2021年4月22日木曜日

疫学は易学だ

 私はこの一年で、「疫学は易学だ」ということがわかり、あちこちでそう発言してきた。

特に西浦教授のシミュレーションは酷い。あのシミュレーション結果より占いのほうが、余程信憑性が高い。


それで驚いたのが、下の記事。

長崎大学 5月連休明けに感染一日120人超えを予測

「占いじゃないです。理論に基づいた値を皆さんに見せてるだけです。この図を示すことによって皆さんの行動変容を促すことにひとつでも役に立てればと思っています」

なんだ、疫学のシミュレーションは占いレベルだという自覚はあるんじゃない。

みなさん、事後的にこの占いが当たったのか、きちんと振り返りましょうね。


このシミュレーションの内容を私の所に持ってきてもらえれば、どこがおかしいか指摘して、このブログに掲載してあげますよ。 


私は今まで長崎大学は信頼していたけど、その信頼が最近崩れているという話は、以前書いた

この記事を読んで、もう完全に信頼感はなくなった。

2021年4月21日水曜日

衆議院で「感染経路はエアロゾルだ」という議論が行われる

私は繰り返し、新型コロナの主要な感染経路は飛沫や接触ではなく、呼気に含まれるエアロゾルだということを主張してきた。そしてアクリル板やマスクは、エアロゾルの感染を防ぐには逆効果だ、ということも、繰り返し書いてきた。

間違った感染防止対策に則った認証制度に意味はない

北陽台高校の感染防止対策を見て具合が悪くなった

「マスク会食」に効果があるのか専門家は検証せよ

飛沫防止用ビニール幕が集団感染の原因か?

そして今日の衆議院厚生労働委員会で、2人の議員からこの件に関して質問があった。

衆議院TVインターネット審議中継

宮本徹議員が7:41:50から、青山雅幸議員が8:13:40から、この件について採り上げている。

どちらも、私が何度か紹介した「THE LANCET」の論文が基本になっている。

Ten scientific reasons in support of airborne transmission of SARS-CoV-2


この質疑を通して私が感じたのは、厚生労働省が一度決めた方針を変えることができずに、1年経って新しい知見が出ても、以前の方針を撤回できなくなっている、ということである。

もちろん、日本においては最初は密閉回避ということを言っていた。それなのに欧米の研究者が「ソーシャルディスタンス」と言い始めて、日本もそれに従うようになったのが、最大の間違いだったのだ。


今の感染対策は飛沫防止に偏りすぎていて、さらに「人出を減らす」ということまで、また言われ始めた。昨年末に外出を減らして家に篭もったことが原因で感染爆発を招いたにも関わらず、である。

私はこのブログでは「科学的に物事を考える」ことを基本に記事を書いている。私は博士(経済学)の学位を持っており、社会科学者としての自覚はある。そして、特に長崎のような地方においては、科学ではなく感情で政策が動かされることが多すぎるので、それを少しでも是正し、科学的見地から政策を作る動きを作りたいと思ったのが、このブログを始めた最大の理由である。

「科学的思考」という点では、社会科学も自然科学も変わりはない。私は学部は理学部出身である。大学院から経済に移ったので、自然科学と社会科学双方の基本的な考え方は理解しているつもりだ。


科学的に考えると、新型コロナの感染は、飛沫や接触ではなくエアロゾルによるものだということは、もうほとんど間違いない。心ある専門家はみんなそう思っていると、諸々の発言から私は感じている。長崎大学の専門家もそう考えているから、長崎県においては飲食店の感染防止対策としてアクリル板などの飛沫防止より換気を重視し、そう指導してきたと思っていた。

それが最近、何故かアクリル板とかマスクとか言い出したので、相当落胆しているし、長崎大学への信頼も一気に無くなってしまった(苦笑)。

長崎県知事の会見に落胆した


ここで政府が「この一年間で蓄積された知見によると、感染経路は飛沫や接触ではなく、エアロゾルが中心である。だから、換気だけをとにかく注意して、あとの対策は無理のない程度で構わない」と言えば、どれだけ社会の停滞感が払拭されるだろうか。

正直、現状では国にコロナ対策を収束させる気がなく、各首長は「自分が仕事をしている感」を出せて支持が上がるので、騒動を永遠に続けたいと思っているように、私は感じている。

コロナ騒動を終わらせるには、まず飛沫対策をやめることから

せめて長崎県だけは、ちょっと前に戻って、アクリル板とかマスクとか言わずに、正しい対策を取って県民が生き生きとした生活を送れることを目指して欲しい。感情だけで動くのは、もうやめよう。

2021年4月20日火曜日

間違った感染防止対策に則った認証制度に意味はない

いわゆる「山梨モデル」というコロナ対策で認証を受けた飲食店で新型コロナの集団感染が起こった。

山梨の認証店で6人感染 変異株クラスターか

記事によると、「換気のために開けていた出入口を閉めるなど客側のルール違反があった」、ということだ。

絶対的に言えるのは、「認証された店で集団感染が起こるのなら、認証制度に意味はない」ということである。


では、何故認証された店で集団感染が起こったのか。

単純に認証基準が間違っていたからである。


まずどういう条件で飲食店での感染が起こるのか。根本的に間違った認識が日本中にまん延している。

感染原因は飛沫や接触じゃなく呼気に含まれる微小な飛沫(エアロゾル)なのである。だから、いくら飛沫対策のアクリル板を置いたりマスクを着用させたりこまめな消毒をしても、換気が不十分なら感染は起こる。逆に換気さえしっかりしておけば、集団感染は起こらないのである。

それについて私は繰り返し主張してきた。

北陽台高校の感染防止対策を見て具合が悪くなった

「マスク会食」に効果があるのか専門家は検証せよ

長崎県知事の会見に落胆した

そして権威ある医学雑誌「THE LANCET」にも私の主張を裏付ける論文が掲載された。

Ten scientific reasons in support of airborne transmission of SARS-CoV-2


山梨県の認証基準は飛沫対策と消毒に偏っていて、換気対策が不十分なのだ。

感染症予防対策に係る基準(飲食業)

ここでは、換気の条件として「30 分に 1 回、5 分程度、2 方向の窓を全開」と書かれている。私はその分野の専門家ではないからこれが妥当なのか判断する能力を持ち合わせていない。しかし最近は専門家のアドバイスだと「常時換気」と言われていることしか見かけないので、私の認識としては、常時換気じゃないと危ないと思っている。


長崎県はこれまで飲食店に対して飛沫対策よりは換気の徹底を強調してきた。ところが今になってパーティションの設置やマスク着用を飲食店をまわって促しているのだ。

長崎県や長崎市が飲食店に新型コロナ感染防止対策を呼びかけ

なんで長崎県の感染対策が間違った方向に進んでいるのか、不思議でならない。


<4/21追記>

長崎新聞の記事

コロナ感染防止対策 徹底を 長崎県、酒類提供の飲食店に呼び掛け

写真を見て欲しい。

こんなシートを垂らしたら、換気が悪くなって感染対策としては逆効果です。

行政ががこんな間違った対策をお店を回って教えて、どうするの?

2021年4月16日金曜日

長崎県知事の会見に落胆した

 いや、会見自体は見てないのですけど。

後で資料を見て、相当落胆してしまいました。


今まで、私は長崎県のコロナ対策は素晴らしいと思っていた。あちこちで「長崎県は素晴らしい」と言いまくっていた。

長崎県知事の会見が素晴らしすぎた


それなのに、である。何ですか、今回の会見内容は。

本当に、がっかり。

知事記者会見(令和3年4月15日)


何でアクリル板を設置した飲食店を利用しなきゃいけないんですか。

アクリル板なんて、換気を悪くするので、逆効果にしかなっていません。

私はアクリル板やマスクを推進する人たちに対して、逆効果にしかならない対策を勧めるので非科学的だ、と批判し続けてきた。長崎県は科学的にやっていると評価していたのに、本当に残念。

「マスク会食」に効果があるのか専門家は検証せよ


何でこうなっちゃったんだろうか。

以前は中村知事は「長崎県では飲食店が感染場所になっているという根拠はない」と断言するなど、ものすごく科学的根拠をもとに対策を打っていると思っていた。アクリル板やマスクを強調することなく、換気を重視するなど、世間で言われている「間違った対策」ではなく、「正しい対策」を推進しているのが長崎県だと思っていた。

首長は選挙のことを気にするので、世論に迎合する傾向が強まる。しかし中村知事は多分今期で引退するので、世論を気にせず、正しい対策を取っていけると、私は思っていた。

さらに長崎大学の専門家は、新型コロナに対して正しい認識を持っている人が多いという印象を持っていたので、知事も長大の専門家の意見を裏付けにして、国の流れに流されず、長崎県だけは正しい対策を取っていけると、これまでは思っていた。県民として、中村知事の姿勢を誇らしく感じていた。


それなのに、何故?という感じである。

知事に対する失望だけでなく、長崎大学に対する私の信頼も、一気に崩れた。感染原因はエアロゾルによる空気感染がほとんどで、大飛沫や接触はほとんど無いって、長大の研究者はわかっていると思っていたのに。


もう1年も新型コロナに付き合ってきて、なんで1年前と同じ間違った対策をやっているのか、と、世間に対して常々失望しているのだが、まさか長崎県まで1年前に逆戻りするとは、本当にがっかり、である。

私もこの1年、私なりの考えをブログに書き続けてきた。1年経って、私の考えは間違っていなかったと思っている。私のブログを見返して頂きたい。1年前に私が言っていることは、決して間違いではなかったということがわかるはずだ。私は1年経って、自分の考え方が正しかったと検証できたと思っている。

今だにマスクだのアクリル板だのこまめな消毒だの言っている人たちは、それに効果があったのか1年経った今、検証しているのか。アクリル板がなかったりマスクをしていなかったり消毒をやらなかった所で、感染爆発が起こっているのか。決してそうではない。感染が起こっているのは、換気不足の所ばかりである。いい加減、そのことに気付いて、正しい対策を取り、社会を健全化させる方向に動いて欲しい。


余談になるが、このままだと、来年も「長崎くんち」は中止になるだろう。1人でも新型コロナの陽性者が出ると大騒ぎする、という態度が変わらない限り、今後2度と「長崎くんち」は行われなくなる。

踊町の人たちのくんちに対する気持ちは、その程度だったのかと、これもがっかりしている。屋外行事を2年続けて中止する必要性が、どこにあるのか。徳島の阿波踊りは、規模を縮小してでも今年は開催することになった。岸和田のだんじりも、やるだろう。やらないと暴動が起こると言われている。長崎くんちの踊町の人たちの気持ちは、それに比べると大したことはないんだな、と実感させられた。


(4/16 追記)

新型コロナの感染が飛沫や接触じゃなくエアロゾルによる空気感染だという説明。

Ten scientific reasons in support of airborne transmission of SARS-CoV-2

(SARS-CoV-2の空中伝播を支持する10の科学的理由)←GOOGLEによるタイトルの翻訳

THE LANCETのWikipediaによる解説

私は専門外なので、THE LANCETというのが、どの程度信憑性のある記事なのか、理解していません。

長崎大学の専門家であれば、この内容位は当然知っているはずです。知らないんだったら、税金で食わせる価値はありません。すぐ解雇して下さい。医師免許を持っている人なら、年収1500万円は保証されていますから、すぐ解雇されても生活には何も困ることはないです。


2021年4月13日火曜日

観光地での過剰コロナ対策をやめよう

私は競技スキーをやっていて、この冬シーズンも各地の大会に出場した。

そのため各地を旅行してきたのだが、コロナ対策の掲示を見るだけで、旅行気分が吹っ飛んで不快になってしまう。

目的はスキーの大会に出ることや練習をすることなので、それで不快になったからといって旅行をやめることはないのだが、当分の間は絶対に観光目的での旅行はしたくないと思うようになった。旅先で不快な思いをするのなら、旅行をしない方がお金もかからなくて、いい。


旅先で駅の改札を出た瞬間に「マスクを着用しましょう」という大きな掲示があちこちに出されていると、もうその土地には2度と行きたくないと感じてしまう。青森県、栃木県、新潟県はひどかった。鳥取県はそんなことはなかったので、この冬大山には何度も行った。

長崎県は、長崎空港に着いてからリムジンバスに乗るまで「マスクを着用しましょう」という掲示を目にすることがないから、快適だ。正確には快適なのではなく、不快にならないだけなのだが。月に2〜3回長崎空港を利用していると、最初は何とも思わなかったが、北日本で不快な思いを重ね続けたら、いかに長崎が快適なのか実感するようになった。

また、最近は「安いから」という理由でアパホテルを利用することが多い。旅を重ねるうちに、いかにアパホテルが快適かということが、よくわかるようになった。アパホテルは館内や客室内に「マスクを着用して下さい」という掲示がなく、従業員からマスクを着用するようにと言われることもない。これがものすごく快適。もちろんそれが快適なのではなく、不快にならないだけなのだが。ホテル中に「マスクを着用しましょう」という目立つ掲示があれば、それだけで不快になる。


旅先で「マスクを着用しましょう」という掲示を見るといかに不快になるかは、去年の夏に雲仙に行った時に実感させられた。

雲仙温泉は避暑地としての魅力向上を

長崎市・雲仙市・佐世保市は長崎大学監修のもと、宿泊施設共通のガイドラインを定めている。

team NAGASAKI SAFETY

ガイドライン詳細資料

この中のどこにも「客にマスクを着用させる」ということは書いてない。

そもそも大きな感染原因は飛沫じゃないことは明らかになっているので、飛沫防止のマスクやアクリル板は効果がないばかりか逆効果になっているのだ。そんな過剰対策を促す掲示を沢山出すことで、旅行者を不快にさせる必要は全くない。

「マスク会食」に効果があるのか専門家は検証せよ

幸い長崎大学の研究者はマスクの効果に疑問を持っている人が多いように感じられるので、長崎県は過剰対策や感染防止を促す掲示をしない方向性を持って、観光客を迎えて欲しい。


東京ディズニーランドは過剰対策がひどく、全く夢の国ではなくなっているという話も聞いた。屋外であっても、マスクを着用していないと、すぐスタッフが飛んできてマスクを着けろと言うそうだ。ハウステンボスはどうなのか知らないが、マスクについて何も注意しない快適な環境を作って、口コミででも観光客を増やす方向になって欲しい。

私は去年9月に対馬に行ったが、比田勝は何とも思わなかったけど、厳原は「マスク着用」の掲示が多すぎて、絶対行きたくないと感じた。今のところ、雲仙と厳原には当分行かないつもりだ。

2021年4月4日日曜日

「マスク会食」に効果があるのか専門家は検証せよ

 大阪府で政令に基づき「マスク会食」を義務づけ、違反者には罰則を与える方針が示されたことが話題になっている。

それと同時に、神戸市長は「マスク会食は不潔で、かえって危険」だとして、神戸市民には「マスク会食」を推奨しない、という逆の方針を示している。ちなみに、少なくとも私の周囲の医師は、みんな「マスクは汚い」と言っている。

“マスク会食”自治体で温度差 神戸市長「かえって危険」


こういう、自治体によってちぐはぐな方針が示されるのは、専門家がきちんと感染原因に対する検証を行っていないことが要因である。

今回の騒動でわかったのは、感染症の専門家は、自分たちが言ったこと・やったことの検証を事後的にしない、ということだ。私は経済学の博士所有者であり、研究者の端くれである。研究者というものは、自分が言ったことが正しかったのかどうかはきちんと検証して、間違っていた所は正し、より正確な理論を作るという作業を、当然のようにやるものだと思っていた。

ところが感染症の分野ではそうではないらしい。言いっ放しやりっ放し。検証しない。これは感染症の専門家の中にも自覚している人がいて、Facebookのコメントで「今までは検証せずに済まされてきた」と専門家がはっきり書いているのを、私は見た。


そもそもマスクに効果があるのかどうかすら、きちんと検証されていない。吉村大阪府知事は「飛沫が感染原因なのだから、マスクに効果がないはずがない」と言っているが、そもそも飛沫が感染原因なのかどうかに対する専門家の検証が、今現在きちんと行われていないのだ。

私は去年の8月に、長崎北陽台高校の感染事例についてきちんと検証すべきだという内容の記事を書いた。

北陽台高校の感染防止対策を見て具合が悪くなった

ここで指摘した中で一番重要なのは、「感染原因が飛沫なのかエアロゾルなのか、きちんと検証しないといけない」ということだ。

日本では初期の段階で、感染原因は密閉空間にある、ということが言われていた。その対策として「3密回避」が真っ先に挙げられたのである。

最初は、何故密閉空間で感染が起こるのかというメカニズムはわかっていなかった。しかし、実際感染が起こっているという事実があるのだから、それをなくす対策を取る、というのは、科学的に正しい対処である。理由は後付けでいいのだ。

その後、どうやら呼気に含まれるマイクロ飛沫(エアロゾル)が感染原因だということがわかった。だったら、換気を良くすることでエアロゾルの滞留をなくし、二酸化炭素(CO2)濃度を測定することで換気状況を把握する、という対策が取れる。


ところがその後、欧米で「ソーシャルディスタンシング」という対策が行われるようになった。「人と人との距離を取る」ということだが、これは飛沫による感染が前提になっている。実際に飛沫による感染が起こっているのかどうかは、検証されていないのに、である。日本も突然、「3密回避」より「ソーシャルディスタンス」が主要な対策であると認識されるようになった。「3密回避」を言っていた当時の専門家会議は会見でマスクを着用していなかったが、ある日突然「ソーシャルディスタンス」を言い出して、全員がマスクを着用するように変わった。

ここでわかったのが、医学の専門家は、自分の頭で理屈を考えるのではなく、欧米で言われていることをそのまま伝えるということである。欧米でやっていることが正しいのかどうか、検証することなく無条件に日本で適用することが正しいと思っているようだ。これも、経済学の研究者の私からすると信じられないことであった。工学の研究者も信じられないようで、実際医学の専門家が出すシミュレーションに対し、経済学や工学の専門家から具体的な間違いの指摘や、日本の現状に合わせたより正しい計算方法について、多くの提案がされるようになった。


感染原因が飛沫なのかエアロゾルなのか、ということで、取る対策は変わってくる。飛沫ならマスクや遮へい用のアクリル板が有効であるし、エアロゾルなら換気施設が重要になる。そして、アクリル板は空気の流れが悪くなるので、換気とは相反する結果になる。どちらがより重要なのかは、専門家なり行政なりがはっきりと指針を示さないといけない。

問題なのは、過去に行った対策が間違いであったとは、専門家も行政も絶対に言わないことである。新型コロナの騒動は世界で初めての事例なのだから、当然最初は間違った対策を取ることもあり得る。しかし、1年経って事実が色々とわかってきても、決して対策を修正しようとはしないのは、科学者としての私の感覚からすると、信じられない状況だ。

大阪府は、換気を悪くするアクリル板設置と換気状況を把握するCO2測定器の設置という、相矛盾する政策を同時に勧めている。飛沫対策が中心だった初期の政策を見直すことなく、換気重視という新たな政策を加えるから、こういうおかしなことになる。過去の施策を見直さず新たな施策を加えて、役所の仕事が膨張していくというのは、よくあることで決して感心できることではない。

また、換気状況を把握するためにCO2濃度を測る、という対策がやっと今広まってきたが、「3密回避」を言い出してから1年も経っている。ソーシャルディスタンスを強調しすぎたばかりに、それと違うが有効な対策が浸透するまで1年もかかるというのは、あまりにも遅すぎる。行政と専門家が、ほんとうに感染拡大を抑えようという気持ちがあるとは、私には全く思えないのだ。

ちなみに長崎県の飲食店向け補助金は、対象が換気設備だけだった。科学的に考えると、換気の徹底が感染防止の最優先対策なのだ。

長崎県「飲食店向け新しい生活様式対応支援補助金」公募スタート!

行政や専門家は、自分たちの面子を守ることが最大の目的になっていて、本当に感染拡大を抑えようとする姿勢がない、と私は感じている。飛沫よけビニールシートで換気を悪くして、従業員が集団感染する、という事例も散発しているが、「換気を悪くする飛沫対策は、逆効果だからやめましょう」というアナウンスは、全く私の耳に入ってこない。


罰則が適用される法律が施行されたのだから、せめて感染原因が何なのかは、科学的に検証されるべきである。罰則適用にあたり裁判所の判断を仰ぐことになるし、東京では飲食店が原告になって行政を訴える裁判も提起されている。興味のある方は、リンク先に掲載されている訴状を、是非読んで頂きたい。

コロナ禍、日本社会の理不尽を問う(コロナ特措法違憲訴訟)

素人の裁判官を納得させられる科学的証拠を行政側が示さないと、行政側は裁判で負ける。きちんと科学的検証をしないと、裁判に負けて行政にも迷惑をかけることになる、ということを行政のアドバイザーになっている専門家は自覚して欲しい。