2011年10月24日月曜日

食農資源経済学会長崎大会に参加して(3)

大会では、長崎県農政課長から、長崎県の農業についての説明もあった。
私は以前書いたように、長崎の農業については詳しく知らなかったので、とても有意義だった。

ここで一番興味深かったのは、長崎県の農業は、全国レベルでみても、近年大規模化が進んでいる、ということだった。

県の調査によると、販売金額1,000円以上販売農家の、平成7年と平成17年の数を比較すると、長崎県は142.7%に伸びており、これは全国の都道府県の中で1位である。

また、施設のある農家数は102.7%で3位(3位の県までが増加、ほかは減少)、施設面積では121.9%で2位である。
どちらも、全国平均値は減少している。

私も何となく感じていたことだが、長崎県の農業は国内では、比較的元気である、ということが、数値で現れているといえよう。もともと長崎県は土地条件が悪かったので、近年、それを克服する経営体が育ってきている、と考えられる。

これは長崎に限らず全国共通した話であるが、農業経営の大規模化というのは、着実に進んできている。小規模農家だと経営が成り立たないので、おのずと大規模化していくのは、自然の流れである。

長崎県でも、この流れに乗って、さらなる大規模農家への集約を進める方針だ、ということである。


またちょっとだけTPPの話を持ち出すが、TPPに参加すると、小規模農家が潰れる、といって反対する人が多い。しかし、現実の流れを見ると、TPPの参加如何に関わらず、小規模農家が衰退していくのは、自然なことである。

この自然の流れを無理矢理食い止めようとするのか、さらに加速させようとするのかは、考え方次第である。ただ、「日本では大規模経営はできない」などと、現実の農業経営の流れを見ずに反対だけするのでは、多くの国民の理解を得ることはできないのではないか、と、私は思う。