2020年4月26日日曜日

「コロナ後」の対策を、特に対馬で早めに立てよう

この記事は2020年4月26日に書いている。
一連の話は「いつ書いたものか」が重要なので、私の他の記事を読む時にも、日付は注意してもらいたい。

長崎では新型コロナウイルス感染拡大防止の対策が今「出始めてきた」感じがあるが、全国あるいは東京の状況を見ると、感染はもう収束に向かっている。


上記記事内では「8割おじさん」こと西浦教授によると、東京では4月10日頃から横ばい、17日以降さらに鈍化しているという分析だ。他の記事では、大阪や福岡でも鈍化傾向だと話していた。日本全国でも収束に向かっている。

東洋経済オンラインより https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/


長崎では今になって「人の動きの8割減」を知事が訴えているが、そもそも市中感染が確認されていない県内で、接触を削減することで得られる感染拡大防止効果は、ほぼ無い。それよりも経済活動が停止し、廃業が増えることの方が問題だ。

もちろん、8割減をやるな、と言うつもりはない。それと並行して、日本全体では収束に入っている状況をふまえ、もう「コロナ後」のことも考える必要がある、と訴えたい。


今回の新型コロナ騒動では、社会科学の研究者から積極的な発言が行われているのが印象的だ。もちろん感染症の専門家は忙しくて発信する余裕がないのだろうが、適切な情報をもっと発信して欲しいと感じている。

私も投稿している「アゴラ」というサイトでは、かなり鋭い分析が連日続けられている。後になって、ここでの指摘は適切だったと振り返られる日が必ず来ると信じている。参考までにいくつかの記事へのリンクを張っておく。


私も社会科学が専門で感染症は全くの専門外なのだが、ずっと状況の変化を追ってきた。専門家会議の会見は全て見てきたし、この状況なので医学系の学会シンポジウムが会員外でもネットで見れるものもあり、そういう場を通して医学的な視点からの情報も入れている。

その前提から意見を書くと、早めに「コロナ後」の対策、特に観光施策について議論しておくことが大事だと感じる。特に対馬においてである。


今現在の状況をいえば、感染した場合の致死率は当初の話より大幅に低いこと、インフルエンザと同様撲滅は不可能で、これからずっと付き合っていく必要があること、一般的なコロナウイルスは夏場に不活性化し冬場に盛り返すので、夏にかけて一時的に収束しても、冬になればまた盛り返す可能性があること、などが医学的に言われている。

まずこのことを県民に広く知らせないといけない。そして、すでに長崎市民も相当の人数が感染している可能性がある、ということもである。

以上をふまえた上で特に気になるのが、対馬がこれからどうするかだ。ごく簡単にいえば、国境措置が解除されたら、一時的にでも韓国から大量の入国者があることは間違いない。韓国人もどこかに行きたくてうずうずしている。その時に対馬がどう対応するのか、である。

はっきり言えば、国境を開ける開けないに関わらず、人の出入りがある限り、必ず感染者は出る。出た時にどうするのか、だ。ずっと島を閉鎖するつもりなのか、感染者が出た場合に素早く対処する、という方針に切り替えるのか、である。ニュージーランドは鎖国で感染を抑え込んだため、どうやって国境を開くか、相当悩んでいるのが実状である。

仮に韓国人が原因と思われる感染者が出た場合、また国境を閉ざすのか。そこを事前に決めてく必要はある。そして新型コロナは永遠に続く話だということを、きちんと島民に説明しなければならない。

韓国人が原因で感染したとなると、韓国人に対する差別は、今のクルーズ船船員に対する長崎市民の差別意識とは比較にならない大きさになることは容易に予測できる。そうならないための対策は、早めに考えておくに越したことはない。

これから一気にではなく徐々に国境を開くことになるだろう。となると、どの段階で1日何人の入国を認めるのか、国としっかり相談して計画を立てないといけない。安倍総理の気まぐれで方針がすぐ変わる(外国からの入国者を成田・羽田・関西空港に絞って、船での入国は認めないという方針も、唐突に決まった)が、国と早めに連絡を取り合うことは重要である。

そして、感染者が出るという前提で医療体制を用意することが必要になる。どれ位の勢いで感染が広がる可能性があるのか、感染者が出た場合はどこで療養するのか、という計画は、事前に必ず決めておかないといけない。

国の方針は、この部分では後手後手に回っていた。無症状の人間まで感染症病床に入れる方針にこだわったので、病床が軽症者であふれ、病院関係者は疲弊した。早い段階で「軽症者はホテルへ」という意見は強く出されていたが、ホテル療養の方針が出たのは病床が埋まって身動きが取れなくなった1ヶ月後だった。

長崎県の離島でも同様だ。各離島に感染症病床は4床しかなかった。新型コロナでクラスターが発生したら、10人位の患者はすぐに出る。実際、あっという間に壱岐市の感染症病床は埋まってしまった。


医療体制の計画を立てるために重要なのが、抗体検査によって免疫を持った人が実際にどの程度いるのかを調べることだ。私は、長崎市民はもうすでに相当数免疫を持っている人がいると思う。外国から多くの人が入ってくる可能性がある対馬こそ、大規模な免疫調査をする必要がある。


これは学術調査になるので、長崎大学が主体になって研究費を使ってやればいい。長崎大学から話を持ちかけるべき、とすら思う。そして対馬市・対馬保健所が協力して、厳原と比田勝の中心部で大規模な免疫調査をすることを提案したい。

対馬市には韓国人観光客激減に伴う予算が付いているはずだ。その予算の一部を免疫調査に回してもいいだろう。

私は医学部の研究はどういう感じで進めているのかは知らない。しかし、これが経済学であれば、こういう調査なら喜んでやりたいと思う人は多い。

申し訳ないが、疫学の学術レベルに対して疑いの目を、特に社会科学者が向けている。これを払拭するためにも長崎大学の熱帯医学研究所には頑張ってもらいたいし、経済学部にも学内における地位向上のために、一緒に対馬の復興計画を立ててもらいたいと思う。