2022年3月30日水曜日

長崎県の第7波は始まった

私は長崎県の新型コロナ感染者数を随時予測してきた。

そして、今まで全て的中させてきた。

長崎大学教授の予想はやはり外れた

いや、第6波は余計な予想を入れたから外れましたよ。そこは愛嬌ということで許して下さい。

長崎県第6波の陽性者数予測を検証する


何故当たり続けているのか。それは予想の根拠が科学的に正しいからである。

「科学」とは再現性である。条件が同じなら結果は同じになる。

ところが新型コロナに関する議論は、全く科学的ではない。感染症や疫学の専門家の発言は、科学的根拠がなく、単なる思い込みであることが多い。そうした発言が政治に反映される。というより、政治家の非科学的な発言を「専門家」が後押ししている、という状況も多々ある。マスコミに出てくる「専門家」がほんとうの専門家であることは少なく、素人レベルの知識しかないくせに「専門家」を名乗って政治家の発言の裏付けをするような状況が目に付く。


では、「感染の新たな波」が立ち上がる条件は何か。

・感染しやすい人が増える

・新たな変異種が持ち込まれる

この2点が揃うことである。

「移動が感染拡大の原因になる」という間違った認識が広がっているが、移動自体は感染原因にならない。そこでウイルスが持ち込まれることが要因になるのであって(さらに移動先で宴会を行うなどハイリスクな行動を伴うことが条件になる。移動自体は全く問題がない。)、ウイルスが存在しない地域との相互間で移動があっても感染拡大することはない。またいくらウイルスが持ち込まれたところで「感染する可能性のある人」が地域に存在しなければ、拡大しないのだ。

たとえば2022年3月25日の知事会見で「人の移動や会食の機会が増加」することで感染拡大すると言われた。

知事会見資料より)

確かに去年は4月に入って増えているし、第3波も移動が多い年末年始が明けた1月に増えている。

ところがこれはたまたま去年は上述した2条件を満たしているだけで、今年の第6波のデータを見ると、年末年始明けに感染者数が増えた訳ではない。

NHKのHPより作成)

第6波は昨年の第3波に比べて、山の形が後ろにずれていることがわかる。これは年末年始の人の移動や会食が要因になっていないことを意味する。


上述の2条件を具体的に説明する。

まず1点目の「感染しやすい人が増える」という条件について。

どうやら感染した免疫は3ヶ月程度で切れるということがわかってきた。もっともそれは2年前から言われていたことではあるのだが。このことは、これまで感染の波が3ヶ月周期でやってきていることの説明になる。

そもそも何故感染が収束するのかということも、「罹る可能性がある人が全員罹るから」という「山火事理論」が現実の動きと一番整合性がある。「罹る」というのは無症状まで含めている。「人々の感染対策が効いたから感染が縮小した」ということは、ない。

コロナ第7波は来るのか:山火事理論で予測

そして2点目の変異種について。

理由はよくわからないが、これまでの感染の波は全て新たな変異種によってもたらされてきた。同じ種のウイルスで2回目の波が起こったことはない。

この2つの条件が揃った所で新たな波が起こる、というのがこの2年間での経験である。

第5波と第6波の間隔が広かったのは、「新たな変異種」が発生しなかったからだと説明できる。ウイルスは常に変異を繰り返している。その中でたまたま新たな流行を引き起こす変異が起こった時に、次の波が起こるのだ。いつその変異が起こるかわからないし、どこで変異が起こるかもわからない。外国から持ち込まれることだけが理由ではないので、いくら国境措置を強めても国内で変異が起これば意味がない。実際に第2波第3波を引き起こした変異は国内で起こった。


第6波の変異種はどこから持ち込まれたのか。全国の感染事例を見る限り、私は米軍基地からだと考える。最初に感染が広がったのが沖縄や岩国といった米軍基地がある地域からだったことが根拠になる。


NHKのHPより作成)

東京都の感染者数の推移を挙げる。先に挙げた長崎県のグラフと見比べて欲しい。第6波に関していえば、東京都より長崎県の方が先にピークを迎えている。これは、長崎県にはウイルスが東京から持ち込まれたのではなく、佐世保の米軍基地から広がったと考える方が自然だろう。


では第7波はどうなるのか。

1点目の条件は、もう第6波の立ち上がりから3ヶ月が経過するので、免疫が切れて次の波が立ち上がる素地は整っていると考える。

そして2点目の条件。今回は新たな変異種であるBA.2はもう国内に広がっている。長崎県にも広がっている。となると、「外部との行き来を断つ」という対策は意味がないのだ。

これまでの波は、東京より長崎の方が遅れてやってきた。ところが第6波では「ほぼ同時」に広がった。となると、新たな変異種は東京も長崎もすでに広がっている状況なので、第7波の時期は東京も長崎も「ほぼ同時」だと考えられる。


掲示したグラフからわかるように、長崎県も東京都も次の波に入るきざしは出ている。「移動を控える」という対策に意味はないのだが、多分長崎県知事はまた自粛を、と言い出すのだろう。

そもそも本当は「感染を広げない」という発想をするべきではないのだ。

「感染しない、させない」がコロナ被害を大きくする


2022年3月26日土曜日

長崎県新知事のコロナ対策には期待できない

 昨日(3月25日)の知事会見を見て、正直大石知事には失望した。

前回、こういう記事を書いたばかりなのに、1ヶ月も経たないうちに正反対の記事を書くことになってしまった。

長崎県新知事のコロナ対策は期待できるかも


会見を見て、もう医師会に取り込まれてしまったのかな、という印象を受けた。知事就任後最初の会見では「経済を動かそう」という意欲が見えたが、それはある意味まだ空気が読めていなかったから言えたのかな、と今になって思う。だんだん空気が読める(空気に巻き込まれる)ようになって、これからは他の知事と大差ないことしか言わなくなるのだろう。


大石知事に期待できるかも、と思ったのは、全国知事会での発言を聞いたことも理由であった。

コロナ出口戦略 制限緩和方針の早期提示を 大石知事、全国知事会に初出席

(長崎新聞3月5日付け)

このほか、濃厚接触者を特定するための「積極的疫学調査」についても言及。感染スピードの速いオミクロン株の特徴を踏まえ、「例えば、濃厚接触者の特定ではなく、重症化リスクの高い感染者の健康観察をさらに重点化すべきではないか」と指摘した。

知事就任から間もない頃には、こういう出口に向かおうという気持ちが発言から見えていたが、昨日の発言からは「感染対策をずっと続ける」という方針しか受け取れなかった。大きな後退である。

濃厚接触者の特定については、自治体の判断でやらなくてもいいという通達が厚生労働省から出た。それを受け、例えばあの沖縄県でも特定をしないという方針を打ち出した。

きょうから濃厚接触者の特定せず 無症状は待機なしに 玉城知事「変わらず感染対策を」

(琉球新報3月24日付け)

一般事業所や小中高校、幼稚園、保育園、特別支援学校などではこれまで実施していた濃厚接触者の特定をせず、無症状の場合は7日間の待機もなくす。濃厚接触者の緩和については24日から実施する。

この件に関して、昨日の会見では大石知事からは何も触れられなかった。自身が知事会で主張したことが国の方針として出されたのだから、普通なら「自分が言ったことを国が認めた」といって自分の実績を誇示し、率先して導入するものだ。これをやらないことが、もう大石知事が医師会や長崎大学の教授などに飲み込まれて、出口に向かう方針を棚上げしたと思わざるをえない。

またこの記事の写真でもわかるが、就任直後の大石知事はやる気に満ちたいい表情をしていた。ところが昨日の会見では、もう元気がないというか、不本意なことを言わされているというか、マスクで表情を隠せるのはいいことなんだろうけど、初期の元気な印象は全くなくなっていた。


会見の中でマスク着用を勧める発言があったことからも、大石知事の「後退」を感じた。

中村前知事はほとんどマスク着用を言うことがなかった。今でも知事会見の時の背景は「マスク着用」ではなく「咳エチケット」としか書いていない。中村知事も最後のほう(飲食店への認証制度を導入した時点)は国の方針に取り込まれてマスク着用を言うようになったが、私が中村前知事を高く評価していたのは、非科学的な「マスク着用」を言わなかったことも理由として大きい。

そもそもマスク着用が感染対策になるという証拠は、学術的には今まで1つも出ていない。コロナ騒動が始まった頃、私の周囲の医師はみな「マスクは汚いものだと教わった。何故突然マスク着用と言い出すのか、全く理解できない。」と言っていたのだ。

私はいろんな場所で何度も紹介しているのだが、このブログでは初めて「マスクに効果がない。逆効果にもなる」と発言している忽那医師の動画を以下に示す。40秒あたりからに注目。


「マスク着用が感染予防につながる」という証拠がないから、富嶽のシミュレーションなどで無理やり証拠を作ったというのが実態なのである。「マスク教」教祖である忽那氏も、上の動画の発言後に「マスクに効果がある」と言い出した理由として、実験データやシミュレーション結果しか挙げていない。

令和4年3月25日 記者会見

3つ目、これは前回も同じですが、会食時を含め、会話をする際はマスク着用をお願いします。マスクを着用することで感染率が大幅に低減するというシミュレーションは繰り返し延べて紹介させていただいておりますが、感染防止対策にマスク着用ということは非常に重要ですので、何とぞよろしくお願いいたします。

大石知事の口から「マスクを着用することで感染率が大幅に低減するというシミュレーション」という言葉が出たこと自体が、大勢に飲み込まれたことの証しなのである。現実社会でマスクが感染拡大を防いだというデータは全くない。それがわかっているので、欧米各国ではマスク着用をやめているのが現実である。大石知事もそれは理解しているので、わざわざ「証拠はある」という言い方をしているとしか、私には思えないのだ。


これは、昨年夏に県の福祉保健部長が変わったことも大きい。

【長崎】中田勝己福祉保健部長が退任会見


中村前知事が、間違ったことばかり言う長崎大学の教授連中や医師会に惑わされずに「正しい理解」をしていたのは、絶対に誰か正しいことを言う人が近くにいたはずである。それが中田前部長だったのではないかと私は思っている。

部長が変わって嫌な予感がしていたのだが、やはりというか新しい部長は変なことを言い始めて、かなりがっかりした。「HOME」って何ですか?


こういう訳のわからないことを言い出す時点で、新しい部長は話にならない。最初の項目以外は全て間違いで、前知事は言ってなかったことだ。つまり前部長は言ってなかったことを、部長が変わったために県の方針として打ち出すことになったのだろう。大石知事が「マスク着用」を推すようになったのも、厚生労働省から出向で来ている部長に配慮してという気もする。


こんな感じで、昨日の知事会見はほんとうにがっかりした。もう最初の姿に戻ることはないだろうから、今後4年間の県政が正直不安でしょうがない。










2022年3月6日日曜日

長崎県第6波の陽性者数予測を検証する

今回は以下の記事の検証です。

長崎県の新型コロナ新規陽性者数はそろそろピークアウトする


長崎県の「まん延防止等重点措置」が解除されるということで、検証することにする。

まず上記記事の予測が外れた、ということは、素直に認める。

という訳で、今日よりもう少し増えて1日300人台になる日が数日出るかもしれないが、基本的には今がピークで、流れとしてはこれから徐々に減っていくと私は予想する。

実際には、1月28日の717人がピークだった。

長崎県HPより引用)

外れた理由は明らかだ。上記予測を出した根拠が間違っていた。

予想数をずっと過大に出してきた長崎大学の占い師が「1日400人台」と言っているので、絶対に1日400人台にはならないと断言できる。

こんな理由をもとに予測しても、そりゃ外れるでしょ。

いや、記事を書いた時は根拠としてものすごく強力だと思ってました。深く反省します。


そして上記予測を立てる前の予測は当たっていた。

以下にリンクを張った前回の記事で「県内の陽性者数が1日500人か1000人か、それ位に増えても不思議ではない。」とは書いた。 

長崎県内でもオミクロン株の陽性者は激増する

 今回のオミクロン株に関しては、東京である程度の動きが見えないうちに長崎でも広がってきた。だから具体的な数字は予想できないのだが、ピークアウトするのは今月中だろうという感じはする。

500から1000とは広すぎる予想だけど、新しい変異種が来て、国内での感染前例がなかったから、こういう幅でしか予測できなかったのは、仕方がない。大目にみて欲しい。そしてピークアウトが1月中だということは、当たっている。


実際の所、第6波の予想については、長崎大学教授の占いと私の予想は大差なかった。

長崎大が第6波を推計 接触機会7割減でも1日当たり400人台に

リンク先のグラフを見てもらうとわかるのだが、ほぼ私の予測とグラフの数字は同じである。

そして、この占い師はいつも最初は過大な数字を出しておいて「みなさんの努力のおかげで感染を抑えることができました」と後で言う。そりゃ何の努力もしないことはあり得ないので、過大な予測を出しておいて、そこから減った分は「県民の努力のおかげ」と言えば済むのである。簡単な仕事だ。

そういう魂胆が見えていたので、ついつい「こんな過大な数字にはならない」と前回の記事で書いてしまったのだ。全く余計なことをした、1つ余計な記事を書かなかったら今回も当たったと堂々と言えた、ということが、大きな反省点である(苦笑)。

とりあえず、事後的に何の検証もしない感染症や疫学の専門家より、私の方が遥かに誠実だと思って頂きたい。


そして今後どうなるかだが、私が今一番気になっているのは3回目のワクチン接種である。

実は3回目接種が進んでいるアジア諸国では、接種が進むにつれて感染者が増えているのだ。



札幌医大 フロンティア研 ゲノム医科学のHPで作成)

私はウイルスやワクチンの専門家ではない。あくまで経済学の専門家としてグラフを読むのが得意だ、というだけだ。

このグラフを見る限り、これから日本でも3回目接種が進めば感染者が増える、という結論しか出てこない。

2022年3月4日金曜日

長崎県新知事のコロナ対策は期待できるかも

医師会の支援によって当選した大石新知事の最初の大仕事が「まん防」解除になった。

正直私は、選挙で医師会の支援を受けた以上、大石知事は中村知事のように医師会の意向に反してコロナ対策を緩める施策は取れないだろうと思っていた。

そして今日(2022年3月4日)の会見をオンラインで見たのだが、いい意味で予想に反する発表内容だった。

知事記者会見(令和4年3月4日)

ある意味当然といえば当然なのだが、記者からの質問ほぼ全てに対して直接自分で答えていた中村知事と違って、大石知事はすぐ担当職員に回答を委ねていた。2日に就任して4日の会見だから、それは仕方がない。そして発表された解除後の施策も、ほぼ中村前知事が考えたと思われる内容だった。ちゃんと中村前知事はここまでの仕事をきちんと済ませてから退任されたのだろう。

会見を見て感じたのは、大石知事はきちんとコロナ騒動の本質を理解している、ということだ。医師だから理解していて当然とは思わない。そもそもコロナ騒動を悪い方向に持っていっているのは医師連中なのだ。その医師・医師会に引っ張られては、県民から見るとろくなことにならないと心配していたが、「今のところは」大丈夫のようで安心した。

このブログでもたびたび述べてきたが、中村前知事は全国の知事の中で一番コロナ対策に関して理解されていると思っていた。但し「陽性者」のことを「感染者」と言うのだけが気に入らなかったのだが、大石知事はちゃんと「陽性者」と言われていたので、その部分でも期待できる。


県医師会のやっていることがおかしい、ということはこのブログで何度も指摘してきた。例えば以下の記事などだ。

長崎県医師会はやるべきことの順序が違う

その前に、なんで民間病院でコロナ患者を引き受けないの?

長崎市内でコロナ受け入れをしている病院が4つしかないって、どう考えてもおかしい。

そして今日の知事発表では、かなり重要なことが含まれていた。前掲の会見内容のこの部分である。

外来医療体制の更なる強化について

発熱した患者がより身近な医療機関で受診できるよう、診療・検査医療機関の更なる拡充、また、それらの施設名の公表を目指し、関係機関と協議を進めます

コロナ診療の最大の問題であった、開業医がコロナ診療を拒否するからすぐに医療を受けることができず自宅で病状が悪化する、という問題に対しての解決策を提示しているのだ。

もちろんここがコロナ診療の最大の問題であったことはかなり前から指摘されていた。ところが長崎県医師会長を始めとした「超コロナ脳」の開業医が怖がって、コロナ診療を拒否していたのだ。これは長崎県に限った話ではなく全国的な問題だ。そして開業医の団体である各地の医師会および日本医師会がコロナ診療をする窓口を狭めてきた。

果たして県医師会の支援を受けて当選した大石知事が、ここに踏み込むことができるのだろうか。是非医師会の横やりに負けず、正しい方向に県政を向かわせてもらいたい。


もう1つの話題として、長崎県のまん延防止等重点措置の終了に関する議論が公開されているので、その内容に関して触れたい。

長いけど、国の分科会の資料。

新型インフルエンザ等対策推進会議 基本的対処方針分科会(第 25 回)

一番最後に長崎県の議事録が出ている。

「第 39 回長崎県新型コロナウイルス感染症対策有識者会議の結果(概要)」という資料。

この会議は新知事就任その日の昼休みに行われているので、当然知事は内容について何も知らないはず。事務局である県職員の主導で議事が進行している。

面白かったのが、私のブログにたびたび登場して頂いている長崎大学教授を名乗る占い師が「規制を緩めるな」と発言しているのに(議事録上では匿名)、今日の発表内容を見ると県職員がちゃんと突っぱねているということだ。長崎県職員は長崎市長と違って占い師のいいなりになっていないということが、よくわかる。

この調子で頑張って貰えればいいのだが、やっぱり選挙で世話になった県医師会を始めとした「裏の力」に新知事が惑わされないかどうか心配ではある。今日の知事会見を見た限りでは、まだ期待感の方が大きいので、是非新知事には頑張って頂きたい。