2011年11月27日日曜日

魚市跡地には上海航路のターミナル整備を

県庁舎移転がいよいよ動きそうだが。

移転について防災面で不安だという声もあるが、それ以上に、移転先である魚市跡地は上海航路のターミナルとして整備すべきであるから、私はここに移転するのは絶対にやめた方がいいと考える。

上海航路は定期航路として開設される。
ところが、この上海航路の利用岸壁が、クルーズ船接岸時には、松が枝埠頭ではなく柳埠頭になる、らしい。

そもそも、定期航路であるのに、その接岸岸壁が日によって違うというのは、どうであろう。しかも、松が枝より遥かに不便な柳に着いて、どうするつもりだろう。県は、本当に上海航路を発展させようという気持ちがあるのかと、正直疑問に思う。

上海航路で利用される船は貨客船である。貨物も積める。日本と中国との物流量は増えているので、船の運営会社としては、収益をあげるために、貨物も運びたいだろう。しかし、松が枝では貨物の積み下ろしをするのはまず不可能である。かといって、貨物を優先させて柳を日常的に使うとなれば、現状では貨物より重要な旅客に対して、ものすごく不便になる。

これが魚市跡地にターミナルを作るとなると、一気に解決する。貨物の積み下ろしスペースを作ることは可能だし、長崎駅のすぐそばなので、旅客にとっても、ものすごく便利である。

また、新幹線の誘致に関して、「上海航路とつながる」というのは、国に対して大きなアピール点になる。魚市跡地に上海航路が就航すれば、新幹線とのアクセスも抜群だし、逆に言えば、柳を使うなんてことをすると、新幹線との接続なんて、本気で考えてないと思わざるを得ない。


ところで、上海航路を運行するHISグループは、航路開設の最大の目的を、中国からの観光客をハウステンボスに呼び込むことに置いているだろう。そうなると、長崎港よりも、佐世保港に定期航路を開設した方が便利なのは明白である。現在は、佐世保港に施設が整っていないから、暫定的に長崎港を利用しているだけだ。当然、佐世保港も国際航路が就航できるような体勢を整えるべく、頑張っている。

長崎港と佐世保港では、港湾管理者が違う。長崎港は長崎県で、佐世保港は佐世保市である。となると、長崎港がのんびりとしている間に、佐世保港が上海航路を長崎から奪い取ろうと考えるのは、当然のことである。長崎港がのんびりしている間に、一気に佐世保港が攻勢をかけ、HIS側が佐世保を選ぶ、ということになるのは、かなりの確率で考えられることである。

もちろん、それは佐世保にとってはいいことであるので、長崎がのんびりすることを本心では望んでいるのかもしれない。しかし、全く個人的な意見であるが、私は上海航路は長崎港から出て欲しいので、長崎県も、HISに選んでもらえるように、しっかりと長崎県は長崎港を整備してもらいたい。

HIS側は県に対して、ハード面の整備を望んでいるらしいという話も聞く。県も、本当に上海航路を大きく伸ばしたいと思っているのなら、HISに逃げられないように、長崎港の港湾管理者として、しっかりとした施設を整備して欲しい。上海航路を柳埠頭に接岸させるなんて、本当に航路の重要性を考えるのであれば、絶対に考えられない発想のはずである。

2011年11月16日水曜日

新長崎県立図書館は大村市へ

県立図書館の老朽化に伴い、改築してどこに新図書館を作るのかということに関して、長崎市と大村市で誘致合戦が行われている。

大村市の言い分は、県土の中央に位置するので、県全体からのアクセスが便利だ、という点、長崎市は、長崎研究の拠点として、研究者が多くいる長崎市に立地すべきだ、という点が、それぞれ最大の主張のようだ。

実際に県立図書館がどの程度研究拠点として活用されているのか私は全く知らないのだが、一応、大学に長い間身を置いた研究者としての視点から、長崎市立地の必要性を考えてみる。

正直言って、県立図書館でしか得られない資料を活用するために、年に5回以上県立図書館を利用しているという長崎市在住の研究者は、せいぜい1桁じゃないかな、と思う。これは全く現実と外れた数字かもしれないが、その辺について、長崎市立地を主張する人には、是非数字を出して欲しい。

それで、その人たちが長崎市に住んでいるからといって、図書館が長崎市に立地する必要があるか、といえば、かなり疑問である。例えば週に1回位図書館に行くとしても、長崎から大村に行く、というのは、研究者だったら普通にできることだ。というか、その位やらなくて研究者を名乗るな、と言いたい。現実には毎日大村から長崎まで通勤通学で通っている人も沢山いるんだから、行けないはずはない。

ここからが本題なのだが、長崎研究(もちろんここでの「長崎」とは「長崎市」ではなく「長崎県」だ)を担う人間が長崎市に集中するのか、集中させるべきなのか、ということを考えなくてはならない。

まず、長崎市周辺の大学で、長崎研究の拠点を作ろうと思った所で、それだけのポストを用意することができるのか。まず無理でしょう。そんなポストがあるのなら、是非私をどこかの大学で雇って下さい(苦笑)。今ある研究ポストの中で議論をするのが現実的である。

そして、長崎県の研究をする人間を増やしたいのか、となれば、当然増やしたい、となるだろう。では、具体的にどういうポストの人が研究者として増やせるのか。これも現実でいえば、公務員(学芸員・高校教諭など)しかないと思う。それから、未来の研究者として、大学生も考慮に入れる必要がある。

まず大学生からいえば、県内の大学は長崎市内だけにあるのではない。佐世保にもある。社会人より学生の方が交通弱者なので、アクセスのいい場所に図書館があった方がいいのは、議論の余地がない。となると、JR大村駅近辺が最適である。

次に公務員。これは県内全域に勤務・在住している。こういう人たちの研究環境を考えてあげれば、やはり県全体からのアクセスが便利な場所に図書館を作るべきだ。例えばの話、長崎市内の高校に勤務していた先生が佐世保に転勤になったとする。これで極端に図書館へのアクセスが悪くなって、研究を継続させることが困難になる、という事態は、容易に想像できる。

正直言って、大学の先生は、多少アクセスが悪くても無理してでも通って欲しいと思う。他の仕事に就く人たちの方を向いて、アクセスを考えるべきだろう。

もう1ついえば、一支国博物館との連携も考えるべきだと思う。そうなると、空港がある大村市に新図書館を立地させた方が絶対にいい。


--------

私は以前東京に住んでいた時、東京の人は何か作る時に、「東京に作って当然」という言い方をすることをよく感じた。

地方出身者からすれば、「それは東京以外の場所に作るべきじゃないかな?」と思うようなものでも、「東京ありき」という風潮があって、ちょっとおかしいんじゃないかな、と感じていた。

今は長崎市に住んでいる。長崎市も県都であるので、立場は逆になった。上のことの裏返しで、「ほんとうに長崎市に必要か?」ということを、つねづね考えないといけないと思っている。

県庁舎にしても県立図書館にしても、「ほんとうに長崎市に必要なのか?」ということは強く意識するようにしているが、こと県立図書館に関しては、大村市立地の方が絶対にいいという気がする。