長崎県も新型コロナの感染者が増加したため、県内の感染ステージが上がり、県下全域に特別警戒警報が発令された。
それに伴い、1月6日に長崎県の会見が開かれ、たまたま私も見ていた。
知事記者会見(令和3年1月6日)
知事の会見は、春に感情的になって「接触の8割削減」を騒いでいた時のイメージしかなかったので、見ないようにしていた。その頃のことで、散々知事と医師会の悪口をブログにも書いていた。
ところが昨日の会見では、知事はとにかく落ち着いていて、科学的な証拠に基づき県の施策を説明していた。かなり驚いた。夏ごろには知事も冷静になっていたのだろうが、元々ちゃんと冷静に物事を考えられれば、中村知事は優秀な方だと私は思っているので、コロナ対策という点ではいい方向に長崎県政は回っていると感じた。
会見を見ての印象は、とにかく冷静に知事が発言しているということだった。質疑応答も担当者に振ることは少なく、知事自ら答えていた。知事自身が状況をしっかり把握し、中心になって施策を立てていることの現れだと思う。
直近の状況をいえば、会見前日に県内の陽性者数が過去最高を記録し、当日も2番目の数字であった。それでも危機感を過剰に煽ることなく、冷静に発言されていた。
私自身も、クラスターが発生して、一時的に陽性者の数字が高くなることはあっても、全体としては減少傾向に入っているのではないかとブログで書いた手前、いくらクラスターが発生しているとはいえ、陽性者の数字がこの数日高いので気になっていた。
その件に関しても、知事から「壱岐など市職員に対して、一度陰性が出ても同じ人に再度調査したら陽性が出るなどして、数字が継続的に発生しているだけで、感染が拡大している訳ではない」との説明があった。
この辺の調査も学術目的にやっているのではないかと思った。私はむやみに調査をすることには基本的には反対だ。特に市職員に高齢者はいないはずなので、入院させる必要のない症状の人まで陽性が出ることによって入院などの措置を取る必要が出れば、医療に負担がかかる。
壱岐市職員に継続的に陽性者が出ていたので、特に離島の医療負担を重くしないように、あんまり検査するなよと思っていた。しかし状況がわかっていて検査をしているのであれば、学術的には重要なデータになるので、どんどんやって頂きたい。そもそもPCR検査は7割位しか精度がないので、3割は見落とす。時間を置いて検査することで、どの程度見落としていたのかがわかるのは、学術的に重要だ。また、感染日から時間をおいて陽性が出ても、その人に感染力はもう無いということもわかっているので、過剰な隔離体制を取る必要もなく、医療機関に負担をかけない対処も可能で、そこまで理解した上で長崎県は継続的な調査をしているのだろう。
一番重要なのは、主要な感染場所が飲食店ではないと断定されたことである。だから飲食店に対する営業自粛は求めないと、はっきり知事から言われた。都会では感染経路不明者の感染場所が飲食店だというエビデンスがある「みたい」だけど、長崎県では感染経路不明者はほんとうに感染経路がわからない、とおっしゃっていた。これは実は全国的にも重要なことである。
感染場所が飲食店ではないのに、そこに営業自粛を強要するのは、ただの飲食店イジメでしかない。感染拡大防止の効果はないのに、飲食店を壊滅させ経済に多大なダメージを与えるだけだ。そして失業者が増え、若者の自殺者が増える。全国の統計では、新型コロナウイルスによる死亡者より、自殺者の増加数のほうが多い状況が続いている。
昨年末に長崎市内の飲食店を対象に行った集団検査で、陽性率が0.6%であったことにも言及されていた。東京の民間検査機関だと、無症状者対象でも1〜1.5%の陽性率になっている。それと比較すると、かなり低いといえる。この数字を見ても、飲食店が感染場所になっていると決めつける訳にはいけない。感染場所じゃないのに、そこに営業自粛を求めるというのは、政策として間違っている。
日本全体が間違っているのは、こういう何の科学的根拠もないことを、緊急事態宣言の名のもとに行っているのだ。マスコミが煽って国民が規制強化を求めるから、政治家としてはそれに答えないと支持率が下がる。だから、何の効果もない政策をどんどん打ち出して、自分の人気を高めようとする。東京都の小池知事が典型である。第1波の時より新型コロナ対応の確保病床を減らしておいて、今大騒ぎしているとは、政策的には大間違いなのであるが、都民の支持は高い。
長崎県では、こういう間違った政策を県が取っていないことに対して、ものすごく好感が持てる。ここまで科学的根拠を基本にして過剰対策を取らない都道府県も、他にはないのではないかという感じだ。政策は科学を基本にすべきだという考えの私としては、中村知事の方針を強く支持したい。
最後に繰り返す。特に長崎市では感染経路不明者が増えている。長崎市副市長もそうだったと思われる。長崎市内では、もうどこにでもウイルスはある状態なのだ。だからウイルスを貰わない努力以上に、ウイルスを貰っても発症しない体力を維持することが重要なのだ。医師会の間違ったメッセージを聞いてはいけない。
長崎県医師会は論理的ではない
県からの長崎市民に対する「不急不要の外出を控える」要請でも、「不急不要の外出に当たらない事例」として「屋外での運動や散歩等」を挙げている。外に出て日光を浴びて適度な運動をし、心身ともに健康な状態を保つことが、最大のコロナ対策になる。決して年中マスクを着用して家に篭もることがコロナ対策なのではない。県の今回の要請のどこにも「マスク着用」とは書いていないのだから。