の畜産農家が崩壊したという事実はないのだから、関税が多少下がったとしても、急激に日本の農家が崩壊することはない。理屈上は、関税率低下に対する補助金を入れるよりは、円高に対する補助金を出す方が、実効性は高いのである。

上記記事の本文に書いてあるが、輸入牛肉の関税率は現在38.5%、豚肉の高級部位は4.3%である。為替の変化に比べると、影響は少ない。こういう客観的な事実もきちんと報道すべきだ。


次に輸出の拡大については、具体的な話が全く書いていない。これは長崎新聞が悪いのではなく、県農産物輸出協議会がきちんと話をして記事にしてもらうように努力しないといけないことである。

TPP発効に伴う輸出の拡大で具体的に何が期待できるかというと、ベトナムへの青果物の輸出である。

ベトナムは現在、青果物の輸入を原則禁止している。ここを参照頂きたい。これがTPP発効を契機に、日本からの青果物輸入を解禁させれば、日本からの輸出が大きく増えることが期待できる。

長崎県からベトナムへは、現在牛肉が輸出されている。全国の都道府県のなかでは早めに動いている方である。

こういうルートは早く作ったもの勝ちな部分がある。中国への水産物輸出がいい例で、長崎魚市がいち早く中国へのルートを作ったので、中国の輸入水産物市場では長崎県が確固とした地位を築くことができた。

もし青果物の輸入が解禁されれば、牛肉のルートを使って青果物もいち早く売り込むチャンスが生まれる。

以前の記事でも書いたが、長崎産びわは香港でも相当な量が売れている。これを東南アジア各国に広げていける可能性を、TPP発効に期待しようではないか。

例えば現在タイでは日本産びわの輸入が禁止されている。タイもTPPに参加すれば、それを契機にびわの輸入の解禁を迫ることだってできるのだ。


こうした具体的な話を、きちんと報道してもらいたい。

2018年12月11日火曜日

地域航空会社提携により上五島・小値賀航路復活へ

地域航空会社の再編に向けた協議が、一歩進んだという報道が出ている。


この話は元々、現在ANAの実質的傘下にあるORC(オリエンタルエアブリッジ)の面倒をJAL系航空会社に見てもらうために国を巻き込んで起こしたもので、連携の枠組みがすでに出来ているJAL系にとっては何のいいこともなくJAL側が反対していた、という状況だった。

それが、とりあえず九州3社(ORC、AMX(天草エアライン)、JAC(日本エアコミュータ))が業務提携するということで話がまとまったということだ。

ORCにとっては、行き詰まっていた新機種導入の目処がつけられることになり、特に長崎壱岐路線を存続させる道筋ができたので、大きな合意だ。

長崎壱岐路線を運航させるには、現状JAL系の航空会社が導入しているATR42を、ORCが現行のQ200の後継機として購入する方法しかなかった。ところがORCはこの1機だけのためにATR機の整備などを行うのは経営的に不可能であるとし、他に方法がなく故障がちの現行機の更新ができなかった。苦肉の策として現行機と同型の中古機を買うという話まで出ていた状況だった。

もしORCがATR42を導入できれば、現在定期便が運航されていない上五島や小値賀への定期便を復活させることもできる。世界遺産登録で観光客を呼び込みたい上五島や小値賀にとっても、いいことである。

ATRが開発中のATR42-600s機は800m滑走路での離発着が可能である。そのため現在800m滑走路しか持たない上五島・小値賀の両空港への就航も、この機種を導入することで可能になる。

日本には県内両空港以外にも800m滑走路をもつ所は多い。そのためATR社は、日本へのこの機種の売り込みを積極的に行っている。

ATR42-600S機は上のリンク先に書いてある通り、伊豆小笠原諸島においても使用価値がある。そちらにANA系の会社が路線を広げられれば、今回の地域航空会社提携の意味も大きいので、ANA側も熱心に話を進めるだろう。


今回の提携では、同じ便でANA系とJAL系双方のコードシェアも行うようだ。これにより、ORC運航便に乗ってもJALのポイントを貯めることが可能になり、いわゆる「修行僧」と呼ばれる乗客もORC路線に集めることができる。

「修行僧」とは、航空会社の高い会員ステイタスを得ることを目的として飛行機に乗る人である。ANAのステイタス基準は搭乗距離を基準にしたものだけだが、JALの場合は搭乗距離と搭乗回数の両方の基準がある。搭乗回数を目標にする場合は、短距離路線を一日に何往復も乗るのが効率が良く、特にステイタス基準期間末である年末の週末になると、福岡宮崎間を何往復もする人がたくさんいるような状況である。

JACの離島路線も、「修行僧」による搭乗率の底上げ効果は意外と大きい。搭乗回数を稼ぐためのツアーまであるので、ORCとJAL(JAC)のコードシェア実現は、長崎県の離島航空路の搭乗率底上げにも大きく寄与することになる。

さらに大きいのは、JAC運航便にもORCの便名を乗せられることになれば、長崎の離島路線をJACに運航してもらうことも可能になることだ。

上五島・小値賀路線は、長崎空港からより福岡空港からのほうが需要は高い。しかし、ORCは現在長崎空港を拠点にしているため、ORCが運航する場合は一度長崎から上五島や小値賀に飛び、そこから福岡に向かわないといけない。そうすると、長崎からの離島路線便の搭乗率が低く、経営的に苦労することになる。ところがJACは福岡にも拠点を置いている。

今回の提携をもとに、JACに福岡からの上五島・小値賀路線を運航してもらい、その便にORC/ANAの便名を乗せチケットを売れば、長崎空港からの機材を送り込む必要がなくなり、効率的な路線展開ができる。

新機種を導入しても、導入が1機だけだと整備期間中に運航できなくなる。AMXは飛行機を1機しか持たない会社なので、以前は整備期間には運休せざるを得なかったが、ATR導入を機にJAL系航空会社間で整備期間中の機材を融通するシステムを作ったため、現在は整備期間中でも運休する必要がなくなった。

長崎でもJACにATR42-600sを導入してもらい福岡-上五島・小値賀航路をお願いした上で、ORCも同型機を1機導入し、JACの整備期間中にはORCから貸し出せばいいのだ。


今回の事業提携を機に、行き詰まったように見えた長崎の離島路線が活性化されることを期待したい。




2018年12月6日木曜日

長崎駅前のMICE施設は競争力が高い

先日、沖縄のコンベンションセンターで開催されたイベントに参加してきた。

私は国内、海外を問わず展示会や商談会、学会などに参加する機会は多い。そのため、各地にあるMICE施設を利用しているのだが、長崎のMICE施設に関する議論を見ていると、全くMICE施設を利用しない人達が見当違いのことを言っていることが多いと感じる。

一番ひどいのは、「もう全国各地にMICE施設があるのだから、後発の長崎ではイベントを誘致できない」というもの。イベントを誘致できるかどうかに、施設が古いかどうかなんて関係ない。それを言えば、幕張メッセがあるから後発の東京ビッグサイトではイベントが誘致できない、ということになる。そんなことはない。東京モーターショーだって、幕張で開催されていたのが東京ビッグサイトに移った。イベントの開催地は施設の利便性などが重要なのであって、古いかどうかは二の次である。

逆にいえば新しい施設であれば古い施設で発生した問題点を改善したものが作れるので、さらに利用しやすいものになり、競争力が高まる。沖縄コンベンションセンターは古い(1987年完成)ので、そういう意味でも競争力が低くなっていると感じた。


私が今まで利用したコンベンション施設は、いずれも大都市に立地するものであった。今回の沖縄コンベンションセンターは、初めての地方にある施設だ。幸い現地の担当者の方ともお話しができて、地方のMICE施設に求められる機能がどういうものか、ということがよくわかり、参考になった。

結論から言えば、長崎駅前にできるMICE施設は、沖縄のコンベンションセンターと比べても、遥かに競争力は高いということがわかった。



沖縄コンベンションセンターの問題点は大きな部分で3つある。

1.空港からのアクセス
2.食事場所
3.ホテル

それぞれについて説明する。
まずアクセスから。

沖縄のコンベンションセンターは那覇市ではなく宜野湾市にある。那覇空港からバスで1時間近くかかり、これがとにかく不便。

交通アクセス

ここも当然国際イベントを開催する目的で建設された。となると、空港からのアクセスは非常に大事だ。ところが直通のリムジンバスがない。路線バスはあるが、海外からの大きなスーツケースを持ったお客さんに路線バスで来て下さいというのは、どうだろうか。イメージとしては、長崎空港から諌早の陸上競技場まで路線バスで来て下さい、というようなものだ。しかもコンベンションセンターに来るのは観光客ではない。仕事で来るのだ。まずここが大きなマイナス。

それに付随する話にもなるが、コインロッカーがない。空港から直接来た人が荷物を預けられないのだ。荷物預かり場は主催者が用意しないといけない。私が行った時も、大きなスーツケースを持ち歩いている外国人を沢山見たが、そういう配慮をイベント主催者にさせないといけないのは、施設側の問題である。


次に食事場所。
昼ご飯を食べる所がないのである。

東京ビッグサイトや幕張メッセのような、毎日何かのイベントがある所であれば、施設内にレストランが沢山あっても、各店舗の商売が成り立つ。ところがイベントが少ない地方の施設だと、常設のレストランがいくつもあると、経営的に成り立たないのだ。


施設内に唯一あるビュフェレストランは、貸し切りになっていて一般客は入れなかった。まあ、こういうのは運営側の問題になるが、せめて一部は一般客用に解放してもらいたい所だ。


そのためフードトラックが入っているのだが、サッカーの試合で来ているのならいいけど、仕事で来ていてここで食事をするのも、落ち着かない。

ちなみに置いてあるテーブルの脚に砂袋が結んであるが、ここは風が強いので、こうしないとテーブルが飛んでいってしまう。開放的な施設だと、こういう部分で使いにくい。


昼食時間帯には席が足りなくなるので、後ろの噴水のへりなどにも座って食事を取らないといけない。この写真は混雑のピークを過ぎた時間帯だったが、ピーク時には大混雑であった。


後方の真ん中にビルが見えるが、施設を出て食事を取れる場所は一番近くてもここ。見知らぬ土地で昼食時間にここまで行こうというのは、なかなか厳しい。会場では弁当も大量に配られていたが、ゆっくり食事を取りたいと思う人には、厳しい環境だ。


最後にホテル。とにかく近くにホテルがない。一番近い所にあるのはリゾートホテル。いわゆるビジネスホテルは全くない。


コンベンション施設を利用するのは金持ちだけではない。特に大規模な展示会だと、普通のサラリーマンが多数だ。となると、すぐ近くにビジネスホテルが欲しい。

幕張メッセも近くにオータニやプリンスホテルという国内では高級のホテルが立地したのだが、今やプリンスホテルはアパホテルに売却されて、ディズニーランドに向かう外国人客を沢山集めているような状況になっている。東京ビッグサイトの目の前には、最初からビジネスホテルしか建設されていない。という例を見ても、MICE施設の近くにはビジネスホテルがないと、利用者には不便なのだ。


このような問題は、長崎駅前にできるMICE施設は全てクリアしている。長崎のMICE施設に関する議論では、こういう部分も考慮されるべきである。


2018年12月3日月曜日

長崎空港国際線に対する有効な補助金の使い方

前回の続き

長崎空港の国際線利用者を増やすには、その便利さを県民に知ってもらわないといけない。ソウル便の場合、ソウル発が早すぎて、ソウルに宿泊した人が利用するのは苦痛でしかない。補助金を出して利用してもらっても、2度と利用しないと思われる危険性が高く逆効果でしかない、という話を書いた。

批判するだけでは生産性がない。ではどうしたらいいのか、ということを、本稿では述べる。


ソウル便はソウル発が早すぎて、宿泊先から空港に向かうのには厳しいが、ソウル早朝着便であれば逆に利用しやすい、ということを前回書いた。

具体的にはどういう便があるのか。アシアナ航空のHPで検索した結果を以下に示す。

-->
行先 長崎発 ソウル着 ソウル発 現地着
シンガポール 10:15 11:45 16:20 21:55
バンコク 18:20 22:15
香港 15:55 18:55
サンフランシスコ 18:00 11:25
ロサンゼルス 14:40 8:40


-->
行先 現地発 ソウル着 ソウル発 長崎着
シンガポール 23:10 6:35 7:55 9:15
バンコク 23:10 6:35
香港 1:00 5:30
サンフランシスコ 23:30 5:30
ロサンゼルス 23:00 5:20
表が乱れている点はご容赦下さい。うまく行きません(苦笑)。

こうして行き先を示されたら、ソウルに向かう人以外にも乗客を集められそうな気がしないだろうか。特にロサンゼルスは結構いい時間帯になっていると思う。

帰りはみんな深夜便になる。深夜便は最終日まで現地で有効に時間を使うことができるし、帰ってきた日もそのまま仕事に行ってもいいし、ゆっくり休んでもいいが、現地での宿泊を減らせるのでホテル代を節約できるというメリットがある。

行きは確かにソウルでの乗り継ぎ時間が結構あるが、仁川空港は空港内でも時間が潰せるし、一旦入国して短時間の無料観光ツアーに参加してもいい。そこを考えても、長崎から福岡空港まで行って現地に向かうよりは、長崎空港からソウル乗り継ぎで行く方が快適である。

こうしたプランを県内の旅行会社で大々的に売り出せば、それなりの利用者は集まるのではないだろうか。前回リンクを張った記事にあるように、ソウル便の補助金利用申請者が5人、というのよりは、多く集まるはずだ。


続いて補助金の使い方だが、旅行代金5千円割引よりは、空港駐車場無料、のほうが効果は高いと思われる。

前回の記事にもあるように、長崎県内から福岡空港まで車で行って国際線を利用する人も多い。私も時々、福岡空港の国際線駐車場を利用する。ここは24時間1000円なので、5日で5000円かかる。まさに補助金相応の金額だ。

長崎空港駐車場の利用料割引に補助金の5000円を使えば、福岡空港の駐車場よりもっと長い日数分に充てることができる。長崎空港の駐車場であれば、県の補助金利用のためなら駐車料金の値引きも可能だろう。東南アジア方面へ行く人の駐車場利用は3〜4日だろうから、北米行きの人にはもっと長く使わせてあげてもいい。上限15日とかにしても、現在の旅行代金5000円引きよりは同じ補助金総額で多くの人に利用してもらえるのではないだろうか。


県の施策は申し訳ないが実際に旅行をする人の気持ちを考えているとは思えない。できれば私のような案も検討して、長崎空港の国際線利用者をもっと増やせることを願っている。

2018年12月2日日曜日

長崎ソウル便の利用補助金は税金の無駄遣いだ

ちょっと古い話だが、長崎空港発着の国際線利用者に補助金が出るが、特にソウル便の利用者が少ないというニュースが出ていた。

長崎就航2年 ソウル便 伸びぬ邦人客

私もソウルに用があることは無いのだが、トランジットで使えるかもしれないということで一度利用したいと思っていた。

今日、この便に乗ってみたので、その感想を書く。


参考までに、上の記事で重要な部分を引用しておく。
県などでつくる県空港活性化推進協議会と日本旅行業協会(JATA)長崎支部などは長崎-ソウル線、長崎-上海線の旅行商品の代金を先着200人を対象に5千円値引きするキャンペーンを10月27日から11月末まで展開中。ただ、8日時点で長崎-ソウル線の商品に申し込んだのは4人だけ。同室は「ぜひとも利用してほしい」と呼び掛けている。
本稿はこの値引きキャンペーンが無駄なお金だ、と言いたいのだ。


最初にこういう補助金にはどんな効果があるのかを考えてみる。

今回のような一時的な補助金は、一度利用して利用者に良さを知ってもらい、次回以降は自費で使うことにより、価値が生まれる。そう、自腹を切ってでも使おうという気持ちを持ってもらえないのなら、補助金は全くの無駄になるのだ。

補助金が出て安いから利用しよう、安くないのなら使わない、というケースもありうる。その場合は永続的に補助金を出し続けないといけないのだが、果たして補助金を出してまで路線維持をするメリットがあるのか、という別の価値判断が必要になる。今回のケースは違うので、その議論はしない。


なぜソウル便の日本人利用者が少ないのか。長崎から韓国への旅行客が多くないということもあるが、この便の最大の問題点はソウル発の時間が早すぎることだ。引用した記事中にも触れられているが、ソウル発は朝7時55分。空港に2時間前に着く必要があるので、6時頃には空港に着かないといけない。エアソウルはLCCなので時間には厳しいため、ここは絶対条件になる。市内のホテルから空港まで1時間程度かかるので、ホテル発は朝5時だ。そうすると、何時に起きないといけないのか。

入国審査の時に近くにいた旅行客のご婦人と話をしてみると、やはり4時起き5時出発ということだった。

私もホテルを5時前に出たが、これは避けたい。多分タダででも一度この行程を経験すると、もう行きたくないと思うだろう。つまり、補助金の目的を全く果たせておらず、逆効果にしかならない、ということだ。


このソウル便が全く使えないということでもない。ソウル仁川空港はいわゆるハブ空港であるため、ソウルで乗り継いで他の国に行き来する時には使えるのではないかと思う。朝が早いといっても、早朝にソウル着の便から乗り換えるのなら、ちょうどいい時間になることもある。

乗り継ぎで使うと言っても、宿泊を伴う場合はきついな、というのが今回の印象だ。まさに早朝着便限定でしか使えないだろう。トランジット利用で宿泊が必要になることは多々ある。成田空港近くにホテルが沢山あるのも、乗り継ぎ利用者が宿泊するためのものだ。余談になるが、羽田空港が国際化される前も、成田の方がソウル仁川より遥かに多くの人に乗り継ぎ利用されていた。また長崎から海外旅行をする場合に成田で前後泊することはは珍しくなかった。そういう利用者が成田ではなくソウルを使う、というのは、ちょっと勘弁、という気がする。


そうして最後にダメ押しだったのが、長崎空港での税関検査である。

私はこの数年、月1回平均位で日本に入国している。そして、今まで一度も税関で荷物を開けろと言われたことはなかった。

ところが今日初めて荷物を開けさせられ、金属探知器にも通させられたのだ。

出入国で時間がかかるというのは、その空港の利用をためらう大きな理由になる。例えば今回の仁川空港では、空港に着いてから出国審査が終わるまでに1時間近くかかった。これではトランジットで使う気になれない。

帰国時に入国審査でどれだけの時間がかかるかというのは、家に帰る時間が違ってくるので、できれば早く終えたい。

福岡空港で仮に審査が長引いて、長崎に戻る高速バス『九州号』が1本遅くなると、家に着くのが1時間遅くなったりする。タイミング次第で、入国審査の1分2分が命取りになることがあるのだ。飛行機の遅れで家に帰るのが遅くなるのは仕方がないとあきらめがつくが、税関でつまらないことに時間を取られて遅くなるのは、非常に不愉快だ。

福岡空港の場合、日本人だとすんなり通過できることが多いので、ここでストレスを感じることはない。しかし今日は長崎空港で時間を取られて、危うくリムジンバスを1本逃す所だった。1本逃すと30分遅くなったりすることもある。幸い出発間際のバスに乗れて、実害はなかったが。


長崎空港発着の国際線を利用しようと思うためには、いろんな要素がある。値段だけではなく、出入国手続きの手間や航空会社の快適性などである。

私も一度だけシンガポールに行く際に、長崎発着上海乗り継ぎを利用したことがある。結論としては、もう使いたくない、という印象を持った。

その理由は、中国東方航空のサービスレベルが低いこと、乗り継ぎの上海浦東空港が快適に過ごせないことなどである。

もちろんメリットもあって、値段が安いこと、時間帯がいいこと、長崎空港での出入国がスムーズに行くことが挙げられる。

実際には福岡空港からキャセイパシフィック航空を使って香港経由で行くことが多い。それはキャセイパシフィック・キャセイドラゴン航空のサービスレベルに満足できていること、香港空港でのトランジット時間を快適に過ごせること、香港で乗り継ぎのために1泊することもあるが、宿泊地としての香港の魅力が高いことなどが挙げられる。

上海乗り継ぎだけでなくソウル乗り継ぎでも条件を比較してみたい。長崎ソウル線に就航しているエアソウルはアシアナ航空とコードシェアを行っており、ソウルから先はアシアナ航空を利用することになる。アシアナ航空には乗ったことがないが、多分サービスレベルには満足できると思う。しかしソウルに宿泊地としての魅力を私は感じない。

最初のテーマに戻ると、ある路線を利用するには値段以外のいくつかの要因があるので、補助金を出して値段のメリットを出した所で、他のデメリットを打ち消せなければ、補助金の効果はないということになる。

そして長崎空港の税関の問題。これも長崎空港国際線利用のメリットを見事に打ち消してくれた。もちろん金の密輸が多発しており、地方空港が狙われているから厳しく検査しないといけないのはわかる。しかしそれが原因で福岡空港を使った方がいいと思われるのでは、元も子もない。税関検査が原因でその空港が避けられることがあるというのは、フランクフルト空港が実証しているので、長崎空港はそうなって欲しくない。

もちろん長崎空港の審査を緩くして欲しいと言うつもりは毛頭ない。福岡空港と同程度になればいいだけである。ちなみに、長崎空港は長崎税関の、福岡空港(対馬の厳原・比田勝も)は門司税関の管轄になる。

税関の立場からすると、地方空港が密輸で狙われるのであれば、わざわざ地方に職員を配置してコストをかけるよりは、極力地方空港を使わせないようにして拠点空港に利用客を集めた方が効率的だということにはなる。

私は今までどこの税関でも荷物を開けろと言われたことがないのだから、税関職員から見て私が怪しい人間でないのは間違いないはずだ。長崎だけ厳しいというのは長崎空港を避けたいという理由になってしまったので、その辺は職務遂行にあたって税関側も考えて頂きたい。

2018年9月19日水曜日

長崎市は長崎駅南口設置に反対

今日は長崎市議会の都市整備・交通対策特別委員会が開催され、長崎電気軌道と九州旅客鉄道(JR九州)から担当者を招いて意見交換が行われた。

昨日の県議会傍聴に続き今日も傍聴し、県と市の新駅に対する考え方がわかった。

まず私が主張している、新長崎駅から現長崎駅前電停まで市営で低床電車を走らせ、長崎電気軌道に運営を委託するという案だが、長崎電気軌道からは難しいという回答があった。まあ、今の電鉄を取り巻く環境を考えると、運営受託だけでも厳しいのかな、という気にはなった。


最大の問題点である南口開設に対するJR側の意見だが、改札口は一ヶ所しか作らないということは明言された。

但し、県から南口開設に関する打診は受けているということで、例えば県が費用を負担することになっても開設できないのかという質問に対しては、正式に依頼がないと答えられないということであった。

そして市がどう考えているかだが、市は東口を交通結節点として利用したいため、南口の開設には反対、ということだった。

昨日の記事にも書いたが、県は南口改札を作りたいが、市の計画では南口に人を流したくない、ということなので、県はこれ以上強く意見を言えない、という状況のようである。まちづくりに関する計画策定は、当然市によるものが優先されるし、県が口を出すべきことではない。


実は参考人が帰った後の、議員と市職員との質疑応答が紛糾した。「なぜ南口を作れない」「高架で導線を作っておかないと、この付近はよく水没するから防災面でも必要だ」と市議側が主張しても、「南口に人が出ても不便だ」「浸水しても排水能力は高めているので、すぐ排水できる。水が引くまでの間は高い所(現実プラットホームしかない)で待っていればいい」という市からの回答、ということが繰り返された。

今の長崎駅周辺の最大の問題点は、駅前の国道202号線が渋滞するということである。となると、当然駅が移転した時には、西口や南口に交通量を分散させ、202号線の交通量を減らすことを考えるべきだ。ここの交通量が減れば、電停への平面横断が可能になったり、サイドリザベーション方式(電停を現在の高架広場付近に移して、歩行者が電停に行きやすくする。熊本や鹿児島で採用)を取ることもできる。サイドリザベーション方式が現状否定されているのも、電車が道路中央から端に横断するための、信号の時間を確保できないことが主要な理由である。電鉄側は電車の通行時間が確保されたサイドリザベーションなら大歓迎だ、という雰囲気だった。

にも関わらず、市は現在の計画をそのまま無修正で通したいようで、以前の記事で書いたように、「西通り線に負荷がかからないように誘導する」、すなわち東口、202号線側に車両を誘導する、ということである。


今日で長崎県、長崎市、JR九州の話を全て聞いたことになる。市が東口の混雑緩和、南口開設に方針転換すれば、あとはすんなり進むんじゃないか、という気はする。

2018年9月18日火曜日

新長崎駅南口設置の可能性はある

本日の県議会(2018年9月17日)で、前田哲也議員と浅田眞澄美議員から、新長崎駅周辺の開発事業について質問があった。それを傍聴した感じだと、南口設置の可能性はあるんじゃないか、という印象を持った。

状況を整理すると、基本的に駅周辺の区画整理事業は長崎市の事業であるが、駅の南側の道路は県道であり、その南の県庁舎は当然県の持ち物なので、これらの部分に関しては県が開発することになる。また、在来線の連続立体化工事は県の事業である。県の事業の部分について、今日県議から県側に質問があった。

区画整理事業の概要に関しては、過去の記事を見て頂きたい。いやいや最初の記事は2010年10月だよ。結構昔から言ってるよねぇ。私としては、ずっと訴え続けていたことが市議会だけでなく県議会でも取り上げてもらえて、とても嬉しかった。


さて、今日の話。とりあえず私なりに重要だと思っている部分は2点。アミュプラザ裏側の側道部分に、アミュと県庁舎を結ぶペデストリアンデッキを作ることと、長崎駅の県庁側に改札口を作ることである。

まずペデストリアンデッキ。県も重要度はわかっているという答弁。ただ、アミュプラザ拡張の設計がわからないので、設計が終わってから検討する、ということだった。それでは遅いよ。アミュの計画が決まる前に県とJRが話し合って導線の設計を決めなきゃだめでしょ、という、前田県議から当然の指摘があった。

そして改札口。知事から「改札を作るなら運営費用は県が負担するようにJRが言っている」という答弁。但し「県は負担できない」とは言わなかった。じゃ、負担する可能性もあるんですね?

私が主張しているのは、新幹線は後にして、在来線が先に出来るんだしその部分は県の事業なんだから、在来線だけでも簡易な改札口を県が用意して、費用も県が持てばいいんじゃないか、ということ。

例えばこんなの。


これは現川駅。ICカードリーダーが立っているだけ。
これを新長崎駅在来線の県庁側の端に作ればいい。最初は県庁通用口という形でICカード専用改札口にして(もちろん県職員以外でも利用できる)、通勤時間帯だけ開けるようにしてもいい。県庁舎で雇っている警備員をローテーションで配置して、ICカードを持たない人が来たら1階改札口に誘導する。その位の人件費なら県も負担できるだろう。

それで人の流れが見えた時点で、新幹線の改札口をどうするか考えればいい。

ちなみに、今日も中村知事から「頭端式の駅だから」というような表現があった。知事にやる気があることだけは、間違いない。

改札口についても、浅田議員から「県が負担してでも作ると言って下さい」と催促されたが、県側は「市が作る計画を立てないから」云々という返事だった。とりあえず区画整理事業は市が主体だから、市が「是非南口を作って下さい」と県にお願いしないと、難しい雰囲気である。


とはいえ、県側にペデストリアンデッキと改札口を作る気はある、ということがわかったことは、大きな収穫だ。

2018年9月4日火曜日

旭大橋横の、国道から県庁舎までの側道は歩車分離にしよう

前回の記事を書いた後に、何人かの人とこの話題について話をした。

駅周辺の問題に関わるようになって思うのは、いろんな人と話をすると、いろんなアイデアが出てくるということである。個人の発想や能力には限界があるので、話をするというのは重要なことだということを再認識させられている。

このブログで書いている内容が、ほんの一部でも実現されれば、本当に素晴らしいことだと思う。また、このブログに書いていることは、私1人のアイデアではない。いろんな人が出したアイデアを、私がまとめて書いているだけだ。

それで前回(というかこれまで全体)の補足なのだが、そもそも「トランジットモール」って何なの?ということを書いておく。

言葉ではわかりにくいから、写真を見てもらいたい。
私がフランスのニースで撮ってきたものである。

商店街の中を路面電車が走っている。線路の上を普通に人が歩いている。


これは上の写真の先の区間。広場の中を路面電車が走っている。

上と同様。この区間のすごい所は、架線がないこと。ここだけバッテリーで走る。


新長崎駅の改札口と現電停の間も、こうして歩行者と路面電車だけが走るようにすればいい、というのが私の案である。

ついでなので、富山駅の写真も。

新幹線の改札口。後ろを振り返ると、

正面に路面電車のホームが。雨が降っても濡れずに乗り換えができる。

新幹線の高架下に、路面電車が入っていきます。

市議会議員の方々も視察に行っているので、富山駅の現状を見ると、長崎でも実現したくなるのが自然な感覚だろう。


それから今回のタイトルに関する話に移る。

現在のアミュプラザ裏の旭大橋側道部分にペデストリアンデッキを作って、国道202号線から県庁までの導線を高架にして完全歩車分離を実現させれば、地上部分の歩道は狭くしても問題ないのではないだろうか。その分車線を増やせる。

この部分については先日の市議会特別委員会でも大きな話題になった。今でもアミュプラザ駐車場入口が混雑しているのに、駅が移転すれば今以上に大渋滞になるのは明白だから、拡張して欲しい、という意見が委員の議員から出た。それに対し市は「道路幅が狭いから難しい」という答弁だった。実はこの部分は県道なので、市が打てる対策は限られているのだ。

側道を広げる土地はアミュプラザ側にあると思えるが、あの部分は駅ビルへの搬入口が必要で、ある程度の車道なり導入路は必要になる。そこまで考えると、土地が狭いことに違いはない。

となると、もう完全歩車分離にしてしまって、地上部分は人が歩かないようにすればいいのではないか、という案が浮かんだ。

この辺は法的な条件がわからないので何とも言えないが、浸水時に県庁舎までの高架の導線が確保されることは非常に重要なので、県側に早めの対策を打って欲しい所である。

2018年8月29日水曜日

車での新長崎駅乗降は西口活用に誘導すべき

今日の長崎新聞に、昨日行われた長崎市議会特別委員会での話題が取り上げられていた。

リンクは無し。内容を一部引用する。

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「動く歩道」市が検討


・長崎市は28日の市議会都市整備・交通対策特別委員会で、新駅舎から東側の国道手前まで200メートルの区間に電動の「動く歩道」など歩行者支援施設を設置する方向で検討していることを明らかにした。

・複数の委員が賛同した一方で、新駅舎と国道の電停を結ぶ方策として「低床電車を入れてピストン輸送してはどうか」との意見も出た。
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私的には後半部分の引用内容が重要であるが、それはさておき。

私は当日傍聴し、資料も頂いた。以前からこの事業に関する問題点をブログで指摘してきたが、今回の資料を見る限り、いい方向に進み始めたのではないかと感じた。

長崎駅周辺土地区画整理事業は大丈夫なの?


特に上の記事で取り上げた話題について改善が見られた。多分、市と県の協議が進んで、県職員からの助言があったのではないかと思う。

以前の計画は、これ。

長崎市のHPより引用)

それが、こうなった。
(当日配布された資料より)

微妙に変わっているが、何が一番違うかといえば、東口ロータリーへの入口道路。
これがNHK前に統一されて、国道202号線現駅前電停付近の流れが格段に良くなっている。

それでも八千代町方面から駅に入る右折レーンが混むのではないか、という懸念が強く、委員の市議からも沢山意見が出た。

右折車を減らすにはどうすればいいのか。答えは簡単。左折で駅に入るように誘導すればいいのだ。つまり、北側から駅に来る車は、西口を使うように誘導すれば一気に問題解決なのである。さらに、現駅前の交通量を減らすことができ、現電停への平面横断が可能になる。八千代町電停が平面横断可能なのだから、交通量が減って大きな交差点もなくなる現駅前電停北側に、横断歩道を作れない理由はないのだ。

ちなみに、新しい方の計画図を見てもらうとわかるが、現駅前電停北側の歩道橋には、歩道2ヶ所、電停2ヶ所の計4ヶ所にエレベーターが設置されることになっている。平面横断ができれば、この4ヶ所のエレベーターの建設費や維持費が不要になる。


ところが市のまちづくり部長の答弁によると、「西通り線の道路幅が狭い」ために、「西通り線に負荷がかからないように誘導する」のだそうだ。私が今書いた話とは真逆になる。

さすがにこの答弁には、議員の方々もあきれていた様子。そこまでして当初計画を変えたくないんでしょうかね。

また気付いていない人も多いが、この計画が一気に完成する訳ではない。まず先に在来線の高架化が完成し、在来線の移設が終わってから工事をして新幹線駅が完成する。つまり在来線が高架化されてしばらくの間は、駅の利用者全員が西口を利用することになる。東口はその間工事中なのだ。

そしてこれはあくまで私感だが、東口より西口のほうが、タクシーや自家用車で駅を使う人にとっては使いやすい。一度便利な西口を使って、その後東口を利用して下さいって誘導した所で、どこまで東口に移るのやら。部長の言う通りに、事が進むとは到底思えない。


それから新聞記事にもなっている歩行者支援施設。

私は以前から路面電車乗り入れを主張しているし、昨日の委員会でもその提案はあった。市が市の予算で軌道を引き車両を買って、運営だけを長崎電気軌道に委託すればいいのだ。この路線を新駅舎の改札前から現電停まで市営にすれば、運賃が取れるから維持費も捻出できる。そもそも動く歩道案がなくなったのも、維持費がかかりすぎることが理由の1つだった。そりゃ、あの辺は大雨で頻繁に水没するから、水没する前提で維持費の計算をしないといけませんからね。

ところで地図を見てもらえばわかるが、現電停から新駅舎まではかなりの距離があるが、実は現アミュプラザの建物がその半分位の距離まであり、今でも現電停からロイヤルホスト横までは2階部分で歩道橋がつながっている。残り半分の距離にJR九州が建物を作るそうだから、その中にJR九州の負担で動く歩道を作ればいいのだ。

駅にある動く歩道といえば、大阪の阪急梅田駅が有名である。梅田駅の改札から阪急百貨店までの間に、阪急電鉄が動く歩道を設置している。JR九州も同じこと。長崎駅の改札口からアミュプラザまでの間に、自費で動く歩道を作ればいい。それ位は市がJRに要求しても、決して過大な要求だとは思えない。

但し大きな違いとして、阪急電鉄は阪急電車を利用して阪急百貨店に来ることを期待しているが、JR九州の場合、車で来て駐車場に車を止めてアミュプラザに来てもらうことを前提にしている。JR九州は不動産会社なので、自社の鉄道に乗ってもらうことよりも、駐車場収入の方を遥かに重要視しているということが(鉄道利用者には博多のアミュプラザを利用することを期待している)、阪急梅田の事情と大きく異なっているのが残念なことである。

2018年8月7日火曜日

長崎県内の並行在来線第三セクター化で佐賀県内は在来線非分離を確約させよ

フリーゲージトレインの開発断念で、長崎新幹線の佐賀県内部分をどうするか、という問題の解決策が求められている。

佐賀県知事に協力要請 与党検討委、整備方式巡り


国は全線フル規格かミニ新幹線方式のどちらかにしたい意向だが、いずれにせよ佐賀県が負担を嫌い、解決策の提案を待つ状況である。

私は全線フルを求める立場であり、同時に佐賀県は追加負担ゼロにすべきだと考える。そのためには、武雄温泉新鳥栖間はノンストップにするしかないと思っている。

佐賀県側がもう1つ問題にしているのが、仮に全線フルになれば並行在来線分離問題が出る、ということだ。佐賀県内の在来線が第三セクター化させられるのではないか、という懸念である。

この懸念を払拭させるためにも、私は以前にもここに書いた、長崎県内のJR路線を第三セクター化させて、そのかわりに佐賀県内はJRが直営にするという約束をJR九州に求める、という方法を取るべきだ。ちなみに、肥前山口諌早間は20年間JR九州が運営することで合意済みだ。

そもそも、今のJR九州に長崎県内の在来線を運営させて大丈夫なのか、ということは、長崎県側が真剣に考えないといけない問題なのである。ハウステンボスにカジノを含むIR施設が建設されることになると、今以上に長崎とハウステンボス・佐世保を結ぶ路線の重要性は高くなるし、福岡からハウステンボスまでの輸送も考える必要がある。このままJR九州が大村線を運営すると、車両は全部ロングシートのワンマン運転で、本数も区間快速が1時間おきで、諌早で長時間停車をして使い物にならない、とうい状況になるのが目に見えているのだ。

ここは県内在来線を第三セクター化し、ハウステンボスやIR事業者にも鉄道運営に参加してもらう方が、遥かに乗客本位になり、ハウステンボスや長崎の観光客誘致に役立つ。

佐世保線の第三セクター化については、新幹線接続路線まで長崎県第三セクター会社が運営した方がいいので、武雄温泉以西は全部長崎県の第三セクターへ移行する方が都合がいい。但し、これに関しては佐賀県・武雄市・有田町の意向をふまえて決める必要があろう。

新幹線問題に関しては、とにかく佐賀県がのめる案を提示する必要がある。長崎県も国にお願いするだけではなく、自ら案を提示する姿勢が求めらるのだ。

2018年8月2日木曜日

鹿児島銀行主導で長崎県に新銀行の設立を

私は十八銀行とふくおかフィナンシャルグループの統合には反対であった。
理由はここここここに書いたので繰り返さない。

今の雰囲気だと、どうやら統合が認められるようである。となると、統合されても上に書いたデメリットがなくなる方策を考えたい。

最大の解決策は、長崎県内に本店を置く新銀行を設立することだ。それをやるとすれば、山口フィナンシャルグループ(YFG)か九州フィナンシャルグループ(KFG)しかない。YFGは傘下の北九州銀行が、KFGは傘下の肥後銀行が、それぞれ長崎県内に支店を持っている。

ここで気になるニュースが目に入った。何と、KFGの鹿児島銀行が十八銀行の債権を「全件引き受ける」と言うのだ。県内に支店がないにも関わらず。

鹿児島銀も「全件」


佐賀銀行が全件引き受けると言うのは、わかる。隣県だし、長崎県内に支店もある。しかし、何故鹿児島銀行なのか。支店もないし、同グループの肥後銀行が長崎県内での営業を強めている状況なのに。

これは多分、肥後銀行の煮えきれない姿勢に鹿児島銀行側が我慢できず、「ならうちが乗り出す」、ということになったのではないだろうか。

私も肥後銀行と付きあいがあるから、雰囲気はわかる。とにかく肥後銀行の行員は反応が悪い。行員のレベルでいえば、十八未満、親和並み、という感じだ。これだと普段から鹿児島銀行の行員は肥後銀行に対して、いらだちを募らせていてもおかしくないと思う。

ならばいっそのこと、鹿児島銀行主導で長崎に新銀行を設立すれば話は早い。

この状況で新銀行を設立すれば、優秀な行員を十八親和両方から引き抜くことができるし、支店の場所も両行の支店が統合した場所の一方を居抜きで取れる。融資だって十八親和の「借り換えサポート」を使って簡単に増やせる。こんなにおいしい話はない。

十八親和両行とも統合すれば人が余る。支店も減る。支店長の数も減る。だったら新銀行が「支店長募集」と声をかければ、簡単に優秀な人間を十八親和から引き抜くことができる。そこから先は芋づる的に人は抜ける。

かつて福岡銀行の行員から、「親和銀行の行員と同じ給料にはされたくない」という話を聞いたことがある。まあそりゃそうでしょう。福銀から見ると、あんな無能な親和の連中と同じ給料じゃ馬鹿馬鹿しくてやってられないだろう。だからこそ銀行同士は合併せず給与体系も別にしていて、福岡銀行の長崎支店だって閉鎖されずに残っているのだと推測できる。

ということは、鹿銀が長崎に設立する新銀行も、給料を高くすればいい。当然、それに見合う人材だけを十八親和から引き抜けばいいのだ。元十八の行員が新銀行に入って、かつての顧客を回って「借り換えサポートでうちに移して下さい」とお願いすればいいのだ。営業店の窓口もあまり作る必要はないので人件費もかからないのだから、給料は高くしても何の問題もない。

そして「県内銀行だ」ということで、長崎県や県内市町の指定金融機関も取りにいけばいい。山口銀行が北九州銀行を設立したのは、北九州市の指定金融機関になるためだという理由が大きかった。十八親和の合併で県内の仕事を競争無しに取ろう、なんて安易な考えを通してはいけない。

これでKFGが肥後、鹿児島、長崎新銀行の3行になれば、鹿児島側が2対1になって、グループ内での発言力も強まるし、いいことづくめだ。

もし鹿児島銀行の関係者がここを読んでいらっしゃれば、是非検討願いたい。
ちなみに、私の会社も借り換えサポートで、鹿児島銀行への借り換えをお願いします。鹿児島には何の縁もなく、現在肥後銀行から融資を受けていますが。それ位期待しています。

2018年7月28日土曜日

MICE施設建設を止めたいなら松藤グループを説得すべき

長崎市のMICE施設建設に関わる議論を、もう一度整理したい。

こことかここの話の続きになる。
内容を大ざっぱに言えば、「MICE施設は公設民営であり、赤字が出るのであればそれは民間がかぶるのであるから、赤字になるからと言って市に建設反対を訴えるのは筋が違う」ということだ。

私は基本的にMICE施設の建設には賛成であり、それは需要があると思っていることと、手を上げる民間企業がいる以上は採算も合うはずだと考えたからだ。

しかし、そうは言っても採算性に疑問がありそうで、その理由としては一者入札だったことが挙げられる。実は池田市議の調査により、事業計画に書かれた採算性の計算が相当怪しいということも、市議会の委員会で明らかにされたのだ。

では赤字になるのなら、それを誰がかぶるのか。反対派は市がかぶることになると言うが、赤字になったからといっていきなり市が補填するはずはない。民間が赤字をかぶって、ほんとうにどうしようもなくなってからしか、行政は手を出さない。

伊王島のリゾート施設のことを思い出して欲しい。結果的に市が施設を買い上げて、今は運営がうまく行ったから施設まるごと民間に売却した、という経緯になる。

ここに大きな流れが書いてある。

では、伊王島の開発をした民間企業は無傷で済んだのか。そんなことはない。あの失敗のお陰で松早グループは大きな資産を失ったる。今の若い人は「マツハヤって何ですか?」と言うだろうが、40代以上の長崎人でマツハヤグループを知らない人はいない。

ここを参照して欲しい。以前、長崎新聞にマツハヤグループの記事が掲載されていたのを読んだ覚えもある。「松早の創始者は手堅い人だったが、息子が銀行に躍らされて資産を潰した」、みたいな話だった。

ではMICE施設が失敗したら、どうなるのか。誰が損をかぶるのか。九電工などのよそ者は、危なくなった所で手を引くだろう。それは目に見えている。残る地元企業は誰か。松藤グループである。常識的に考えて、松藤グループがマツハヤのように実質解体される状況にならないと、市はMICEの後始末に手を出さない。もちろん、その状況になった時の市長が誰なのかにもよるが。

つまり、「事業がうまく行かないからMICE反対」を言うのであれば、それは市に言うのではなく、松藤に言わないといけないことなのだ。市の姿勢として、「応募する民間企業がいる以上は、そこに任せる」というのが正論であるし筋である。だから、「松藤さん、このまま行けばマツハヤの二の舞いになって資産を潰しますよ。MICEからは降りた方がいいです。」と、優しい人は松藤章吾氏を諭してあげればいいのです。

松藤章吾氏は私と同じ歳でよく頑張っていると、つねづね思っている。私はMICEは必要だと思っているから何も言う気はないが、絶対失敗すると考える人は、是非松藤氏を諭してあげて下さい。

2018年6月19日火曜日

福岡銀行は「借り換えサポート」を使って融資先の選別を行う

十八銀行の統合問題で、最近福岡銀行側からの発言が多く出るようになっている。

十八銀との経営統合 借り換え調査「来月初めまでに」、ふくおかFG社長が見通し

最初の頃は十八銀行側からの発言しかなかったのが、公取委の経営統合を許可しない姿勢が強くなって、福岡銀行側があせり始めたのだろうか。

福岡銀行側の狙いは、長崎県全域を自分の支配下に置いて稼ぐことであり、経営統合が認められないと、おいしい話がなくなるので、是非とも認めさせたいのだろう。当然、福銀が長崎の企業の発展なんか考えているはずはない。自分の利益のために合併したいのだ。

私は最初から一貫してこの経営統合に反対している。その大きな理由は合併で銀行間の競争がなくなることも当然だが、長崎から地元資本の地銀がなくなって、長崎の企業が福岡の銀行の支配下に置かれることによる弊害が大きいと思うからだ。

もし十八銀行・親和銀行が「借り換えサポート」を行うことによりシェアを下げるとすれば、銀行から見て「おいしくない」融資先を他行に譲ろうとするのは目に見えている。十八銀行にそのつもりはなくても、福銀は確実にそうする。


ところで私の会社がどこの銀行から融資を受けられているのか、ここでまとめておく。

・融資してくれる銀行
 十八、肥後、北九州
・融資してくれない銀行
 福岡、親和、長崎、メガバンク3行

私は、この統合問題のゴタゴタに乗じて県内で営業攻勢をかけている肥後・北九州両行から融資を受けることで、十八銀行と競争させて金利を低めにさせるようにしているが、そもそも融資してくれない銀行ばかりになると、競争に持ち込むことができない。

ちなみに、何故私の会社に融資してくれないか、と言えば、私の会社は資産を持っていないので、信用力が低いためだ。その辺の話はここに書いた。もちろん会社の信用力が低くても、社長が資産を持っていれば貸してくれるのだが、今の時代に社長の資産を担保にして会社に融資する、なんてことをやるのは、おかしな話だ。おかしな話なのだが、福岡銀行や親和銀行は今でもそれをやっている。私が福岡銀行から融資を受けなくなったのも、社長の個人資産を会社の担保から外してくれなかったためであり、親和銀行から新たな融資を受けていないのも、融資の相談をした時に社長の個人資産を教えてくれと親和銀行の担当者から言われたからである。これが問題発言なら、いつでも私から金融庁に直接話をしますよ。

十八銀行が福銀傘下に入るとどうなるか。融資基準が福銀と同じになれば、私の会社には貸すな、という指示が出るはずだ。実際に、従来は融資を受けられていた親和銀行からは、融資基準が福銀と一緒になったとかで、新規の融資は受けられなくなった。もちろん、融資をいきなり引き上げられたら会社が潰れるから、露骨なことはしないだろう。但し、親和銀行が経営危機に陥った時には、容赦なく融資を引き上げて会社を潰しまくっていた。私もその時代に親和銀行から融資を受けていたので状況はよくわかっている。

ここで「借り換えサポート」というシステムがあれば、どうなるか。十八銀行側から「このままの条件では融資を継続できません。担保を入れるなり金利の引き上げを了承してください。あるいは「借り換えサポート」をしますので、他行から借りて下さい。」と言う(福銀に言わされる)のは目に見えている。

こうして、福岡銀行は自分にとって都合の悪い企業を他行に押し付けることが出来るのだ。

とにかく、こんなに筋の悪い経営統合は認めるべきでないし、長崎の財界や行政まで統合賛成というのは、どういう考えからなのか、きちんと説明して欲しいと思う。


2018年6月6日水曜日

市議会のジャパネット参考人招致は「きちんとした」意見聴取を

長崎新聞に、市議会がMICE施設整備に関して、幸町での施設整備を予定しているジャパネットホールディングスの参考人招致をする方向で検討しているという話が出ている。

市議会MICE施設予算審議 ジャパネット側招致へ アリーナ計画と重複懸念


MICE施設に関する記事は前々回前回の2回にわたって書いたが、おさらいを含めて、市議会には「きちんとした」意見聴取をして欲しいという話を書きたい。もちろん、以下に書く内容は、市議会の関係者に向けたものではなく、MICEに関する議論がおかしくなっている市民向けになる。

まずMICE施設は公設民営である、ということについて、再度念押ししておく。採算が取れるかどうかは市が決めることではなく、応札する民間企業が判断することだ。儲かると思うから入札するのであり、赤字覚悟で入札するのであれば、何か裏がある。だから、「採算が取れない」と騒ぐ人は、採算性に関して市に文句を言うのではなく、応札した企業に問い合わせるのが筋なのだ。もしかすると市との関係で黒い部分が出てくるのかもしれないが、それは市を攻撃するのではなく、まず応札企業側を調べなければならない。

ジャパネットの幸町開発計画が出て、MICEの採算性に疑問が出てくるのであれば、事業を止めるのは市側じゃなく応札企業側である。「事業の前提が変わって採算性に疑問が出たので、辞退させて下さい。」と応札企業側が言わないと、おかしい。市側から事業を止める理由は、ない。

これは築地市場の豊洲移転に伴う千客万来施設の例をみれば、わかりやすい。この施設はもともと採算性に疑問があった。最初に応札した喜代村が辞退したのだが、それは近くにある「大江戸温泉物語」が閉鎖される前提で計画したが、大江戸温泉の延長が決まり、前提が変わったという理由だった。

また、現在事業者になっている万葉倶楽部が、小池都知事の誕生により築地に類似施設が出来る可能性が生まれ、前提が変わったということで都に条件変更の申し出をしている。民間企業として事業を行うのであれば、前提が変わって採算性に疑問が生じる事態になれば、一度再考するのは当然のことである。


長崎のMICE施設についてはどうだろうか。外野が騒ぐだけで、事業者の声は全く聞こえてこない。

「長崎でMICE施設が成り立つはずがない」という声は沢山聞くが、成り立たないのであれば事業者が降りる、というのが資本主義の常識である。事業者が降りると言わない限り、事業者側は採算が取れると考えている、とみなすのが当然の論理なのだ。「辞退しないのは市との間に黒い話があって、採算が取れなくても事業をすることに価値があるのだ」、と思うのであれば、市ではなく事業者側に採算性の見込みについて怪しい所がないのかを確認するのが先である。

こういう「当然の論理」が働いていないから、私はMICE反対を叫ぶ人は、とにかく市がすることには何でも反対だ、という感情で動いているとしか思えない。


議会によるジャパネットへの参考人招致について話を移す。

MICE施設は公設民営であり、市が施設を作る。そのため、市としては運営事業者にとって使いやすい施設を作ろうとしなければならない。これはまさに豊洲の千客万来施設において、事業者の万葉側が東京都に要求していることである。他に事業参加を希望する団体がいない状況で、都が事業を進めたいのであれば、事業者の採算性に配慮した土壌作りを都がするのは当然のことである。

だから長崎のMICE施設も、ジャパネットの施設と重複をなくし、MICE運営事業者が赤字を出さないような環境を作るために、ジャパネット側と事前に協議をするのは、当然のことであり自然の流れになる。

そのはずなのだが、「ジャパネットが施設を作るからMICEは要らない」とジャパネット側からの言葉を引き出そうとする議員が出てきそうで、そうならないように常識的な対応をしてもらいたいな、と現時点では思っている。自分の意見を通したいがためにジャパネットを利用するというのは、ジャパネット側から見ても気分のいいことではない。

2018年5月15日火曜日

MICE施設計画は一度立ち止まるべき(2)

前回の続き

前回の話は、「とりあえずMICEの話は一旦止めて、区画整理事業の図面を引き直そう」ということだった。

今回は正面からMICE事業を分析してみる。

そもそもMICE事業に反対する人は、何故反対するのか。私にはそれが理解できない。駅前の一等地に、他に何か作りたいものがあるから、MICE施設を作られては困る、というのであれば理解もできるが、それもないのだから、市が計画することにはとにかく反対、と言っているようにしか思えないのだ。

よく聞くのは「採算が取れるはずがない」という意見だ。しかし、MICE施設は公設民営であり、採算が取れるかどうかは市に関係することではない。儲かれば事業者が儲かって市に税金を沢山払ってもらえる、損すれば事業者がかぶるだけだ。

わかりやすい話をすれば、ジャパネットがサッカースタジアムを作るが、儲かると思うから作るのであり、儲からなければジャパネットが損をかぶるだけのことだ。失敗したからといって、市が尻拭いする必要はないし、そうなると思っている市民もいないだろう。ジャパネットだって最初から失敗するつもりで事業に手を上げたわけではないはずだ。

MICE施設だって同じこと。失敗すれば事業者が損をかぶるだけのことで、市が尻拭いをする必要はどこにもない。事業者も最初から失敗するつもりで手を上げたのではないはずだ。

但し、この部分について私は事情を知らないので、強く言えないところがある。というのも、MICE事業者の選定が「1者入札」だったことが気にかかるのだ。

公共事業において、入札する事業体が1つになることは望ましくないとされている。それは、談合により工事価格を高くされる恐れがある、ということが最大の理由である。

しかし近年は、そもそも建設費が高騰しているため、入札しても儲からないから、結果的に入札するのが1者だけだった、ということが増えている。

例えば東京都は、小池知事が原則1者入札だった場合には再入札にする、と決めたが、儲からないけど公共性を鑑み渋々入札したのがやっと1者あった、という状況にも関わらず、それを流して工事に手を付けられない、という事例が頻発して、この原則を見直す方向になっている。


長崎のMICE施設についても、やはり1者入札は望ましくないと思う。私がMICE施設に賛成なのも、基本的には採算が取れる事業だと思っているからで、赤字になって税金を垂れ流してまでやることはない。

この前提に立てば、1者入札になったというのは、MICE施設の採算性が怪しいのかもしれない、ということも考えざるを得ない。例えば三菱重工幸町工場跡地は5者の応募があったそうだ。採算が取れるのであれば、応募する企業体はいくつか出てくるのが当然のことである。

仮にMICE施設については採算が取れないかもしれないが、九電工グループが義理で入札したとなれば、それは一度考え直すべきだと思う。今はMICE施設が赤字になっても市は補填しないと言っているが、もし赤字になったら市が補填するという密約があって九電工グループに入札を市側が頼んだとすれば、言語道断である。MICE施設の可能性を信じる私は、そういうことは絶対にないと信じているのだが。

ここまでの話を総合すると、市がやるべきことは、MICE施設の再応募をすることだ。そして、広く業者に呼びかけて、1者入札を回避することである。

もし仮にジャパネットを中心とする企業グループがMICE施設に応募した場合、それでもMICE施設に反対する市民はどれだけいるのだろうか。こう考えると、MICE施設に反対する理由は、単に市に対する不信感だけだ、ということになる。

ジャパネット側から見ても、サッカースタジアム周辺とMICE施設を一体運営した方が、より採算性の高い事業が行えるのだ。


MICE施設に関していえば、もう1つ留意すべきことがある。それは、佐世保のIR施設である。

カジノを含んだIR施設が、佐世保(ハウステンボス)にできる可能性は低くない。もしできるとすれば、幸町の施設以上に長崎のMICE施設の経営に影響すると私は思っている。

そうなれば、これも佐世保のIR事業者が長崎のMICE施設も一緒に運営した方が、県全体として見てもいい方向に動く。やはり、佐世保のIR事業者にも、長崎のMICE施設運営に応募してもらいたい所だ。

今の九電工グループ以外に、ジャパネットグループと佐世保のIR事業者グループを含めた3者が長崎のMICE施設事業者として手を上げれば、MICEに反対する人は大幅に減ると予想される。長崎市は、この方向を目指すべきである。これは強く主張したい。

MICE施設計画は一度立ち止まるべき(1)

ジャパネットグループが三菱重工幸町工場跡地にサッカースタジアムを中心とした新施設を作ることになり、それに関連して長崎市が計画しているMICE施設との機能重複が問題になろうとしている。


私は従来からMICE推進の立場なのだが、とりあえずここは一旦立ち止まって考える必要があると思う。

なぜ立ち止まる必要があるのか、という最大の理由は、本当はMICE施設の本質的な議論ではないのだが、駅周辺の区画整理事業を見直すために、一旦MICE施設の計画を止めないといけない、ということである。


まずはここの記事を参照頂きたい。


今の区画整理事業の図面だと、長崎駅前電停付近の交通量が今以上に増えて、渋滞がひどくなる可能性がある、それをなくすためにも、北側から新長崎駅に来る車は、浦上側沿いの道に誘導しないといけない、という話を、上の記事に書いた。

ここに写真があるので、引用したい。
地元の人なら土地勘があるので、写真を見ればすぐイメージできると思う。



これを見ればわかるが、浦上側沿いの道から駅西口に入る大きな道路が、今の設計では無いのである。そして、何故か川沿いの道と八千代町を結ぶ位置に広い道路が計画されていて(「新しい長崎警察署」と書かれた部分)、駅西口に北から来るとすれば、ベストウエスタンホテル裏の道から入るのだろうか。全く意味のわからない道路配置になっているのだ。


今度はMICE施設の案。見事に駅の西側を建物でふさいでいる。
写真左側にホールとホテル、細い道を挟んで右側が駐車場である。

果たしてこの構造でいいのだろうか。川沿いから駅西口に広い道路を作る必要があるのではないだろうか。


これは幕張メッセの空中写真である。中央の展示場部分と、右側のホテル(ニューオータニ、アパホテル等)は広い道路を挟んで屋根付きの歩道橋で結ばれている。別に展示場とホテルが一体化する必要はない。長崎でも、展示場とホテルの間に広い道路を通して、浦上川沿いから駅に入れる導線を確保すべきだろう。

私が言いたいのはこの部分。道路や建物の工事が始まってから、道路の配置を変える、というのは、ほぼ不可能なのだ。だから、ここは一旦立ち止まって、計画を練り直して再度入札にかける、という手順を踏むべきだと思う。

もちろん市が、最初の設計が悪かったから設計しなおした、とは言う必要はない。次の入札の時に、しれっと図面を書き換えたものを出せばいいことだ。

ここに続く

2018年4月27日金曜日

もっと「ワクワクする話」をしよう!

長崎市の中心部で行われる三菱重工幸町工場跡地活用事業の事業主として、ジャパネットホールディングスが選定され、サッカー場を核とした開発計画が公表され、市民が沸いている。


一番大事なのが、

長崎県に住む人、訪れた人、すべての方がこれまで以上に、「長崎で生きることを楽しくしたい」がコンセプトです。

という部分。いやあ、この計画を見れば見る程、ワクワクしてくる。

私は常々思っているのだが、どうして長崎の人は暗い話しかしないのだろうか。

新幹線も反対、眺望のいい県庁舎も反対、これまた眺望のよさそうな高層棟の新市庁舎も反対、MICE施設も何かよくわからないけど反対、投資は金の無駄、高齢者が暮らしやすい社会だけを望む、そんな話ばっかりなので、何もワクワクしてこない。

そうなってしまっているのも、ワクワクする話をする人がいないからだと思う。私のこのブログを見てもらって、少しはワクワクして頂けないだろうか。県民に明るい未来を示して、ワクワクする気持ちを持ってもらいたい、というのが、私がこのブログを続けている最大の理由なのだ。

もちろん私ごときが、こんなほとんど誰も見ていないブログで語った所で、何の効果もないのは痛感しているが、ジャパネットの高田旭人社長が語れば、効果絶大である。

私が言っても何の力もないのはわかっているが、このジャパネットの話を契機に、長崎の人がもっと明るいワクワクする話をするようになって欲しいな、と、感じている。

2018年1月29日月曜日

インバウンド観光客の増加には新幹線と定期航空路が不可欠

先週仕事で香港に行ってきた。
今日はその時の話題を書く。

香港人の通訳の人が、先日九州に旅行に来た、という話をした。どこへ行ったのか聞くと、福岡と熊本と言う。

そして熊本では、熊本城はさておき、「くまモンスクエア」に来て、くまモンに会ったと言って写真まで見せてもらった。

くまモンスクエアにいつもくまモンがいる訳ではない。HPにくまもんがいる時間を公開しているので、それを見て、くまモンがいる時間に合わせてくまモンスクエアに行った、ということである。

そして長崎には来たことがあるのか聞いたら、無いという。香港人で長崎に来る人は少ないとも言っていた。理由は、新幹線が走っていないことと、直通定期航空路がないことである。

香港と鹿児島との間には定期航空路がある。そのため、九州新幹線を利用して、福岡から入国し鹿児島から帰国する、などのルートで旅する人が多いとのことである。

このことは以前からわかっているのだが、果たしてそれを長崎の人がどれだけ理解しているのであろうか。

もちろん香港からの旅行者を増やすためだけに新幹線を作るべきだ、というのは言い過ぎである。

しかし、「自分には必要がないから」という理由で新幹線建設に反対する、というのはいかがなものかと、常々私は思っている。

昨日書いた新長崎市庁舎の話にも共通するが、「自分が必要だと思うかどうか」だけを中心に物事を判断するという姿勢は、もうやめて欲しいのだ。昨日の繰り返しになるが、長崎の人がどうするかを中心に長崎のことを組み立てても、ジリ貧になるのは明白である。今は他所の人がどう思うのか、から考えるようにしなければならない状況なのだ。

再度繰り返す。「自分には必要ないから要らない」という発想は、もうやめよう。




香港からの帰りの飛行機で航路を撮ったもの。香港発福岡行きの飛行機は、長崎市、長崎空港、ハウステンボスの上空を通って、福岡空港に向かう。

いつも思うんだけど、この飛行機が長崎空港に着陸してくれれば、どれだけ楽か。そう、私が楽をしたいから、香港と長崎を結ぶ定期航空路が欲しいのである。

2018年1月28日日曜日

長崎市役所新庁舎は高層化が必要

長崎市役所の新庁舎が、「高すぎる」という批判が市民にあるということで、20階建ての予定が19階建てに変更されるという。

長崎市新庁舎、19階建てに変更 市見直し方針


これを見た人は、「その1階分でどれだけ違うのか」、と感じるのではないだろうか。また、20階建ての高層棟を19階建てに変更する一方、4階建ての低層棟を5階建てにするらしい。

じゃ、結局一緒じゃないのか、と思うし、容積が変わらないのであれば、高層棟を低くするメリットは何なのか、という疑問も出てくる。ここは市がきちんと説明すべきだし、高層化に反対する市民も、何で高層棟がいけないのか、という意見を出して欲しい。少なくとも私は、容積を減らした上であっても高層棟を作るのが悪いという理由は、思いつかない。

私は最初から市役所庁舎は高層でないといけないと主張している。それは、高層化し最上階に展望室ができれば、海まで見通せるからだ。周囲のマンションが13階建てになっていて、しかも新市庁舎は崖の下にある。台地の上の高層建築物より高くするには、20階位の高さは必要だろう。もちろん、19階でも構わない。

どれ位の高さならどれだけ見通せるか、というのは、今の時代ならドローンを上げれば、すぐわかることだ。ドローンで写真を撮ってみて、何階建ての高さならこの景色になるという例を提示して、そこから議論をすればいい。


少なくとも公会堂右側のマンションより高くするためには、20階位必要なんじゃないかな、と思う。

私がなぜ高層化にこだわるかと言えば、高層化して最上階に展望室を作れば、新市庁舎に人の流れを作ることができるからだ。

現在、出島から眼鏡橋までは観光客の流れができている。公会堂跡地に高層化した市庁舎ができれば、そこまでは流れを呼び込むことができる。展望室から博物館の全容を見ることができれば、さらに市庁舎から博物館、諏訪神社方面へと観光客の流れを生み出せる可能性がある。

人の流れを作ることで新たな商売が生まれる。眼鏡橋周辺の中島川沿いにも、沿岸を公園化したことで人の流れができ、新しいお店が次々とできている。


長崎の人は、どうしてこういう将来に向けた投資的な発想ができないのかと、本当に残念に思っている。現状維持を訴えるだけでは、ジリ貧になるのは必然であるし、実際にジリ貧になっている。県庁舎移転反対運動にしてもそうだが、県庁舎を移転して跡地を公園にするなどして観光客の流れを作った方が、将来の可能性は格段に広がる。長崎の人口減少が必然になっている状況下で、将来の商売相手を内に求めるのではなく外に求めないといけないのは、当然のことだと思えないのだろうか。

幸い、長崎は観光地としての魅力は高い。国内からの観光客はジリ貧になることが避けられないにせよ、海外からの観光客はどんどん増えている。私の家は眼鏡橋のすぐそばだが、眼鏡橋周辺にいる個人観光客は、日本人より中国語を話している人(多分台湾人。クルーズ船で来る中国人以外の個人旅行客である。)の方が遥かに多い。こういうインバウンド観光客は、新市庁舎に展望台ができれば、そこまでは回遊することが見込まれる。魅力ある観光スポットを増やすことが、長崎全体の魅力を高めることにつながるのだ。

最初に出したYahooニュースのコメント欄を見ても(リンク先がすでに消えているかもしれませんが)、高層化した方がいいという意見の方が、低層化しろ、という意見より強い。多分、高層化しろという意見が他所の人で、低層化すべきという意見が地元の人主体じゃないかと感じる。

長崎の人は自分の狭い範囲の意見だけでなく、もっと他所からどう見られているのか、ということまで考えた方がいいと思う。長崎はどの程度魅力的に見えるのか、冷静に考えて欲しい。

2018年1月19日金曜日

壱岐、上五島、小値賀空港へのJAC就航を検討しよう

以前、離島航空路についての記事を書いたことがある。


この時も機材の老朽化に伴う欠航の多さを指摘したが、それから6年半が経ち、いよいよORCの後継機について真剣に考えないといけない時期に来ている。

今日も、機材整備に伴う大量の欠航が発表されたことが報道された。


なぜこういう事態になっているかと言えば、壱岐路線の後継機はATR42しか考えられないのだが、ORCが整備を委託するANAグループではATRを導入する予定がなく、整備をANAに委託できないため、ORCはATRを導入できないのだ。

前回のブログを書いた後に、JAL系列ではATR42の導入が進んだ。もしORCがATRを導入すれば、JALに整備を依頼すればいいのだが、なかなかそうも行かないようで、半年ほど前にJAL/ANAの系列を超えた地域航空会社の設立などの案が国土交通省から発表された。


この内容は、私にはORCの処理に困ったANAが、ANAの面子を潰さずにORCの面倒をJALに見させるための策を、政治力を使って国土交通省に言わせた、としか思えない。

JAL系列ではATR42の導入が進み、系列各社間で機材の融通を行う制度設計もできているので、現状で何ら困っていない。困っているのはORCだけなのだ。

さらに、ORCでは後継機種としてQ400を導入することが決まっていて、何と現在、長崎とは全く関係のない福岡宮崎便を、ORCがANAとのコードシェア便として、見た目はANAのQ400で運航している。


今後ORCがどうするかと言えば、先にリンクを張った国土交通省の地域航空会社再編案がうまく行かない限り、現行機はQ400に置き換え、ATR42の導入はないだろう。


もともと対馬と五島路線は、ANA(子会社のエアーニッポン)により運航されていた路線だ。Q400の座席数を埋めるだけの旅客数は十分期待できる。特に長崎対馬線は、現行機では席が少なすぎて、週末は満席になることが常態化している。Q400への大型化は、むしろ好都合である。

困るのが壱岐空港路線だ。Q400では大きすぎて採算が取れないし、滑走路の長さも足りないという話も出ている。となると、県は多分、上五島と小値賀が機材の都合で廃止になったのと同様に、壱岐便も廃止にするつもりではないだろうか。

何とかATR42-600Sを導入できれば壱岐路線の廃止も避けられるし、同機は800m滑走路の離着陸も可能なので、現在路線がない上五島や小値賀便も復活できる。教会群の世界遺産登録を控え、上五島や小値賀への定期航空路は、是非とも開設しておくべきだ。

ATRを導入するには、路線をJACに運航してもらうのが一番である。JACは鹿児島県の奄美諸島の自治体が出資している会社ではあるが、鹿児島の離島路線だけを運航している訳ではない。例えば兵庫県の但馬空港便もJACが運航している。

但馬便に関しては、兵庫県が機材を購入するなどの措置を取ることで、JACの運航を可能にしている。この路線も後継機の導入が検討されているが、次回も兵庫県がATR42を購入する方向だ。


長崎でも同じように、ATR42を県の予算で購入する枠組みを作って、それをJACに運航してもらうようにすれば、問題は解決する。


長崎の離島路線をJACが運航することは、他にもメリットが生まれる。

1つは福岡空港拠点のダイヤ編成が組めることである。

上五島や小値賀へは、長崎空港からより福岡空港からの路線のほうが大事である。長崎から上五島や小値賀へ飛ばしても、あまり利用客は見込めない。

壱岐にしても、福岡から壱岐に飛んでそこから長崎へ往復するダイヤにすればよい。こうすることで福岡壱岐便を復活させることができる。

もう1つは、いわゆるJALの「修行僧」が乗ることを期待できることだ。

航空会社は乗客の利用度によってステイタスを付与し、自社への囲い込みを行っている。高いステイタスを得るを目的とし、飛行機に何往復も搭乗する人のことを「修行僧」と呼んでいる。

ANAの場合は、ステイタスの基準は乗車距離のみであるのに対し、JALは搭乗回数も含まれる。そのため、鹿児島や沖縄の離島路線、福岡宮崎便、但馬便などは、沢山の「修行僧」が1日に何往復も繰り返し搭乗していて、搭乗率のかさ上げに貢献している。

前述した国交省の地域航空会社再編案でも、例えばORCがANA、JALの両社とコードシェアすることにより、JALの修行僧もORCに搭乗すれば、ORCの搭乗率向上が期待できるという話も出ていた。


多分、このまま何もしないと、壱岐空港への定期航空便は廃止されることになる。壱岐選出の県議会議員さん、私の案を関係機関に積極的に働き掛けないと、他に手はないですよ。早くしないと、時間切れで終わりになります。

2018年1月12日金曜日

長崎駅周辺土地区画整理事業は大丈夫なの?

まず最初に報告事項から。

今までこのブログで好き勝手に書いているだけだったが、今後は「フォーカス長崎」の一員として、まずは長崎駅周辺事業について関わっていくことになったので、お知らせしておきたい。

まずその最初の行動として、駅前電停への平面横断がほんとうに不可能なのかを、先日県に問い合わせに行って来た。長崎市が「県警がダメだというからあきらめた。策はない。」というので、本当に策がないのか、直接聞きたかったからだ。

この記事を参照して頂きたい。リンク先が消えるかもしれないので、適宜引用する。

断念したようにも聞こえるが、市はいま、駅前の交通量を分散させる方策をひねりだそうと懸命になっている。』

と記事には書いてあるが、路面電車の駅舎引き込み断念の経緯などをふまえると、本当に市が方策をひねりだそうと懸命になっているのか、申し訳ないが信じられないのだ。

県議の方を通じて県警に面談の手配をお願いすると、県警だけでなく、県の担当部署の方々も同席して頂けることになり、市議、県議同席の中、結果としてかなり有意義な会合を持つことができた。

話の中身は相手の立場もあるので、私にしては珍しく忖度して控えめに書くが、結論から言えば、電停への平面横断も含めて、まだ策はあるし、他にも考えるべきことは多い、ということになる。

また、県と話をする中で、今さらながら事業の進め方が見えて来た。こうした事業執行については私も素人なので、よく知らなかったというのが実情である。

たとえば駅前電停の場所は国道であり県が管轄する範囲なのだが、今回の区画整理事業については、この県管轄の範囲まで市が計画を立てて、それを見てから県として意見を言う、という流れになる。ところが、県からすると、市がなかなか全体像を見せないから、意見の言いようがない、という状況なのだそうである。

例えば駅前電停に横断歩道を作る、といった話でも、駅周辺の交通をどう流すのか、という計画を見せてもらえないと、判断しようがない、ということだ。現状だと南から北の流れは、駅に入らず北上する車と駅に入る車が駅南側の交差点で分散するが、駅に入る車が全て電停の北側から左折するようになると、今より電停横の交通量は増えるので、そこをどう考えるのかを示してもらわないと、具体的な話はできない、ということである。

今は駅の北側と南側の交差点で、駅に入る車と出る車が分散しているけど、両方が北側の交差点に集中する形になれば、果たして交通量が捌けるのか心配しているが、その辺の計画を市が示してくれないから、県はまだなにも意見を言えない状況のようだ。

これ以外でも、区画整理地域内での道路について不安に思われていることはいくつかあるようだった。私なりに判断すると、こうした不安点に関する意見は、県職員としての立場では、越権行為になるので市には言えない。しかし、まちづくりの専門家として、個人の意見として気になるということは、多々ある、とおっしゃっているように感じた。このあたりは、あくまで私がそう感じた、ということではある。

確かに、これほどの大規模な区画整理事業となると、市職員より県職員の方がノウハウもあるだろう。しかし、市が事業主体である以上は、相談に来られない限り県として意見を出せないようだ。

長崎の街の姿を変える、これだけの大掛かりな事業にしては、市の計画の立て方は、ちょっと内にこもりすぎているんじゃないか、というのが、県との話し合いを持った後の私の印象だ。もう少しいろんな人の「個人としての」意見を集めるやり方に変えないと、完成してから大変なことになるんじゃないのか、というのが、私の率直な気持ちである。