2018年6月19日火曜日

福岡銀行は「借り換えサポート」を使って融資先の選別を行う

十八銀行の統合問題で、最近福岡銀行側からの発言が多く出るようになっている。

十八銀との経営統合 借り換え調査「来月初めまでに」、ふくおかFG社長が見通し

最初の頃は十八銀行側からの発言しかなかったのが、公取委の経営統合を許可しない姿勢が強くなって、福岡銀行側があせり始めたのだろうか。

福岡銀行側の狙いは、長崎県全域を自分の支配下に置いて稼ぐことであり、経営統合が認められないと、おいしい話がなくなるので、是非とも認めさせたいのだろう。当然、福銀が長崎の企業の発展なんか考えているはずはない。自分の利益のために合併したいのだ。

私は最初から一貫してこの経営統合に反対している。その大きな理由は合併で銀行間の競争がなくなることも当然だが、長崎から地元資本の地銀がなくなって、長崎の企業が福岡の銀行の支配下に置かれることによる弊害が大きいと思うからだ。

もし十八銀行・親和銀行が「借り換えサポート」を行うことによりシェアを下げるとすれば、銀行から見て「おいしくない」融資先を他行に譲ろうとするのは目に見えている。十八銀行にそのつもりはなくても、福銀は確実にそうする。


ところで私の会社がどこの銀行から融資を受けられているのか、ここでまとめておく。

・融資してくれる銀行
 十八、肥後、北九州
・融資してくれない銀行
 福岡、親和、長崎、メガバンク3行

私は、この統合問題のゴタゴタに乗じて県内で営業攻勢をかけている肥後・北九州両行から融資を受けることで、十八銀行と競争させて金利を低めにさせるようにしているが、そもそも融資してくれない銀行ばかりになると、競争に持ち込むことができない。

ちなみに、何故私の会社に融資してくれないか、と言えば、私の会社は資産を持っていないので、信用力が低いためだ。その辺の話はここに書いた。もちろん会社の信用力が低くても、社長が資産を持っていれば貸してくれるのだが、今の時代に社長の資産を担保にして会社に融資する、なんてことをやるのは、おかしな話だ。おかしな話なのだが、福岡銀行や親和銀行は今でもそれをやっている。私が福岡銀行から融資を受けなくなったのも、社長の個人資産を会社の担保から外してくれなかったためであり、親和銀行から新たな融資を受けていないのも、融資の相談をした時に社長の個人資産を教えてくれと親和銀行の担当者から言われたからである。これが問題発言なら、いつでも私から金融庁に直接話をしますよ。

十八銀行が福銀傘下に入るとどうなるか。融資基準が福銀と同じになれば、私の会社には貸すな、という指示が出るはずだ。実際に、従来は融資を受けられていた親和銀行からは、融資基準が福銀と一緒になったとかで、新規の融資は受けられなくなった。もちろん、融資をいきなり引き上げられたら会社が潰れるから、露骨なことはしないだろう。但し、親和銀行が経営危機に陥った時には、容赦なく融資を引き上げて会社を潰しまくっていた。私もその時代に親和銀行から融資を受けていたので状況はよくわかっている。

ここで「借り換えサポート」というシステムがあれば、どうなるか。十八銀行側から「このままの条件では融資を継続できません。担保を入れるなり金利の引き上げを了承してください。あるいは「借り換えサポート」をしますので、他行から借りて下さい。」と言う(福銀に言わされる)のは目に見えている。

こうして、福岡銀行は自分にとって都合の悪い企業を他行に押し付けることが出来るのだ。

とにかく、こんなに筋の悪い経営統合は認めるべきでないし、長崎の財界や行政まで統合賛成というのは、どういう考えからなのか、きちんと説明して欲しいと思う。


2018年6月6日水曜日

市議会のジャパネット参考人招致は「きちんとした」意見聴取を

長崎新聞に、市議会がMICE施設整備に関して、幸町での施設整備を予定しているジャパネットホールディングスの参考人招致をする方向で検討しているという話が出ている。

市議会MICE施設予算審議 ジャパネット側招致へ アリーナ計画と重複懸念


MICE施設に関する記事は前々回前回の2回にわたって書いたが、おさらいを含めて、市議会には「きちんとした」意見聴取をして欲しいという話を書きたい。もちろん、以下に書く内容は、市議会の関係者に向けたものではなく、MICEに関する議論がおかしくなっている市民向けになる。

まずMICE施設は公設民営である、ということについて、再度念押ししておく。採算が取れるかどうかは市が決めることではなく、応札する民間企業が判断することだ。儲かると思うから入札するのであり、赤字覚悟で入札するのであれば、何か裏がある。だから、「採算が取れない」と騒ぐ人は、採算性に関して市に文句を言うのではなく、応札した企業に問い合わせるのが筋なのだ。もしかすると市との関係で黒い部分が出てくるのかもしれないが、それは市を攻撃するのではなく、まず応札企業側を調べなければならない。

ジャパネットの幸町開発計画が出て、MICEの採算性に疑問が出てくるのであれば、事業を止めるのは市側じゃなく応札企業側である。「事業の前提が変わって採算性に疑問が出たので、辞退させて下さい。」と応札企業側が言わないと、おかしい。市側から事業を止める理由は、ない。

これは築地市場の豊洲移転に伴う千客万来施設の例をみれば、わかりやすい。この施設はもともと採算性に疑問があった。最初に応札した喜代村が辞退したのだが、それは近くにある「大江戸温泉物語」が閉鎖される前提で計画したが、大江戸温泉の延長が決まり、前提が変わったという理由だった。

また、現在事業者になっている万葉倶楽部が、小池都知事の誕生により築地に類似施設が出来る可能性が生まれ、前提が変わったということで都に条件変更の申し出をしている。民間企業として事業を行うのであれば、前提が変わって採算性に疑問が生じる事態になれば、一度再考するのは当然のことである。


長崎のMICE施設についてはどうだろうか。外野が騒ぐだけで、事業者の声は全く聞こえてこない。

「長崎でMICE施設が成り立つはずがない」という声は沢山聞くが、成り立たないのであれば事業者が降りる、というのが資本主義の常識である。事業者が降りると言わない限り、事業者側は採算が取れると考えている、とみなすのが当然の論理なのだ。「辞退しないのは市との間に黒い話があって、採算が取れなくても事業をすることに価値があるのだ」、と思うのであれば、市ではなく事業者側に採算性の見込みについて怪しい所がないのかを確認するのが先である。

こういう「当然の論理」が働いていないから、私はMICE反対を叫ぶ人は、とにかく市がすることには何でも反対だ、という感情で動いているとしか思えない。


議会によるジャパネットへの参考人招致について話を移す。

MICE施設は公設民営であり、市が施設を作る。そのため、市としては運営事業者にとって使いやすい施設を作ろうとしなければならない。これはまさに豊洲の千客万来施設において、事業者の万葉側が東京都に要求していることである。他に事業参加を希望する団体がいない状況で、都が事業を進めたいのであれば、事業者の採算性に配慮した土壌作りを都がするのは当然のことである。

だから長崎のMICE施設も、ジャパネットの施設と重複をなくし、MICE運営事業者が赤字を出さないような環境を作るために、ジャパネット側と事前に協議をするのは、当然のことであり自然の流れになる。

そのはずなのだが、「ジャパネットが施設を作るからMICEは要らない」とジャパネット側からの言葉を引き出そうとする議員が出てきそうで、そうならないように常識的な対応をしてもらいたいな、と現時点では思っている。自分の意見を通したいがためにジャパネットを利用するというのは、ジャパネット側から見ても気分のいいことではない。