2010年10月5日火曜日

県庁移転問題を科学的に考える

長崎では、県庁移転問題について、特に地元商店街からの反対運動が激しく行われている。

県庁舎が移転すると地元商店街が衰退するというのだが、私がその議論を聞く限り、感情論の域を出ていないと感じる。

政策を論じる上で感情論ばかりでは話にならない。きちんと「科学的な」議論が必要であろう。

では、商業面から見た県庁舎移転反対論は、どういう理屈の上に成り立つのか、考えてみよう。

自然科学と違って、社会科学では実験ができない。そこで、他の事例と対比させて結果を推測するという方法がしばしば用いられる。

県庁舎が移転すると、どれだけ付近の商業地が衰退するか、というのは、他の地方でどうなったかを見て、それを元に推測すればいい。

幸い、九州では県庁舎が移転した事例はいくつか存在する。九州で1番目と2番目の県である、福岡と熊本では過去に県庁舎が中心部から郊外へと移転している。

ここで、福岡や熊本の例を見て、県庁舎が移転すると、どれだけ地元商店街が衰退するのか推測することができる。

福岡県庁は以前天神にあった。熊本県庁も中心商店街である下通りの近くにあった。

そして、県庁舎が移転したことによって、天神や下通りの商店街が大きく衰退した、という例があれば、長崎においても県庁舎が移転することによって、浜の町商店街が衰退する、と考えることができるだろう。

また、福岡や熊本の県庁舎が移転した先で、大きな商店街が発達したということがわかれば、県庁舎自体がもたらす商店街への波及効果というものがどの程度か推測することができる。

商店街が衰退するという立場から長崎県庁の庁舎移転に反対する人は、ここに書いたような理屈で反対行動を起こせば、より効果的であると私は考える。