2020年5月26日火曜日

観光でのコロナ対策は科学的に判断するべき

自粛が解除されても、軍艦島クルーズは再開の目処が立たないらしい。

軍艦島クルーズ 運航再開めど立たず 「3密」回避対策に苦慮


多分、こうなるだろうな、とは思っていた。軍艦島クルーズ船は対策の立てようがないからだ。そもそも密接して座らなければならず、座席間隔を開ければ採算が取れない。

ではなぜこうなるのか。コロナ対策の目的と手段が入れ替わっているからだ。

何のために対策を取らないといけないのか。新型コロナを拡散させないためだ。そこが目的で、「3密回避」というのはあくまで手段でしかないはずなのに、手段の方が目的化して、3密回避が果たせない限りは、コロナ自警団から祭り上げられ、営業をすることができないという状況になっている。

科学的に考えると、軍艦島クルーズを運航するめの対策は、乗客にマスク着用を義務づけるだけで十分なのだ。窓を開けて密閉を避ければ、マスクにより密集、密接によるウイルス拡散は回避できる。

何のために密接を避けるのか。新型コロナウイルスを持っている人が唾を飛ばし、それを近くにいた人が受けて感染しないように、である。これはマスクをすることによって防げる。

今は、マスクをすることが絶対という間違った意識が世間に広がっていて、何のためにマスクをするのかは、完全に置き去りにされている。じゃあ効果のない状況でマスクをして熱中症になったら、どうするのか。ついに厚生労働省も、暑い時には屋外でマスクをする必要はない、と公式に表明した。

暑い屋外、マスク外して コロナに加え熱中症も注意 厚労省など


これより前に、長大病院の泉川教授も、運動時にはマスクを外すことを指摘している。

解除後2週間が鍵 長大病院の泉川公一教授

運動の際のマスクは体に負荷がかかるため、着用せずに距離を取るべきとした。
私が勝手に翻訳すると、マスクは飛沫が飛ばないようにするものであるから、飛沫の届かない距離を開ければ、マスクは不要だ、ということだ。

軍艦島の船は、この逆である。密接は避けられないからマスクをして飛沫が飛ぶのを防ぐ。これで対策は問題ない。

そもそも軍艦島のクルーズ船程度で感染が広がるのなら、大都市部の満員電車なんてもうウイルス広がりまくりになっているはずだ。


ダイヤモンドプリンセスへの「突入」で有名になった神戸大学の岩田教授が、下のようなことを言っている。


「高校野球の開催は可能だった」感染症の専門家が語るゼロリスク思考の弊害


科学的に考えれば、軍艦島クルーズはマスク着用義務化で対策は十分である。でも、それでは世間が納得しないから運航会社は困る。だったら運航会社が例えば長大の泉川教授に「マスクで大丈夫です」と言ってもらえばいいんだろうけど、民間企業がそれを頼むのは難しい。ならば長崎市が泉川教授にお願いして、軍艦島クルーズはこれで大丈夫だと言ってもらえばいい。

長崎市にとっても軍艦島クルーズは貴重な観光資源なのだから、市が関与することで特定の企業に便宜をはかる、という解釈にもならないだろう。もっと行政が積極的に観光客の回復に関与すべきだと思う。


2020年5月18日月曜日

「シンクながさき」の提言は完全に間違っている

長崎新聞の記事で、ながさき地域政策研究所(シンクながさき)がコロナ後の提言をまとめたというものがあった。

「ピンチをチャンスに」 コロナ後見据え提言

具体的な内容について、もうシンクながさきのHPに掲載されている。

(第1部)コロナウイルス緊急事態宣言を受けた長崎への提言―コロナ後の世界に向けて

(第2部)コロナウイルス緊急事態宣言を受けた長崎への提言―コロナ後の世界に向けて


これを読んで、「ああ、参考になった。読んで良かった。」と思う県民が何人いるだろうか。ほぼ誰の参考にもならない文章である。そもそも読む人が何人いるのか。私のブログのアクセス数も少ないが、それと大差ないレベルではないだろうか。それも、本当に参考にしようと思って読む人が何割いるのか、悪いけど疑問に思っている。公務員がとりあえず読むだけ読んで、特に参考にできる話はなかったな、で終わりだろう。県内の公務員のそれなりの割合の人が読むだけで私のブログより遥かに多くのアクセス数にはなるのだろうが。

それとは違い、私のブログを今読んでいる人は、本当に参考にしようと思って中身を真面目に読んでいる人ばかりだと思う。申し訳ないが、シンクながさきの提言より、私のブログの方が遥かに価値が高い。

「コロナ後」を見据えた観光戦略を

「コロナ後」の対策を、特に対馬で早めに立てよう


じゃあ長崎県はこれからどうすればいいのか。具体的な提言を上の記事以外にも、これから書く。


まず長崎新聞の記事の引用から。

 これらの予測や考察を基に、長崎県が取り組むべき具体策を列挙。▽人口分散を見込んだ移住受け入れの促進▽「近距離間観光」の模索▽造船業振興に向けた「病院船」「災害救助船」の製造検討-などを提案している。

いちいち突っ込みを入れるのも面倒なので、観光に絞って書く。

観光についていえば、国内旅行は8月には正常化すると思う。だから、7月以降、どれだけ全国から、特に関東からの客を長崎に呼べるか、その準備を他県に先駆け今できるのかが、問われている。

日本がこの夏までに外国人の観光客を受け入れるとは思えないので、海外からの集客は見込めない。しかし逆に、日本人の海外旅行も、仮に相手国側が許可しても(ヨーロッパは許可すると思う)、日本が帰国後2週間自宅待機などを命じるだろうから、あまり増える見込みはない。となると、これまで海外旅行に出かけていた日本人が国内旅行に振り替える可能性は、高いのだ。

長崎県の現状を考えると、クルーズ船客を除けば、そこまで極端に海外客に依存していた訳ではない。逆に、それを埋めるだけの「海外旅行をしていた日本人客」を県内に呼び込むことが、努力次第では可能だと思う。それこそ今年の夏は県内の離島を売り込みチャンスなのである。

最近東京に行っていないからわからないが、駅などの広告スペースはガラガラらしい。そうであれば、目立つ場所は取り放題。値段も安く叩けるだろう。じゃ今のうちに広告を作っておいて、国内の移動が解禁されれば、一気に長崎県の広告で東京を埋める、なんてことも可能である。これは今年じゃないと、できないことだ。


次に重要なのが修学旅行である。政府もできれば修学旅行は中止ではなく秋以降にやって欲しい、という意向を示している。

まずは長崎県に来る予定だった修学旅行が、確実に来てもらえるように努力するのが第1。そして、時期や目的地を変える学校が、変更後の行き先として長崎を選んでもらえるようにするのが第2である。

近年、特に高校では海外への修学旅行をする学校が増えている。残念ながら今年度は海外は無理だろう。じゃあ代わりに長崎に来てもらおう、ということだ。

沖縄や北海道も受け入れ側の都合もあり、避けられる可能性はある。じゃあ、長崎に来てもらいましょうよ。沖縄の離島に行くつもりだった学校に、かわりに長崎の離島を提案するということも、できるだろう。

そのために、今から県内のホテルを修学旅行用に押さえる。そして航空会社にも、大型の飛行機を秋には長崎に飛ばしてもらうようお願いし、飛行機の座席も押さえる。貸し切りバスはクルーズ船が来ないので空いているだろうから、観光バス会社の経営安定化のためにも、修学旅行用に今から話をしておく。特に飛行機は全国的な航空需要の低下から小型化されているので、夏以降運休便が再開されるスケジュールを立てる時に、「長崎は修学旅行を呼びますから、大型機を入れて下さい」と今からお願いする必要がある。

県内の旅行を増やそうと市長会が県にお願いに行ったようだが、今やることはそれではない。県外客の受け入れ準備をすることだ。

経済浮揚のカギは旅行!?市長会が県に緊急要望【長崎】


今書いた話は、決して非現実的な話ではないと思うし、今すぐにでも対策を立てるべきだと、読んだ人はみんな感じてもらえると確信している。

問題なのは、訳のわからない提言をしている組織に県の政策を委ねている現状である。私のこの文章を、是非平田副知事や中崎文化観光国際部長に読んでもらって参考にして頂きたいと、強く思っている。自分から読んでくれとお願いするつもりは、全くないが(苦笑)。


<追記>
スシローが渋谷スクランブル交差点の広告をジャックしたそうです。

スクランブル交差点が寿司だらけに コロナで人が消えた渋谷、スシローに占拠されていた


私も東京のどこかを、長崎県が観光広告で埋め尽くせ、と言っているのです。

2020年5月13日水曜日

「コロナ後」を見据えた観光戦略を

朝日新聞の記事で、中村知事がコロナ後の客船誘致についての話をしたというものがあった。

長崎)「寄港前から情報入手を」客船感染症対策で知事

中村知事は「中長期的に見ればクルーズ船需要が拡大する」との見方を示し、新型コロナの終息の見通しが立つことや安全対策の整備を前提に、客船の誘致や修繕事業を後押しする方針を示した。

とにかく後手後手の知事が、少しは前向きの話をしたのは、喜ばしく思う。

では将来の観光振興に向けて何をするべきか。「新型コロナ患者を出さない」では駄目で、「患者が出てもきちんと対処できることを住民に示す」ことが重要だ。そもそも新型コロナウイルスは撲滅することはできないと、私が耳にする限り全ての専門家が言っている。だから、「患者を出しません」と言って住民を安心させるのは不誠実であり、患者が出た時に取り返しがつかないことになる。「罹っても対処できますから大丈夫です」と言わないといけない。

対馬を例にして以前記事を書いたので、それも参考にして頂きたい。

「コロナ後」の対策を、特に対馬で早めに立てよう


そのためにも「コスタアトランチカ」号の総括を、きちんと県民に対して行うべきである。


コスタアトランチカ号には、200人程度の感染者がいたと思われる。そもそもPCR検査の精度だと、感染者のうち7割程度しか陽性反応が出ない。だから、陽性者が140人であれば本当の感染者は200人程度だと想定される。

知事がおかしくなったのは、このうち2割が重症化すると聞かされたからだと想像する。200人のうち2割が重症化すれば40人の重症者が発生する。その面倒をどこで見るのか、ということで、県民に行動自粛を呼びかけるという本末転倒の策を取ってしまった。

長崎県医師会の「医療危機的状況宣言」は間違い


実際どうなったかと言えば、重症者は1人だけ。2割どころではない、0.5%である。いかに現実と比べてとんでもない数字を持ち出して医師会と県知事が大騒ぎをしていたのかが、わかる。そのために長崎市内の街中からは人が消え、商店に大きな打撃を与えた。

ここで重要なのは、重症化率は0.5%、致死率は0%だったということだ。これを県民にきちんと説明しないといけない。せめて全員が回復した時点で、知事がはっきり「県民の皆様にはご心配をおかけして申し訳ありません。重症者1人、死者0人で全員回復しました」と県民向けの報告を、マスクを外してするべきである。

そして、もちろん船員に若い人が多いということはあったけど、この程度の病気を恐れて、県に来る観光客を完全に断る必要性があるのかを、県民に考えてもらわないといけない。今の状況だと、離島は観光客お断り、クルーズ船の寄港は絶対反対だ、という県民は多い。それを説得するのは、間違いなく知事の仕事なのだ。


8割の行動削減目標で大きな迷惑を受けた県民の1人として、それを挽回する仕事を知事にはしっかりやって欲しいと思う。



2020年5月5日火曜日

長崎県知事は科学的根拠をもとに規制をかけるべき

新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が延長されたことに伴い、長崎県でも「長崎モデル」と呼ぶ対策が発表された。

長崎の緊急事態宣言延長の対応は 学校・遊興施設・図書館は


これは国による指針を受けてのものだが、全く科学的な根拠を持っていない独自の方針になっている。

築地市場移転問題で、小池東京都知事が「安全と安心は違う」と言って、過大な対策を取ったため予算が増大し移転が遅れた。そして移転した豊洲市場は現在全く問題なく運用されている。科学的根拠に立脚しない安心を求めることで、どれだけのムダな税金と時間を使ったのか、関係者は非難しているが、もう国民はそのことを忘れいる。小池知事は、今度はコロナウイルスの対応で人気を上げ、数ヶ月後に迫っている都知事選で再選を狙っているという状況だ。

安心というのは、きちんと理由を説明して相手を納得させることで成立する。安全であることを知事が理解し、県民にきちんと説明して安心させるのが筋なのだが、中村知事にはそういう姿勢が全く見えない。そもそも知事自身が全く安心していない。ちゃんと勉強して安心して欲しい。私のブログを全部読むだけでも全然違う。


長崎県の新型コロナウイルス対策はどうなっているのか。中村知事は、全く科学的根拠を示さず、感情だけで施策を打っている。市中感染がなく感染者の少ない長崎県で、県民に行動自粛を求めることに対する合理性はなく、それで経済を痛めつけることは悪影響しかないと、私は繰り返し書いてきた

長崎大学には感染症の専門家がいるのだから、専門家と相談して合理的な対策を立てなければ、ただでさえ人口流出が進む長崎県が、もっとひどい状態になるのは目に見えている。

そもそも外出禁止措置が感染拡大防止に役立つという根拠は、ない。ほとんど外出規制をしていないスウェーデンが、他の西欧諸国と比較しても感染の広がりが変わらないままピークアウトしたという事例もある。市中感染が起こっていない長崎県で行動の8割削減を目指すことは、ナンセンスでしかない。


国が出した方針は、以下の通りである。

緊急事態宣言延長 変更が決まった 「基本的対処方針」の詳細


この中で「地域の実情に応じて各県が判断する」という言葉が出てくる。長崎県は客観的に見て、一番緩い規制に留めるべきである。もちろん感染者が少ないことや市中感染が起こっていないことが理由になるが、長崎県の経済状況はもともと最悪である上に、観光業への依存度が高いことも考慮する必要がある。

長崎県が出した対応策は下にある。

新型コロナウィルス感染症への対応について


学校の対応で本土と離島部を分けたのは一歩前進である。しかし、本土部であっても、もともと感染の危険度は低い。平常授業を行うことに全く問題はないが、何故分散登校を取り入れるのか。個人的には、害悪でしかない強制補習授業が削減されることは、いいことだと思っているが。

そして、何故美術館と図書館を開けないのか。国の方針では、特定警戒都道府県でも「博物館、美術館、図書館、屋外の公園などは感染防止策をとることを前提に、開放することも考えられる」としている。何故特定警戒都道府県でもない長崎県で、美術館と図書館を閉鎖したままにするのか。不急不要なのか。少なくとも私は図書館が閉まって困っている。もっとも、大村の県立図書館ではなく長崎市立図書館が閉まっていて困っているのだが、実は県内では長崎県立大学にしかない見たい資料がある。普段なら借りられるのだが、ここも閉まっているから私の研究活動に支障をきたしている。


クルーズ船のことで中村知事の頭がおかしくなっている感じだが、県民全員が迷惑するのだから、もう少し勉強して冷静に対処して欲しい。

2020年5月3日日曜日

長崎県医師会と長崎県知事は今何をすべきか全くわかっていない

長崎県医師会と長崎県知事に対する悪口をこのブログに書いたが、これらの記事はおかげさまで私のブログ史上、最大級のアクセス数を記録している。たくさんの人に読んで頂き、書いた意味があったと強く感じている。

長崎県医師会の「医療危機的状況宣言」は間違い
クルーズ船を追い出した長崎港は将来痛い目にあう


そして、また医師会がピント外れのこと言っているので、文句を書く。
以下は、長崎新聞の記事へのリンク。

収容能力十分でない 長崎県医師会が「危機的状況宣言」


何が問題なのか。離島のことに一言も触れていないことである。
長崎県の医療で、今、特に大事なのは、離島の医療体制ではないだろうか。

他県の人も読んでいるだろうから、長崎県の病院事情に触れておく。多分、医師会というのは開業医が中心になって構成されている。長崎県の場合、長崎市の開業医が中心になるのだろう。そして長崎市の開業医といえば、医療費無料の原爆手帳所持者に処方せんを書くだけで経営が成り立つと言われてきた。事実かどうかは知らない。しかし、そう思っている市民は多い。となると、長崎県医師会は自分の頭を使うのではなく、政治力をつけて経営状態を良くすることしか考えてないのではないか、と思われても仕方がない。もし違うのであれば、いくらでも反論は待っている。このブログ上で公開で議論しても構わない。私の認識が間違っていれば、いつでもブログ上で訂正する。

そもそも今、他県から長崎県に来ないで、離島に来ないでと言っているのは何のためなのか、知事はわかっているのか。多分、わかっていない。感染拡大防止のため、という所まではわかっていても、じゃ他県の人に来るなと言っている間に、何をすべきかということを、わかっているのか。

まず2月24日発表の政府専門家会議の資料を見て欲しい。


例の、「この1〜2週間で」という話の奴である。「現時点」と書いてあるのが、「この1〜2週間が瀬戸際」と言った、現時点である。

この図を見てもらえばわかるが、誰も「この1〜2週間で終息する」とは言っていない。安倍総理が勝手に勘違いしただけであり、今でも総理が正しい考え方を理解しているとは思えない。

瀬戸際というのは感染拡大のペースを抑えられるかの瀬戸際であり、ウイルスを撲滅できるかどうかでは、ない。あくまでウイルスはずっと残る前提で、感染のスピードを抑えて、その間に医療体制を強化し、重篤患者・死亡者を出さないようにする、というのが当初計画であり、それは今に至っても何も変わることはない。

大阪府は外出自粛の解除の条件として、病床使用率などを基準にすることを発表した。

大阪府、経済再開へ基準 病床使用率など


つまり、感染を完全に止めることができない以上は、医療体制が間に合うかどうかが最大の問題なのである。


では長崎県および長崎県医師会は、きちんとこの理屈を理解し準備してきたのか。はなはだ疑問だ。

この病気の特性として、1人の患者からクラスター化すると、一気に10人程度の罹患者が発生する。当然、離島でもそれ位の感染者が数日のうちに発生することは、想定できた。にも関わらず、離島の感染症病床は各島4床しか用意していなかった。足りる訳がない。そして、壱岐で集団感染が起こり、壱岐の4床はすぐに埋まった。

発症者が重篤化するのは、今の日本の数字を見ると2%程度である。もちろんこれはICUが必要な人数であるから感染症病床の数とは違うが、重篤者が大量に発生する可能性は低いので、突然離島で医療崩壊が起こることはないだろう。しかし軽症者用のホテル等を20室程度用意しておく必要はある。壱岐の件があったにも関わらず、全離島で軽症者用の宿泊場所を確保したという話は聞かない。

長崎県医師会の会長さん、インタビューを受けたら、この話は絶対必要じゃないんですか?

そして「コロナ後」の対策を、知事も医師会も今全く考えていないようにしか見えない。このウイルスはなくならない。一旦収束しても、また冬になれば出てくることは考えられる。そうなったら、また「離島には来ないで下さい」と言うのか。それは違うだろう。離島で罹患者が出ても、医療体制は大丈夫だから心配なく来て下さい、ということを、島民にも島外からの旅行者にも言える体制を作らないといけないのだ。

「コロナ後」の対策を、特に対馬で早めに立てよう


今何もやらずに、ある程度収束した時に「島にどんどん来て下さい」と言って、その時に観光客から島民に感染したら、どうするつもりなのか。また再び「島に来ないで下さい」と言うのだろうか。医師会も、この部分はちゃんと言及する義務がある。もっとも医師会よりも各保健所(長崎県管轄)のほうが、対策の中心的役割を担う上で重要であろうが。

こういう体制を調整するのは、知事の仕事である。じゃ中村知事は今何をやっているのか。市中感染が起こっていない長崎県内で、県民に行動の8割削減を求めることで、経済に壊滅的な打撃を与えることがどれだけ危険なのか、全く理解していない。今、県内では市中感染数はゼロなのだから、ゼロはどう下げてもゼロにしかならない。それを抑えつけるような政策を県民に要求するのは、馬鹿げている。五島市長が連休中に県内の人は来島して下さいと言って問題になったが(後で撤回)、気持ちはわかる。そういう意識を持つことは、大事なのだ。


医師会長のコメントに戻る。

 -クルーズ船に関しては、市中感染の可能性が低いことなどが分かってきた。
 状況は推測でしかなく、感染発表(4月20日)から2週間経過する連休明けまでは目が離せない。市中で1、2人の感染が発生してもクラスターになり得る。

可能性が低いのに、可能性がゼロではないといって経済を止めていいのか。お店が潰れ、長崎県内で食えなくなって転出してもいいのか。極端なことをいえば、長崎県にとっては死者が出るのと人口流出が起こるのは、経済面から見ると同じ価値なのである。

まずクルーズ船の件だが、正しいことをすれば、支援する人は集まってくる。実際長崎にも、自衛隊を始め全国から支援団体が集まってきた。以前の記事の内容を繰り返すが、クルーズ船の感染者の影響で長崎県内の医療体制がひっ迫するから困る、みたいなことを医師会や県知事が最初に言うのは間違いである。クルーズ船のことは国が対処すべき話であるから、県内の医療体制は県民向けを第一に考え、クルーズ船の感染者は国に全面的な支援を求める、と最初の段階で言うべきだった。

診療態勢強化 CT車、現地入りへ 集団感染のコスタ・アトランチカ
熊本の災害派遣医療チーム(DMAT)なども


実際には、私が最初に指摘したように、クルーズ船から大量の重篤者が発生する事態にはなっていない。市内の病院に搬送されたのは今の時点で5人であり、人工呼吸器を装着している患者は1人のようだ。悪い方向で想定し準備することは大事であるが、いちばん起こりうるパターンを想定して先のことを考えることも、同様に重要だと私は考える。


そして今、国の専門家会議でも言われていることだが、医学面からだけの意見をもとに政策を決めるのは良くない。経済の専門家も会に入れて欲しいと専門家会議の委員から要望を出しているそうだ。現状、専門家会議が政府の方針を決める場になっているが(安倍総理の意向を専門家会議が反映して承認している、というのが実態)、本来これは違う。医学の専門家会議は医学面からの意見を言えばいいし、それとは別に経済面からの意見をくみ取る場を作り、それぞれの意見を聞いて総合的に政府が方針を決める、というやり方が筋なのである。

長崎県においても同じこと。医師会の意向だけ聞いて、経済面を全く無視するのは良くない。仮に私が経済面からのアドバイスを出す場にいれば、これまでブログに書いたように、医療崩壊・ウイルス蔓延の可能性は低いので、経済活動への打撃は最低限にするよう意見を言った。ここが中村知事は全くわかっていない。

繰り返すが、経済面からいえば、死者が出るのも人口流出が起こるのも、同じことである。長崎で廃業が増え人口流出の原因になり、さらに三菱重工がこれから増やそうとしているクルーズ船の修繕業務まで受注が困難になるような事態になれば、相当数の人口流出を招くことになる。そして離島の観光業はどうするつもりなのか。

こういうことをまともに考える人材が県庁にいないのは、非常に悲しいことだと思う。