2017年12月16日土曜日

長崎県内のJR路線は第三セクター化すべき

JR九州が次のダイヤ改正で大幅に列車本数を削減することが発表された。

JR九州、在来線本数を大幅減 来春ダイヤ改正 「経営体質改善図る」


本数削減については事前に噂が出ていて、てっきり不採算路線のことだけかと思っていたら、なんと長崎県内にも削減対象があることを知り、びっくりしている。

・日中の特急「かもめ」の本数削減(不定期化)
・快速「シーサイドライナー」の日中区間快速化
である。

JR側の意図としては、「乗客の利便性」より「コスト削減」で、「快適な車内」より「詰め込んでコスト削減」、ということである。

まず「かもめ」から。

現在、特急「かもめ」は1時間2本のペースで運転されている。現在でも長崎発11、12、13時台は1時間1本に間引かれているのだが、これを10時、14時台にも拡大しよう、というものだ。

私はこの時間帯の「かもめ」によく乗る。間引かれた時間帯の「かもめ」は割と混んでいて嫌なのだが、さらに混雑する時間帯が広がるということになる。

もちろん、混雑すると言っても満席になっている訳ではない。「満席じゃないなら、満席にした方がコストが下がる」というのが、JR九州の考えだろう。

次に「シーサイドライナー」。
現在、大村線は1時間に快速1本、各停1本走っている。
これを、日中は乗客の比較的少ない竹松と佐世保の間を間引いて、快速の区間快速化により1時間1本に減らそうということである。

どちらも国鉄時代を思い出せば、特急は1時間に1本だったし、大村線の快速なんか無かった。まあ、その時代に戻ればいいと考えるしか、ないんだろう。

大村線に快速がなかった時代は、長崎と佐世保の移動はバスが普通だった。その時代に戻って、バスを使えばいい話である。

JR九州の福永嘉之鉄道事業本部副本部長によると、「人口減の影響で、利用者が伸びなかった所を見直した。削減対象は、前後の列車(との間隔)などをみて、総合的に判断した」「鉄道事業の維持には利用者の実態に合わせたダイヤにし、経営体質の改善を図る必要がある。沿線にはしっかりと説明し、理解を求める。路線を廃止するとの考えはない」とのことだけど、長崎本線の特急にしても大村線の快速にしても、本数を増やして利便性を上げて、乗客を増やして来たはずなんだけど、違うようだ。

もう、こういう地域を考えない会社に経営を任せるよりは、第三セクター化して地元で運営した方が、住民のためになるのではないか。

JR九州が鉄道事業を黒字化させたというのも、減価償却費を圧縮した会計上の理由が大きい。となると、新しい車両を導入すれば、また赤字に戻る、ということだ。大村線の車両も老朽化していて、新車の導入は不可欠になっている。

それであれば、新幹線の開業時に第三セクター化して補助金を使って新車を導入し、シーサイドライナーはロングシートじゃない車両を入れて、乗客の快適性を上げて乗客を増やす努力をした方がいいのではないだろうか。

また、第三セクター化すれば、新長崎駅の県庁側にも改札を作ることができるし、諌早の運動公園近くにも駅を作ることができる。これらはJR九州が反対しているので、第三セクターになれば、県の責任で作ることができる。

不動産会社に鉄道事業を続けさせるより、鉄道専業の第三セクターを立ち上げた方が、住民の利便性は確実に向上するのだ。

2017年6月20日火曜日

十八銀行頭取の意見に反論する

ここの話の続き。

Yahooニュースに、十八銀行の頭取のインタビューが掲載されていた。

「統合で50店削減 400~500人捻出」 十八銀行頭取・森拓二郎氏


このコメントをそのまま受け取っていいのだろうか。もし素直に受け取るのであれば、人が良すぎる。もっとも、長崎人は人が良すぎるから経済が停滞しているという気もするのだが。

以下、全くの私感から、このインタビュー記事に反論したい。

十八銀行がふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の傘下に入ってどうなるのか、というのは、全くの想像でしか話ができないものではない。親和銀行がすでにFFGに入っているので、親和銀行が今どうなっているのかから推測することができる。

ここでの私の意見の根拠は、親和銀行の現状をふまえたものであり、数多くの十八・親和・福岡銀行の行員と接触した経験をもとにしている。


まずここから。
 十八、親和で立地が重複する約50店を削減でき、コストを年間数十億円抑えられる。離島・郡部の店舗網も維持し、事業性融資を扱っていない店舗では新たに扱える所を増やしたい。400~500人の人員を捻出できるので、中小零細企業まできめ細かく訪問し、相談に応じる体制をつくれる。経済振興のため専門性の高い人員を育成する余力が生まれ、現地派遣もできるようになるだろう。

専門性の高い人員を育成する、って、それができる人間が現在十八銀行にどれだけいるのだろうか。400〜500人ってことは、まずない。申し訳ないが、1人もいないと思う。
親和銀行にしてもしかり。こういうと本当に申し訳ないが、親和銀行には現状「経済振興のため専門性の高い人員」なるものは、いないと思っている。こういった人材は、育成すれば誰でもなれるというものではない。ある程度の素養がないと無理である。

試しに身近にいる親和銀行の行員に、「福岡銀行の人って、どうですか?」と聞いてみてもらいたい。「みんなものすごく優秀です」と答えるだろう。逆に福岡銀行の人に「親和銀行の人って、どうです?」と聞けば、露骨に言うかどうかは別にして、「みんなパッとしないよね」という反応が返ってくるはずだ。

私は実際に新規事業を行うために、親和銀行の行員に協力を仰いだことがあるが、申し訳ないが全く使い物にならなかった。親和銀行の行員は、そんなものだろうと思っている。十八銀行だって大差ない。もし十八銀行には優秀な人材がいるのであれば、是非紹介してもらいたい。一緒に事業を広げたいと、真剣に思っている。

こういう経験をふまえて頭取のインタビューを読むと、何を寝ぼけたことを言ってるのか、と思ってしまう。別に私は十八銀行や親和銀行の行員の悪口を言うのが目的ではない。むしろ反論してきて欲しい。逆にそんな元気のある行員がいるのであれば、まさか福銀傘下に入ろうなどという意見が出て来るとは思わないのだが。


融資はもっと前向きにできるし、統合したからといって金利を上げるようなこともしない。人口減少や経済規模の縮小で運用先や預金は減っていく。他金融機関との競争も続く。企業努力を続けないといけない。

実際には、親和銀行はFFG傘下に入って、ものすごく融資姿勢は厳しくなっている。これは私のまわりだけかもしれないが、正直、長崎で資産を持たない企業に対して福岡銀行は厳しい姿勢で臨むとしか思えないので、十八銀行の頭取が何を言おうと、FFGの社長のコメントがない限りは、信用できない。

 福岡さえよければいいということなら、長崎の経済は発展せず、新銀行やFFGの収益も上がらない。地元を軽んじることはない。統合時は株式交換するので、今の十八の株主はFFGの株主になり、もの申せる。取引先は、大経済圏の福岡とのつながりが強まる。FFGの東アジアの店舗網を活用でき、FFGが先行する(金融とITが融合した先進サービス)「フィンテック」にも力を入れられる。メリットは大きい。
そうですねぇ、今の十八の株主がFFGの株の何%を持てるのですかねぇ。過半を持てるのなら、この話も額面通り受け取れますが。

そもそも、今の福岡人の「福岡中心主義」をきちんと理解しないと、先の展望はできない。日本全体における東京一点主義よりも、福岡人の「福岡一点主義」のほうが遥かに強いように、私は感じる。長崎で前途有望な企業が出て来れば、「福岡に出てきてもっと発展しよう」と言い出すのが、普通の福岡人の感覚ではないだろうか。

人材にしても同じこと。地元出身で優秀な人材が、地元で働きたいと思った時に候補に上がるのは県庁と地元地銀しかないのが、今の日本の現状である。十分十八銀行もその候補になる得る。ところが、十八銀行がFFG傘下に入れば、銀行に就職するのであれば最初から福岡銀行に就職するのではないだろうか。

また本当に優秀な人材が十八銀行に入ったとしても、その人をそのままFFGが長崎に置いておくとは思えない。福岡に引き抜くだろう。 福銀とはそういう銀行だと、私は思っている。これも違っていれば反論を頂ければ幸いである。


この文章を書いたのは、繰り返すが十八銀行や親和銀行の行員を罵倒するためではない。私の正直な気持ちを書いただけである。

だから、是非十八銀行や親和銀行の方には、この私の考え方に反論してきて欲しい。そういう姿勢が、長崎経済の浮上につながると、真剣に考えている。



補足
「福岡一点主義」に対抗するためには、肥後銀行鹿児島銀行と組むのは有効だと思っています。私は肥後銀行とも付き合いがあります。

2017年5月9日火曜日

十八銀行が福岡銀行傘下に入ることの最大の問題点は何か


本日(2017年5月9日)付の日経新聞に、親和銀行と十八銀行の債権を他社に譲渡することで、経営統合への道筋をつける、という記事が出た。

ふくおかFG、長崎で融資シェア下げ交渉へ 十八銀と統合で


十八銀行と親和銀行との経営統合は、県内でのシェアが高まりすぎて競争環境が阻害され、金利が高止まりをする、という理由で公正取引委員会から承認を得られず、合併交渉が進んでいなかった。いよいよこれで話が先に進むようだ。


ところで十八銀行と親和銀行の合併およびふくおかフィナンシャルグループ入りは何が問題なのか。融資先企業からの視点で考える。

今問題になっているのは、合併により競争がなくなり金利が高止まりする、ということだ。現場の感触からすると、これは間違いなく起こる。

実際にこの混乱の乗じて、現在肥後銀行と北九州銀行が県内で強烈な営業攻勢をかけている。十八銀行より低めの金利を提示し、それにつられて十八銀行も金利を下げる、ということが現実に起こっている。もし仮に競合がなければ、十八銀行の金利が高止まりするというのは、ほぼ間違いない。

しかしこの例を見ても、十八銀行の競争相手は必ずしも親和銀行だけではない。仮に十八銀行と親和銀行が経営統合されても、離島などの地域を除き、今以上に肥後銀行や北九州銀行などの営業攻勢は強くなり、それなりの競争環境は維持できると思う。


このこと以外に、県内経済にとってより重要な問題が経営統合によって引き起こされることを説明したい。

十八銀行まで福岡銀行傘下に入ると、県内資本の地方銀行がなくなってしまうのだ。親和銀行はすでに福岡銀行傘下であるし、長崎銀行も西日本シティ銀行の支配化にある。現状、十八銀行が最後の砦になっている。

銀行が福岡県を基盤とする勢力の支配下になると、どうなるのか。親和銀行と長崎銀行の今の融資姿勢から考えてみる。この「今の融資姿勢」というのは、あくまで融資先企業としての私の肌感覚であることはご了承頂きたい。

親和銀行にせよ長崎銀行にせよ、福岡の銀行に「救済された」という側面が強い。だから両行の行員は「助けてもらった」という意識があり、親会社側は「助けてやった」と思っている。そのため、長崎の銀行側は親会社側の言いなりになっている。

親会社側から見たらどうであろう。自分たちの給料は、福岡県内で十分稼いでいる。だから長崎の銀行では利益が上積みされれば良く、赤字になるのは論外。無理はしない、という意識になる。

ここで、信用力の低い企業に対する融資を持ち込まれたら、本部の審査側はどう考えるだろうか。「無理はするな。断れ。」となる。実際に融資を受ける立場から見ると、そうなっているようにしか見えないのが現状だ。極端なことを言えば、長崎県内では優良企業にだけ融資しておけばいい、ということになるのだ。

こうなると長崎県側としては大変である。「信用力の低い企業」には、「伸びしろのある企業」「伸びるかもしれない企業」も含まれる。そういう企業にお金がまわらないと、県内では新しい企業が伸びずに経済が停滞してしまうからだ。

今の十八銀行であれば、「県内企業が伸びないと銀行も伸びない」という意識がある。本部の審査側も、支店の担当者がそう言って迫ると、無下に断れない。審査する人間だって、県内企業が伸びないと自分の給料も稼げないからだ。

ところが親和銀行や長崎銀行になると、審査側に福岡の銀行からの出向者がいたりする。審査側の給料は福岡の企業からの収益で払われている。別に長崎の企業が伸びなくてもいいし、それよりも融資が焦げ付いて銀行の業績が悪くなることの方が、気になる。

支店の担当者にしても、とりあえず親会社の言う通りにしていれば、自分の将来の給料は保証されていると考えている。安定第一である。そもそも地方銀行に就職しようとする動機は何だろうか。県内で安定した就職先として、公務員か銀行か、という理由の人が多数なのではないだろうか。

この話は「可能性がある」とか、たらればの話ではない。繰り返すが、融資先企業として親和銀行や長崎銀行と交渉する企業責任者から見た、現在の実感である。


仮に十八銀行と親和銀行が20店舗分程度の店舗移譲と債権譲渡をするとした場合も、その相手がどこになるのかが、最大の問題である。長崎銀行では、全く意味がない。肥後銀行や北九州銀行になっても、あまり面白くない。

一番いいのは、十八銀行の経営陣の誰かが、十八銀行から飛び出し、債権譲渡の受け皿となる新銀行を作ることだ。そして十八銀行の行員から希望者を募って、新銀行で採用する。単独で新銀行を作るのは難しいだろうから、その時は肥後銀行と鹿児島銀行で作る九州フィナンシャルグループや、北九州銀行が属する山口フィナンシャルグループの傘下に入るのは仕方がない。但し、主導権はあくまで長崎県側が持つ銀行にならないと、何の意味もない。


経営統合問題に関する長崎県や経済団体側からの意見が私には聞こえてこないが(そういう人と直接関わりがないので、耳に入るとしても新聞報道位であろう)、長崎県経済の将来のためにも、もっと地元が声をあげないといけない状況にあることを、県民全体が自覚しないといけないのだ。

2017年5月3日水曜日

香港で長崎県産びわをPRしよう

日本からの農産物輸出が徐々に増加している。その相手国として、香港の重要度は高い。

香港は食糧自給がほぼ不可能であり、かつ中国産農産物の不信感が根強い。そのため、日本からの農産物輸入も増加している。農産物に対しての輸入規制も緩く、日本からの輸出相手国としてはハードルが低い。

長崎県産の農産物も多く輸出されている。実際には福岡の青果市場から香港に輸出されていることが多く、生産者が自分で生産したものが香港で売られていることを、ほとんど知らないのが現状である。今の季節だと、じゃがいもや人参などの野菜が、博多港から香港に輸出されているのだ。

長崎県産の農産物といえば、代表的なものとしてびわが挙げられる。国内での生産量は一位であり、香港で売られているびわも、ほとんどが長崎県産である。

では、香港でびわは売れるのだろうか。
実は相当売れているのだ。


















これは先日香港に行った時に撮ったものだ。
スーパーやデパートだけでなく、こういう小さな果物屋にも日本産びわが並んでいて、それはほぼ長崎県産なのである。

ところが、香港では「びわ」と「長崎」という地名が結びついていない。香港でも長崎という地名は浸透しているのであるが、それがびわと関連させて認識されていないのは、残念である。「あまおう」と「福岡」位の関連性には持って行くことを目指すべきではないだろうか。

そのためにも、観光と農産物を結びつけたプロモーションが非常に大事である。長崎に観光で来てもらって、びわを食べてもらう。もちろん、長崎側でもびわを食べてもらったりびわ農園を見学できるような受け入れ態勢は必要だ。現状何もやっていないに等しいので、香港での長崎県産びわの売れ方を見ると、非常にもったいないことだと思う。