2021年9月18日土曜日

佐世保の保健所は濃厚接触者の判定基準が厳しすぎた

以下の記事の続編。

佐世保市の保健所は濃厚接触者の判定が厳しすぎるのでは?

やはり私の推測が正しかったんじゃないかと思わせる新聞記事が出た。

佐世保郵便局 クラスター原因の配達遅延 27日には正常化

また同支社は、陽性者以外の配達員全員が濃厚接触者に認定された原因について、共用部分の消毒や換気が不十分だったためと説明した。現在は改善しているという。

佐世保郵便局では、配達を担当する職員が全員濃厚接触者に認定されたために2週間の隔離が命じられ、郵便配達をする人が1人もいなくなった、という事件の続報である。


濃厚接触者の判定基準は保健所によって違う。私は状況を知らないから具体的なことは言えないが、「マスクを着用していれば濃厚接触者にしない」という所は多いと聞く。

そもそも保健所の一存で郵便配達ができなくなるという社会生活をマヒさせる行為を許していいのか。もちろん濃厚接触者の中から感染者が大量に出て、「郵便配達が行われない」という事態よりも「濃厚接触者の隔離」のほうが社会的に重要なのであれば、濃厚接触者の隔離を第一に考えなければならない。

しかし今の感染局面では、大都市部においては保健所の業務が間に合わないという理由で濃厚接触者の調査自体をやめている所も多い。それでも感染者は急減しているので、今の状況において濃厚接触者の隔離が重要だとは、全く思えない。

濃厚接触者の調査が広く行われることにより、一定割合でPCR検査の陽性者が出る。そのため県内で佐世保市だけ行政による警戒措置が解除されず、飲食店の営業短縮要請が継続され県内対象の旅行キャンペーンも佐世保市だけが除外になったりする。学校行事も佐世保市だけ縮小され、お祭りが延期になる。佐世保の保健所で多くの濃厚接触者を出すことによる社会経済的損失は大きすぎるのだ。


ここ数日県内の市町別陽性者数の発表を見ると、佐世保市だけ他地域より多いということがなくなっている。正直、これは怪しいと思う。この1年佐世保市だけ多めの数字が続いていた。佐世保郵便局の事件を受けて、佐世保の保健所が接触者の判定を県内他保健所並みに緩くしたのではないかと勘ぐってしまうのだ。真相は知らない。

2021年9月11日土曜日

佐世保市の保健所は濃厚接触者の判定が厳しすぎるのでは?

佐世保郵便局で配達員全員が濃厚接触者に認定されたため、郵便配達ができなくなっているそうだ。

佐世保郵便局クラスター 配達遅れ 最大1週間 完全復旧、早くて9月末に

同郵便局では8日までに、郵便物の集配を担当する従業員74人のうち12人の感染が判明。残り62人全員が濃厚接触者に認定された。濃厚接触者は2週間の自宅待機が求められるため、集配担当の全従業員が出勤できなくなっている。全国の郵便局でこうした事例は初めてという。

この措置に対しては色々と議論すべきことがあると思う。まず私が最初に主張したいのは「そもそも濃厚接触者の調査が必要なのか」ということで、次に「濃厚接触者の自宅待機が必要なのか」ということになる。


まず濃厚接触者の調査が必要なのか、という点について。現実問題として、感染が拡大して保健所の調査が追いつかない地域においては、濃厚接触者の調査をしないでいいことになっている。

そしてどうなったか。感染縮小期においては、濃厚接触者の調査をしなくても、感染者は順調に減少しているのである。もう今は第5波。これまでの事例を振り返れば、この事実は統計的にはっきりしている。

私の知人に関東でコロナ診療をしている医師がいるが、今は濃厚接触者の調査はやっていないということである。それでも現在、急速に感染縮小している。これが現実だ。


次に「濃厚接触者の自宅待機が必要なのか」という点。あくまでこういう措置は、利益と損失のバランスを見て判断すべきことだ。それは医学的観点からだけでなく、経済社会面まで考慮し政治が決断することだ。

無症状で他人に感染させる恐れがほとんど無い濃厚接触者を自宅待機にすることで、郵便配達ができなくなるという損失を上回る社会的利益があるのか、行政関係者は少しは真面目に考えて欲しい。

今は「コロナ陽性者を1人でも出さないようにするためには、どれだけの社会的損失があっても構わない」という観点から行政運営が行われている。長崎県知事はちゃんとバランスを取ろうとする意志が見えるが、長崎市長はコロナ対策が全てで、飲食店や旅行関係業者がどれだけ潰れようが、子どもたちの教育や課外活動、そして健全な成長にどれだけ悪影響が出ても構わない、という姿勢しか見えない。どれだけ自殺者が増えようが、コロナの死者が1人でも増えなければそれでいいという考えのようだ。多分、佐世保市長もそうなんだろう。


それはさておき表題の件。今回、県独自の緊急事態宣言は9月12日で解除されることになったが、佐世保市だけは感染が落ち着かないということで30日まで延長になった。7月1日から行われていた県民限定観光キャンペーンも、佐世保市は感染が落ち着かないということで除外されていた。

これまでも県内で佐世保市だけ感染が収まらないという状況が繰り返されてきた。これは佐世保市に何か特殊事情があると考えるほうが自然である。

私が思ったのは、佐世保の保健所は接触者の判定が厳しく、より多くの人にPCR検査をしているのではないかという疑問である。上述した通り、感染縮小期においては濃厚接触者の検査を行うこと感染縮小とは関係がない。長崎県や佐世保市といった感染者数がそもそも少ない(1日1ケタ)地域においては、たくさん検査をすることにより陽性者をより多くあぶりだし、陽性者がゼロにならないのではないかという疑問である。

症状が出ていない感染者が他人に感染させることは、ほぼ無い。陽性者自身も数日で陰性になる。そもそも発症していないんだから、検査をしない限りは自分が陽性であるという自覚もない。そういう人に対して数多く検査をして警戒期間を長引かせることは、社会的に何か意味があるのだろうか。

保健所の管轄は地域によって違う。長崎と佐世保は市の、その他の地域は県の管轄である。だから、佐世保市の保健所が県内他保健所に比べて、接触者に対する検査をより多くやっているのではないかという疑問が出るのだ。


とにかくコロナ対策に関しては世界中が科学的根拠に基づかない非科学的な思い込みをもとにして行われている。私は、中村知事は日本の知事の中ではいちばん科学的根拠を重視していると思っているので、毎回佐世保市の感染が最後まで収まらない理由について、きちんと検証して頂きたい。

2021年9月9日木曜日

長崎大学教授の予想はやはり外れた

 本日、長崎県に出されていた緊急事態宣言が、佐世保市を除いて予定どおり9月12日で解除されることが発表された。

【速報】長崎県が県独自の緊急事態宣言解除へ 佐世保除く

という訳で、「第5波」の総括をもうやってもいいだろう。


表題の話になるが、8月8日の記事を振り返ろう。

長崎大学の感染推計は絶対に外れる

ここで書いた私の予想を引用する。

一応私の予測も書いておけば、お盆過ぎまでダラダラ流行が続いて、ピークはせいぜい70〜80人程度じゃないかと思う。但しこの1年間書き続けているが、長崎県程度の感染者数だと、クラスターの発生状況に大きく左右される。高校生のクラスターがいくつか見つかれば(これも、濃厚ではない接触者の調査をどこまで広げるか、に関わってくる)、100人を越えることも有り得るが、高校生にいくら陽性者が増えた所で、ほとんど無症状、症状が出ても微熱が2〜3日続く程度なので、ことさら大騒ぎすることでもない。

それに対して長崎大学の推計は、お盆に感染者140人だった。

「自分たちの行動で決まる」 長崎大が感染推計公表 盆には140人到達か

そして、答えはこれ。










長崎県のHPより引用)

100人を越えたのが2日だけ。あとは70〜80人程度でダラダラ続いた。

私の予想どおりだったと言って、問題ないだろう。


ちなみに8月20日に出された長崎大学教授を名乗る占い師の話はこれ。

長崎大学の占い師の予想は外れる

長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は20日、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、県独自の緊急事態宣言が19日に出されたことを受けて会見。県内の現状を「1カ月前の東京に若干似ている。嵐の前の静けさのようで恐れている」と危機感を示し、「今すぐ知事が示した感染対策を実施し、ワクチンも打ってほしい」と訴えた。

やはりこの占いは外れた。20日以降、順調に減少傾向に入っている。


では第4波の時はどうだったのか、振り返りたい。

5月8日の記事から。

長崎大学の占い師の予想は当たるのか?

長崎の医療崩壊迫る…医師が悲痛な訴え 感染症対策を呼びかけ

長崎大学病院感染制御教育センター 泉川 公一 センター長「増え方が尋常ではないというのは、間違いない事実。個人的な感想としては、これはまだ(第4波の)入り口だと思っている」

さて、この占い師の予想は当たるでしょうか。

私は、繰り返し書いているがもう長崎市はピークに差しかかっていると思っている。

答えは、5月8日がピークだった。









東洋経済オンラインより引用)

見事に占い師の予想は外れ、私の予想どおりだった。


第3波の時はどうだったか。

2020年12月11日の記事。

長崎県にも新型コロナの第3波がやってきたの?

では第3波は来ないのか。来るだろうけど、小さな波じゃないか、というのが、私の予想。これも、個人の感想です。


但し統計的に言えることは、世界中を見ても、寒い国からこの冬の流行は始まっている。日本でも北海道から始まり、東京・大阪で流行した。冬になれば流行が起こる、ということはずっと前から言われていたことで、その通りになっている。では長崎で流行が起こらないかといえば、どうやら福岡でも流行がやってきた感じで、単純に日本の中で相対的に暖かい地方は流行が始まるのが遅かったと考えるのが自然だろう。長崎でも、これから第3波がやってくると思っておく必要は、ある。

続いて2021年1月4日の記事。

長崎県にも新型コロナの第3波がやってきた

ピークで1日35人。人口規模を勘案すると、他県に比べて全然大きな波ではない。

そして、多分もうピークアウトしている。12月末の時点でそう書いておこうかと思ったんだけど、ブログを書く気力が出なかったので、書かなかった。今書いても、もう後出し。

結果はこれ。









東洋経済オンラインより引用)

ピークは1月9日の60人。ちょっと外した。まだこの頃は私も経験不足で(だって、この時第3波ということは事前に2波しか経験していないんだもん。)、予想の精度が悪い。思っていたよりピークが後ろで高めに来る傾向があるとわかったので、以後修正した。そう、科学者とは事後的に振り返って修正し精度を高めるものである。外れる占いを繰り返す人は、大学教授を名乗っていても決して科学者ではない。


私が教授を名乗る占い師について批判の発言を強めているのは、以下の記事がきっかけである。

疫学は易学だ

長崎大学 5月連休明けに感染一日120人超えを予測

「占いじゃないです。理論に基づいた値を皆さんに見せてるだけです。この図を示すことによって皆さんの行動変容を促すことにひとつでも役に立てればと思っています」

なんだ、疫学のシミュレーションは占いレベルだという自覚はあるんじゃない。

みなさん、事後的にこの占いが当たったのか、きちんと振り返りましょうね。

この記事のリンクが切れていたので、別の記事のリンクを貼る。

GW明けコロナ感染者数 第3波の「2倍超」 長崎大 県内推計 行動変容あれば抑制

上のほうの図を見てもらえばわかるけど、5月連休明けの感染者数は65人がピーク。「理論に基づいた値」の約半分。これを「理論に基づいた値」とみなすのは、余程のお人よしである。普通に考えれば、理論がおかしい。

賢明な読者の方には、いかにこの教授の話が「占い師」の予想でしかないことがわかって頂けると思う。普通はこんなに予想を外しまくる占い師の話なんか誰も聞かなくなるものだが、「長崎大学教授」を名乗っていればそれでも聞く人は沢山いて、マスコミにも取りあげられる。

真理を追究したい方は、肩書きに惑わされるのではなく、話の論理性に問題がないのかを自ら考え、後でその発言が正しかったのか検証する必要がある。それが科学的な物事の考え方だ。