2020年5月3日日曜日

長崎県医師会と長崎県知事は今何をすべきか全くわかっていない

長崎県医師会と長崎県知事に対する悪口をこのブログに書いたが、これらの記事はおかげさまで私のブログ史上、最大級のアクセス数を記録している。たくさんの人に読んで頂き、書いた意味があったと強く感じている。

長崎県医師会の「医療危機的状況宣言」は間違い
クルーズ船を追い出した長崎港は将来痛い目にあう


そして、また医師会がピント外れのこと言っているので、文句を書く。
以下は、長崎新聞の記事へのリンク。

収容能力十分でない 長崎県医師会が「危機的状況宣言」


何が問題なのか。離島のことに一言も触れていないことである。
長崎県の医療で、今、特に大事なのは、離島の医療体制ではないだろうか。

他県の人も読んでいるだろうから、長崎県の病院事情に触れておく。多分、医師会というのは開業医が中心になって構成されている。長崎県の場合、長崎市の開業医が中心になるのだろう。そして長崎市の開業医といえば、医療費無料の原爆手帳所持者に処方せんを書くだけで経営が成り立つと言われてきた。事実かどうかは知らない。しかし、そう思っている市民は多い。となると、長崎県医師会は自分の頭を使うのではなく、政治力をつけて経営状態を良くすることしか考えてないのではないか、と思われても仕方がない。もし違うのであれば、いくらでも反論は待っている。このブログ上で公開で議論しても構わない。私の認識が間違っていれば、いつでもブログ上で訂正する。

そもそも今、他県から長崎県に来ないで、離島に来ないでと言っているのは何のためなのか、知事はわかっているのか。多分、わかっていない。感染拡大防止のため、という所まではわかっていても、じゃ他県の人に来るなと言っている間に、何をすべきかということを、わかっているのか。

まず2月24日発表の政府専門家会議の資料を見て欲しい。


例の、「この1〜2週間で」という話の奴である。「現時点」と書いてあるのが、「この1〜2週間が瀬戸際」と言った、現時点である。

この図を見てもらえばわかるが、誰も「この1〜2週間で終息する」とは言っていない。安倍総理が勝手に勘違いしただけであり、今でも総理が正しい考え方を理解しているとは思えない。

瀬戸際というのは感染拡大のペースを抑えられるかの瀬戸際であり、ウイルスを撲滅できるかどうかでは、ない。あくまでウイルスはずっと残る前提で、感染のスピードを抑えて、その間に医療体制を強化し、重篤患者・死亡者を出さないようにする、というのが当初計画であり、それは今に至っても何も変わることはない。

大阪府は外出自粛の解除の条件として、病床使用率などを基準にすることを発表した。

大阪府、経済再開へ基準 病床使用率など


つまり、感染を完全に止めることができない以上は、医療体制が間に合うかどうかが最大の問題なのである。


では長崎県および長崎県医師会は、きちんとこの理屈を理解し準備してきたのか。はなはだ疑問だ。

この病気の特性として、1人の患者からクラスター化すると、一気に10人程度の罹患者が発生する。当然、離島でもそれ位の感染者が数日のうちに発生することは、想定できた。にも関わらず、離島の感染症病床は各島4床しか用意していなかった。足りる訳がない。そして、壱岐で集団感染が起こり、壱岐の4床はすぐに埋まった。

発症者が重篤化するのは、今の日本の数字を見ると2%程度である。もちろんこれはICUが必要な人数であるから感染症病床の数とは違うが、重篤者が大量に発生する可能性は低いので、突然離島で医療崩壊が起こることはないだろう。しかし軽症者用のホテル等を20室程度用意しておく必要はある。壱岐の件があったにも関わらず、全離島で軽症者用の宿泊場所を確保したという話は聞かない。

長崎県医師会の会長さん、インタビューを受けたら、この話は絶対必要じゃないんですか?

そして「コロナ後」の対策を、知事も医師会も今全く考えていないようにしか見えない。このウイルスはなくならない。一旦収束しても、また冬になれば出てくることは考えられる。そうなったら、また「離島には来ないで下さい」と言うのか。それは違うだろう。離島で罹患者が出ても、医療体制は大丈夫だから心配なく来て下さい、ということを、島民にも島外からの旅行者にも言える体制を作らないといけないのだ。

「コロナ後」の対策を、特に対馬で早めに立てよう


今何もやらずに、ある程度収束した時に「島にどんどん来て下さい」と言って、その時に観光客から島民に感染したら、どうするつもりなのか。また再び「島に来ないで下さい」と言うのだろうか。医師会も、この部分はちゃんと言及する義務がある。もっとも医師会よりも各保健所(長崎県管轄)のほうが、対策の中心的役割を担う上で重要であろうが。

こういう体制を調整するのは、知事の仕事である。じゃ中村知事は今何をやっているのか。市中感染が起こっていない長崎県内で、県民に行動の8割削減を求めることで、経済に壊滅的な打撃を与えることがどれだけ危険なのか、全く理解していない。今、県内では市中感染数はゼロなのだから、ゼロはどう下げてもゼロにしかならない。それを抑えつけるような政策を県民に要求するのは、馬鹿げている。五島市長が連休中に県内の人は来島して下さいと言って問題になったが(後で撤回)、気持ちはわかる。そういう意識を持つことは、大事なのだ。


医師会長のコメントに戻る。

 -クルーズ船に関しては、市中感染の可能性が低いことなどが分かってきた。
 状況は推測でしかなく、感染発表(4月20日)から2週間経過する連休明けまでは目が離せない。市中で1、2人の感染が発生してもクラスターになり得る。

可能性が低いのに、可能性がゼロではないといって経済を止めていいのか。お店が潰れ、長崎県内で食えなくなって転出してもいいのか。極端なことをいえば、長崎県にとっては死者が出るのと人口流出が起こるのは、経済面から見ると同じ価値なのである。

まずクルーズ船の件だが、正しいことをすれば、支援する人は集まってくる。実際長崎にも、自衛隊を始め全国から支援団体が集まってきた。以前の記事の内容を繰り返すが、クルーズ船の感染者の影響で長崎県内の医療体制がひっ迫するから困る、みたいなことを医師会や県知事が最初に言うのは間違いである。クルーズ船のことは国が対処すべき話であるから、県内の医療体制は県民向けを第一に考え、クルーズ船の感染者は国に全面的な支援を求める、と最初の段階で言うべきだった。

診療態勢強化 CT車、現地入りへ 集団感染のコスタ・アトランチカ
熊本の災害派遣医療チーム(DMAT)なども


実際には、私が最初に指摘したように、クルーズ船から大量の重篤者が発生する事態にはなっていない。市内の病院に搬送されたのは今の時点で5人であり、人工呼吸器を装着している患者は1人のようだ。悪い方向で想定し準備することは大事であるが、いちばん起こりうるパターンを想定して先のことを考えることも、同様に重要だと私は考える。


そして今、国の専門家会議でも言われていることだが、医学面からだけの意見をもとに政策を決めるのは良くない。経済の専門家も会に入れて欲しいと専門家会議の委員から要望を出しているそうだ。現状、専門家会議が政府の方針を決める場になっているが(安倍総理の意向を専門家会議が反映して承認している、というのが実態)、本来これは違う。医学の専門家会議は医学面からの意見を言えばいいし、それとは別に経済面からの意見をくみ取る場を作り、それぞれの意見を聞いて総合的に政府が方針を決める、というやり方が筋なのである。

長崎県においても同じこと。医師会の意向だけ聞いて、経済面を全く無視するのは良くない。仮に私が経済面からのアドバイスを出す場にいれば、これまでブログに書いたように、医療崩壊・ウイルス蔓延の可能性は低いので、経済活動への打撃は最低限にするよう意見を言った。ここが中村知事は全くわかっていない。

繰り返すが、経済面からいえば、死者が出るのも人口流出が起こるのも、同じことである。長崎で廃業が増え人口流出の原因になり、さらに三菱重工がこれから増やそうとしているクルーズ船の修繕業務まで受注が困難になるような事態になれば、相当数の人口流出を招くことになる。そして離島の観光業はどうするつもりなのか。

こういうことをまともに考える人材が県庁にいないのは、非常に悲しいことだと思う。