2018年6月6日水曜日

市議会のジャパネット参考人招致は「きちんとした」意見聴取を

長崎新聞に、市議会がMICE施設整備に関して、幸町での施設整備を予定しているジャパネットホールディングスの参考人招致をする方向で検討しているという話が出ている。

市議会MICE施設予算審議 ジャパネット側招致へ アリーナ計画と重複懸念


MICE施設に関する記事は前々回前回の2回にわたって書いたが、おさらいを含めて、市議会には「きちんとした」意見聴取をして欲しいという話を書きたい。もちろん、以下に書く内容は、市議会の関係者に向けたものではなく、MICEに関する議論がおかしくなっている市民向けになる。

まずMICE施設は公設民営である、ということについて、再度念押ししておく。採算が取れるかどうかは市が決めることではなく、応札する民間企業が判断することだ。儲かると思うから入札するのであり、赤字覚悟で入札するのであれば、何か裏がある。だから、「採算が取れない」と騒ぐ人は、採算性に関して市に文句を言うのではなく、応札した企業に問い合わせるのが筋なのだ。もしかすると市との関係で黒い部分が出てくるのかもしれないが、それは市を攻撃するのではなく、まず応札企業側を調べなければならない。

ジャパネットの幸町開発計画が出て、MICEの採算性に疑問が出てくるのであれば、事業を止めるのは市側じゃなく応札企業側である。「事業の前提が変わって採算性に疑問が出たので、辞退させて下さい。」と応札企業側が言わないと、おかしい。市側から事業を止める理由は、ない。

これは築地市場の豊洲移転に伴う千客万来施設の例をみれば、わかりやすい。この施設はもともと採算性に疑問があった。最初に応札した喜代村が辞退したのだが、それは近くにある「大江戸温泉物語」が閉鎖される前提で計画したが、大江戸温泉の延長が決まり、前提が変わったという理由だった。

また、現在事業者になっている万葉倶楽部が、小池都知事の誕生により築地に類似施設が出来る可能性が生まれ、前提が変わったということで都に条件変更の申し出をしている。民間企業として事業を行うのであれば、前提が変わって採算性に疑問が生じる事態になれば、一度再考するのは当然のことである。


長崎のMICE施設についてはどうだろうか。外野が騒ぐだけで、事業者の声は全く聞こえてこない。

「長崎でMICE施設が成り立つはずがない」という声は沢山聞くが、成り立たないのであれば事業者が降りる、というのが資本主義の常識である。事業者が降りると言わない限り、事業者側は採算が取れると考えている、とみなすのが当然の論理なのだ。「辞退しないのは市との間に黒い話があって、採算が取れなくても事業をすることに価値があるのだ」、と思うのであれば、市ではなく事業者側に採算性の見込みについて怪しい所がないのかを確認するのが先である。

こういう「当然の論理」が働いていないから、私はMICE反対を叫ぶ人は、とにかく市がすることには何でも反対だ、という感情で動いているとしか思えない。


議会によるジャパネットへの参考人招致について話を移す。

MICE施設は公設民営であり、市が施設を作る。そのため、市としては運営事業者にとって使いやすい施設を作ろうとしなければならない。これはまさに豊洲の千客万来施設において、事業者の万葉側が東京都に要求していることである。他に事業参加を希望する団体がいない状況で、都が事業を進めたいのであれば、事業者の採算性に配慮した土壌作りを都がするのは当然のことである。

だから長崎のMICE施設も、ジャパネットの施設と重複をなくし、MICE運営事業者が赤字を出さないような環境を作るために、ジャパネット側と事前に協議をするのは、当然のことであり自然の流れになる。

そのはずなのだが、「ジャパネットが施設を作るからMICEは要らない」とジャパネット側からの言葉を引き出そうとする議員が出てきそうで、そうならないように常識的な対応をしてもらいたいな、と現時点では思っている。自分の意見を通したいがためにジャパネットを利用するというのは、ジャパネット側から見ても気分のいいことではない。