2010年10月19日火曜日

長崎駅周辺土地区画整理事業をご存知ですか?

今、長崎市では、「長崎駅周辺土地区画整理事業」というものが着々と進められている。

これは、現在の長崎駅を浦上川側に移動させ、再開発させようという事業だ。

この事業により、床面積で現在の浜の町が6〜7個入る新たな商業地が誕生することになる。

もし、この事業が計画通りに進められると、間違いなく長崎の商業地の状況は大きく変化する。もちろん、これは税金が投入される事業であるので、その変化については、市民の理解が不可欠である。

にも関わらず、県庁舎移転については妙に熱心に取り組んでいる方は多いが、区画整理事業については、ほとんど関心がないというのが現実ではないだろうか。

この事業が行われると、どういうことが起こると予想されるか、ということについて、今後書いていこうと思う。それについて、事業がどうあるべきか、考える材料にして頂ければ幸いである。

2010年10月13日水曜日

県庁舎跡地にハコモノは不要

私は、県庁舎を移転して、跡地に出島を望む公園を整備することを提唱している。

そして、あくまで欲しいのは出島が見える公園であって、ハコモノではない。ハコモノがないと人が集まらないというのは、予算分捕りを至上命題とする役人的発想であり、立地が素晴らしければ、何もない所にも人は集まるのだ。

今の県庁舎の位置は、出島を一望できる素晴らしい所にある。私も県庁の出島が見える部屋に行ったことがあるが、本当に素晴らしい眺めだった。多分、そこで仕事をしている県の職員は、それが当たり前の風景になっていて、一見客がどう感じるか、なんて、思ったこともないんだろう。

仮に県庁舎が移転すれば、差し当たりここには、大型観光バスが何台か駐車できる駐車場と、何となく出島側を向いた展望スペース程度を作るだけでいい。そして、中島川を出島に向けて渡る橋ができれば申し分ない。これだけで十分観光客は集まる。観光客はまず大型バスで県庁舎跡地の駐車場に来て、まず丘の上から出島の全景を見る。そして橋を渡って出島に行き、復元施設を見てまた元の場所に戻って観光バスに乗って次の観光地へ向かう。

もうこれだけで十分な観光地の完成である。立派な観光資源があれば、ハコモノなんて不要なのだ。もし何か欲しいという感じだったら、後で作れば済むことだ。最初からハコモノを作ってなければ、更地に何でも作ることができる。とにかく今は建物が建っているのだから、それがなくなったらどういう景観になるのかは、壊してみないことにはわからない。壊す前から壊した後に何かを作ろうという考え方は、間違いである。特に景観を重視した施設を作るのであれば。

2010年10月9日土曜日

県庁舎の移転先

県庁舎の移転については、多分計画通りに行われるものだと思われる。今さら移転計画について、とやかく言ってもほぼ無意味なのだが、頭の体操と思って色々書きなぐってみる。

移転先として魚市跡地が挙げられている。その理由として考えられるのが、まとまった県有地が長崎市内にそこしかないということだろう。長崎駅周辺に都市機能が集中することによるメリットは、私が思いつく限りでは、長崎駅前にあるホテルの資産価値が上がってホテルの所有者が喜ぶということ位で、多くの市民にとっては、プラスにもマイナスにもならないと思う。

まとまった県有地という点でいえば、神の島にもまとまった県有地はあるはずだ。ということで、県庁舎を神の島の移してもいいと思いはするが、それでは県庁職員が通勤に不便で可愛そうだとも感じるので、市中心部に移るという線で仕方がないのかな、という所だろうか。

魚市跡地については、そのうちブログに書くつもりだが、県庁舎を立てるよりは貨物フェリーの用地として利用すべきだと私は思っている。ただ、最初に書いた通り、県庁舎は多分魚市跡地に移ることになるのだろう。魚市跡地は防災面で不安だという声もあるが、私はその点では問題ないと思っている。

ということで、できれば県庁舎は魚市跡地以外の、長崎市中心部に移転して欲しいというのが私の考えだ。では、どこか移転候補地はあるのだろうか。考えてみれば、出てくるのです。

それは、市民会館と市公会堂が建っている場所。どちらの施設とも老朽化していて、そろそろ今後の利用が検討される時期になっている。ここに県庁舎を移転すればいいのではないだろうか。

もちろん、市民会館も市公会堂も、どちらも長崎市の土地であり長崎県の土地ではない。移転先の候補として挙がらなかったのも、ただそれだけの理由だと私は思っている。

しかし、先にブログで書いた通り、私は現在の県庁舎の土地は出島を望む公園として整備するべきだと考えている。そうなると、県が整備するより市の土地にして市が整備した方が、出島と一体になって効果的な開発ができるだろう。

ここは市と県が連携して、現在の県庁舎の土地と、市民会館・市公会堂の土地を換地するという協議を進めて、県庁舎の移転先は市民会館・市公会堂の場所ということにはできないだろうか。

最初に書いた通り、県庁舎の移転計画は、多分計画通り進むのだろうから、ここでこういうことを書いても、ほとんど意味のないことだと思ってはいるのだが。

2010年10月8日金曜日

県庁舎移転後の跡地利用

県庁舎移転問題を考える場合、跡地がどう利用されるかも当然考慮に入れる必要がある。

反対派の中には、跡地利用を議論することは移転ありきだ、として、跡地利用についての議論さえしないという立場の人もいるようだ。しかし、移転した場合とそうでない場合を比較しないことには、どちらが長崎の将来にとっていいことかはわからない。跡地利用の議論すらしないという意見の方が、反対ありきであり、建設的ではない。

県庁舎が移転した場合、跡地はどうなるか。それを考える場合、今の県庁舎の位置が出島を一望できるすばらしい環境にあるということを認識する必要がある。

長崎の人は、出島というものが全国の人にどれほど認知されているかということに対しての理解が少ない。出島という名前は、日本人ならほとんど誰でも知っているという、知名度がものすごく高いものである。グラバー園とは比較にならない。これだけの高い知名度を持っているという自覚が長崎の人には少ないし、これを観光に利用すれば、どれだけの価値があるかなど、考えたこともないというのが圧倒的だろう。

県庁舎が移転することによって、付近の商店街が衰退する、ということを反対派の人は言うが、移転した跡地に訪れる観光客が多ければ、移転してもらった方が、かえって商店街が繁盛する、というふうに考え方を切り替えてはどうだろうか。

例えば、今の県庁周辺より、グラバー園周辺の方が、商店は賑わっていると思う。ところが上述した通り、グラバー園より出島の方が遥かに全国の人にとっての認知度は高い。うまくやれば、県庁跡地周辺に、グラバー園周辺以上の商店を立地させることは、決して不可能ではないと思える。

このようなことを考えても、県庁舎が移転したら、周辺の商店街が寂れると決めつけていいのだろうか。そこまで考えて、移転問題を議論して欲しいと思う。

2010年10月5日火曜日

県庁移転問題を科学的に考える

長崎では、県庁移転問題について、特に地元商店街からの反対運動が激しく行われている。

県庁舎が移転すると地元商店街が衰退するというのだが、私がその議論を聞く限り、感情論の域を出ていないと感じる。

政策を論じる上で感情論ばかりでは話にならない。きちんと「科学的な」議論が必要であろう。

では、商業面から見た県庁舎移転反対論は、どういう理屈の上に成り立つのか、考えてみよう。

自然科学と違って、社会科学では実験ができない。そこで、他の事例と対比させて結果を推測するという方法がしばしば用いられる。

県庁舎が移転すると、どれだけ付近の商業地が衰退するか、というのは、他の地方でどうなったかを見て、それを元に推測すればいい。

幸い、九州では県庁舎が移転した事例はいくつか存在する。九州で1番目と2番目の県である、福岡と熊本では過去に県庁舎が中心部から郊外へと移転している。

ここで、福岡や熊本の例を見て、県庁舎が移転すると、どれだけ地元商店街が衰退するのか推測することができる。

福岡県庁は以前天神にあった。熊本県庁も中心商店街である下通りの近くにあった。

そして、県庁舎が移転したことによって、天神や下通りの商店街が大きく衰退した、という例があれば、長崎においても県庁舎が移転することによって、浜の町商店街が衰退する、と考えることができるだろう。

また、福岡や熊本の県庁舎が移転した先で、大きな商店街が発達したということがわかれば、県庁舎自体がもたらす商店街への波及効果というものがどの程度か推測することができる。

商店街が衰退するという立場から長崎県庁の庁舎移転に反対する人は、ここに書いたような理屈で反対行動を起こせば、より効果的であると私は考える。

2010年7月4日日曜日

プロフィール

このブログの管理人


前田 陽次郎
1970年 長崎市生まれ

長崎市立磨屋小学校 卒業
長崎市立桜馬場中学校 卒業
長崎県立長崎南高等学校 卒業
東京大学理学部地学科地理学課程 卒業
東京大学大学院経済学研究科博士課程 単位修得退学
九州産業大学大学院経済学研究科 修了
博士(経済学)

福井県立大学地域経済研究所 教授
専門分野 経済地理学

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