2020年4月27日月曜日

クルーズ船を追い出した長崎港は将来痛い目にあう

普段あんまり露骨に個人名を出して悪口を書くことはないのだが。
今回のクルーズ船をめぐる中村知事の対応には、本当に腹が立つ。

普段船会社に対してたくさん長崎港に来て下さいと言っているくせに、相手が困っている時に追い出すというのは、どういうことだ。

私が船会社だったら、治療をしてくれたことに対して感謝はしても、以後極力長崎港には近付きたくないと思う。

困っている人がいれば助けてあげるのが、人として当たり前のことではないだろうか。

クルーズ船2隻が長崎出港 国通じ県が協力求める

また24日に長崎を出港した同社所有のコスタ・ベネチア(13万5千トン、乗組員781人)が、予定時刻の午後6時半を大幅に遅れて、同11時前に松が枝岸壁を離岸した理由について県は「次の行き先がなかったのではないか」と説明。

行き先がなくて困っている船に対し、とにかく出て行けというのは、何なのでしょう?
これ、命令出したの、中村知事ですよね?

そりゃ、船内にたくさんの患者が出て、大変になったことは、わかる。でも、医師会の言い方はどうなの?「医師会に過剰な負担がかからないように、私から国に強く要請する」と、中村知事が言わないといけないんじゃないの?

長崎大学には感染症の研究拠点がある。こんな時こそ、「我々に任せろ」と士気が上がったはずだ。私も研究者として、わかる。ここは自分たちの出番だ、と思ったはずだし、思わなかったんなら、悪いけど税金使ってあなたたちを雇う価値はない。すぐに職を辞して下さい。

「コスタアトランチカ」の船員は600人超。多分、全員検査しないといけなくなるな、と思ったら、やっぱりそうなった。で、何日かかるかな、と思えば、えらい早く全員の検査が終わった。

客船乗員全検体600人超 4日間で迅速検査 長崎大協力

検査の指揮を執った同大感染症共同研究拠点の安田二朗教授は「これをもう一回やれと言われたら誰か倒れます」と苦笑い。
いや、お疲れ様でした。大変だったでしょう。でも、充実感はあったと思う。研究者として社会の役に立てるのは、ほんとうに誇りに思えることだ。長崎大学の研究者には「面倒だからクルーズ船に出ていって欲しい」と思っている人がいないことを、信じている。

陰性乗組員帰国へ 他2隻は近く出港 コスタ社

同工場にとどまっているクルーズ船コスタ・セレーナ(11万4千トン、乗組員669人)とコスタ・ネオロマンチカ(5万6千トン、乗組員393人)が近く長崎を出港することも発表。2隻は国外に向かうが、行き先は未定という。

「やることはやったから、早く出ていって下さい」なんですか。行き先は未定なんですよ。これが、普段クルーズ船誘致を進めている港のやることですか。私、相当腹が立ってます。

集団感染の長崎停泊クルーズ船 「交代の乗下船は必要」日本支社幹部が経緯説明

 その上で「船を受け入れていただいた三菱や県、市に感謝している。情報は判明次第開示していきたい」と述べた。
そりゃ、感謝はするでしょう。で、この人たちをまた路頭に迷わせるのですか?そして落ち着いたら、「長崎港に来て下さい」と言うのですか?


とにかく中村知事の虫の良さには、腹が立っている。人として、おかしいと思う。

ここまで書いているのを読んでも、「クルーズ船は早く出て行け」という長崎市民はいるんでしょうね。どう思うのも勝手です。


<追記>
三菱重工記念長崎病院がクルーズ船の患者を受け入れることになった。

クルーズ乗組員治療 受け入れ表明 三菱重工記念長崎病院


受け入れようと思えば、やり方は色々出てくる。やろうとする気持ちが、まず重要。
それをする前に追い出そうとする中村知事の態度は、絶対におかしい。

2020年4月26日日曜日

「コロナ後」の対策を、特に対馬で早めに立てよう

この記事は2020年4月26日に書いている。
一連の話は「いつ書いたものか」が重要なので、私の他の記事を読む時にも、日付は注意してもらいたい。

長崎では新型コロナウイルス感染拡大防止の対策が今「出始めてきた」感じがあるが、全国あるいは東京の状況を見ると、感染はもう収束に向かっている。


上記記事内では「8割おじさん」こと西浦教授によると、東京では4月10日頃から横ばい、17日以降さらに鈍化しているという分析だ。他の記事では、大阪や福岡でも鈍化傾向だと話していた。日本全国でも収束に向かっている。

東洋経済オンラインより https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/


長崎では今になって「人の動きの8割減」を知事が訴えているが、そもそも市中感染が確認されていない県内で、接触を削減することで得られる感染拡大防止効果は、ほぼ無い。それよりも経済活動が停止し、廃業が増えることの方が問題だ。

もちろん、8割減をやるな、と言うつもりはない。それと並行して、日本全体では収束に入っている状況をふまえ、もう「コロナ後」のことも考える必要がある、と訴えたい。


今回の新型コロナ騒動では、社会科学の研究者から積極的な発言が行われているのが印象的だ。もちろん感染症の専門家は忙しくて発信する余裕がないのだろうが、適切な情報をもっと発信して欲しいと感じている。

私も投稿している「アゴラ」というサイトでは、かなり鋭い分析が連日続けられている。後になって、ここでの指摘は適切だったと振り返られる日が必ず来ると信じている。参考までにいくつかの記事へのリンクを張っておく。


私も社会科学が専門で感染症は全くの専門外なのだが、ずっと状況の変化を追ってきた。専門家会議の会見は全て見てきたし、この状況なので医学系の学会シンポジウムが会員外でもネットで見れるものもあり、そういう場を通して医学的な視点からの情報も入れている。

その前提から意見を書くと、早めに「コロナ後」の対策、特に観光施策について議論しておくことが大事だと感じる。特に対馬においてである。


今現在の状況をいえば、感染した場合の致死率は当初の話より大幅に低いこと、インフルエンザと同様撲滅は不可能で、これからずっと付き合っていく必要があること、一般的なコロナウイルスは夏場に不活性化し冬場に盛り返すので、夏にかけて一時的に収束しても、冬になればまた盛り返す可能性があること、などが医学的に言われている。

まずこのことを県民に広く知らせないといけない。そして、すでに長崎市民も相当の人数が感染している可能性がある、ということもである。

以上をふまえた上で特に気になるのが、対馬がこれからどうするかだ。ごく簡単にいえば、国境措置が解除されたら、一時的にでも韓国から大量の入国者があることは間違いない。韓国人もどこかに行きたくてうずうずしている。その時に対馬がどう対応するのか、である。

はっきり言えば、国境を開ける開けないに関わらず、人の出入りがある限り、必ず感染者は出る。出た時にどうするのか、だ。ずっと島を閉鎖するつもりなのか、感染者が出た場合に素早く対処する、という方針に切り替えるのか、である。ニュージーランドは鎖国で感染を抑え込んだため、どうやって国境を開くか、相当悩んでいるのが実状である。

仮に韓国人が原因と思われる感染者が出た場合、また国境を閉ざすのか。そこを事前に決めてく必要はある。そして新型コロナは永遠に続く話だということを、きちんと島民に説明しなければならない。

韓国人が原因で感染したとなると、韓国人に対する差別は、今のクルーズ船船員に対する長崎市民の差別意識とは比較にならない大きさになることは容易に予測できる。そうならないための対策は、早めに考えておくに越したことはない。

これから一気にではなく徐々に国境を開くことになるだろう。となると、どの段階で1日何人の入国を認めるのか、国としっかり相談して計画を立てないといけない。安倍総理の気まぐれで方針がすぐ変わる(外国からの入国者を成田・羽田・関西空港に絞って、船での入国は認めないという方針も、唐突に決まった)が、国と早めに連絡を取り合うことは重要である。

そして、感染者が出るという前提で医療体制を用意することが必要になる。どれ位の勢いで感染が広がる可能性があるのか、感染者が出た場合はどこで療養するのか、という計画は、事前に必ず決めておかないといけない。

国の方針は、この部分では後手後手に回っていた。無症状の人間まで感染症病床に入れる方針にこだわったので、病床が軽症者であふれ、病院関係者は疲弊した。早い段階で「軽症者はホテルへ」という意見は強く出されていたが、ホテル療養の方針が出たのは病床が埋まって身動きが取れなくなった1ヶ月後だった。

長崎県の離島でも同様だ。各離島に感染症病床は4床しかなかった。新型コロナでクラスターが発生したら、10人位の患者はすぐに出る。実際、あっという間に壱岐市の感染症病床は埋まってしまった。


医療体制の計画を立てるために重要なのが、抗体検査によって免疫を持った人が実際にどの程度いるのかを調べることだ。私は、長崎市民はもうすでに相当数免疫を持っている人がいると思う。外国から多くの人が入ってくる可能性がある対馬こそ、大規模な免疫調査をする必要がある。


これは学術調査になるので、長崎大学が主体になって研究費を使ってやればいい。長崎大学から話を持ちかけるべき、とすら思う。そして対馬市・対馬保健所が協力して、厳原と比田勝の中心部で大規模な免疫調査をすることを提案したい。

対馬市には韓国人観光客激減に伴う予算が付いているはずだ。その予算の一部を免疫調査に回してもいいだろう。

私は医学部の研究はどういう感じで進めているのかは知らない。しかし、これが経済学であれば、こういう調査なら喜んでやりたいと思う人は多い。

申し訳ないが、疫学の学術レベルに対して疑いの目を、特に社会科学者が向けている。これを払拭するためにも長崎大学の熱帯医学研究所には頑張ってもらいたいし、経済学部にも学内における地位向上のために、一緒に対馬の復興計画を立ててもらいたいと思う。



2020年4月25日土曜日

外国人差別につながる言動はやめよう

クルーズ船のことで、色々騒いでいる人が多いですが。

そもそも、「コスタアトランチカ」号の船員がどこで感染したかは、明らかにされていない。以前書いたが、長崎市内で感染した可能性もある、と関係者から聞いている。但し時間が経っているので、新たな情報が出ているかもしれないので、この段階で断定できないが。

つまり、長崎市民が加害者で外国人船員が被害者だという可能性も、あるのだ。そのことは、市民の方にもわかって頂きたい。

船員が市内県内県外に出ていたとか大騒ぎをして、あたかも船員が日本にウイルスを撒き散らしていたような発言をする人が目に付く。

そういう発言が、外国人差別に結びつくということを、ちょっとは想像して欲しい。発言しているあなたがウイルスを撒き散らしている可能性だって、あるのだ。

本当は平戸市長のようなメッセージを長崎県知事や長崎市長が発しないといけないのだが・・・。

見ていない人は、必ず下の平戸市長からのメッセージを読んで下さい。

平戸市長から市民の皆様へのメッセージ(令和2年4月22日)

一部だけ引用。
危険を未然に防ぎ安全を守ることは重要です。しかし今回の敵は「見えない感染症」であり「他県ナンバーの車」ではありません。すでにお隣の佐世保市でも6例目の感染者が出たと発表されています。福岡県内の感染者の数よりも少ないですが、だからと言って「佐世保ナンバー」を排除することができるでしょうか。平戸市民の車も「佐世保ナンバー」です。つまり誰かを排除するのではなく、ひたすら自分と自分の家族を守る行動をとっていただきたいと願うばかりです。
「他県ナンバーの車」を「クルーズ船の船員」に置き換えて下さい。

2020年4月24日金曜日

長崎県医師会の「医療危機的状況宣言」は間違い

長崎県医師会が「医療危機的状況宣言」を出した。

「助かる命 救えぬ」 長崎県医師会 医療危機宣言

 長崎市内で会見した県医師会の森崎正幸会長は「クルーズ船のクラスター発生で本県は(現在の感染確認地域を上回る)『感染拡大警戒地域』に入ったと判断せざるを得ない」と危機感をにじませた。

これ、「クルーズ船の対応をしないといけなくなったから、県民に対する医療がしわ寄せを受ける」と言っているようにしか聞こえない。

私が今回の記事で注視しているのは、このメッセージを誰に伝えたいのか、ということだ。私は、県民に対して言っているようにしか読めなかった。当然、そうなんだろう。


前回も書いたが、私はクルーズ船は長崎で積極的に引き受けるべきだと思っている。平常時には「沢山来てくれ」と言っておきながら、都合が悪い時には追い返す、というのは、絶対におかしいと考えるからだ。

もちろん、クルーズ船の対応に人手を取られて、県民に十分な医療が提供できないことになるのは、本末転倒だ。だから、「県民に対する医療体制は最優先で割り当てておく。余裕がある分で、県内でクルーズ船客の対応をする。」と、はっきり言って欲しかった。

クルーズ船の対応でどれだけ医療資源を使う必要があるのかは、わからない。横浜のダイヤモンドプリンセスの場合だと、関東では足りずに愛知の病院にまで搬送された。

もちろん、当時は全員をホテルに収容したのに対し、今は重篤化しない限り船内で療養することになっているので、あの時ほどの病床が必要になる訳ではない。

とはいえ、長崎県医師会が危機感を持つのは理解できる。それを県民の負担に持ち込むのか、ということだ。

クルーズ船の対応は国がするべきことだ。だから、最初から「県民にしわ寄せが来そうになれば、早めに他県での対応をお願いするよう国に要望する」と言って欲しい。できないことまで県内で背負うことはないし、県民に対する医療サービスを低下させてはいけない。

この件に関しては、医師会だけでなく県知事もはっきり言わなければならない。「県民に迷惑はかけません。そこは国としっかり調整します。」と、医師会ではなく知事が言うべきことだ。中村知事が言えないのなら、平田副知事にお願いして言ってもらってもいい。

長崎大学も話をするべきだ。我々はもっと危険なウイルスを普段扱っているのだから、しっかり対処するので、市民が心配する必要はない、と、言わないといけない。「BSL-4の件で市民の方々には心配をおかけしています。我々はこういう事態のために日々研究をしているのです。危険な病原体の扱いには慣れています。今回もしっかり対応しますので、市民の皆様は安心して下さい。」位のことは、大学の担当者が市民の前で言えないのだろうか。


新型コロナウイルスに関するニュースは世界中にすぐ伝わる。2月に北海道知事が「緊急事態宣言」を発令した時に、私は大丈夫なのか心配した。すぐ世界に伝わるので、北海道が福島と同じような扱いを受けて、海外から人が来なくなるのではないかと感じたからだ。こういう悪評がつくと、何年も回復させることはできない。せっかく海外でも「北海道」というブランドを長年かけて築いてきたのに、この1つの宣言で、全て壊してしまうのだ。そこまで鈴木知事は考えていただろうか。

実際、発令後は福島に匹敵する位のインバウンド客減になってしまったのだ。

新型コロナ、観光に試練 星野氏「黄金週間まで続くと深刻」

やむを得なかったと思うが、北海道の「緊急事態宣言」が出たときから、北海道の需要の落ち込みは他の地域と比べて圧倒的に高くなった。緊急事態宣言の海外への伝わり方も実態よりもかなり深刻に伝わり、これは私が東日本大震災で原発事故のあった福島で経験したときに匹敵するくらいだった。インバウンドの北海道からの撤退がすごく激しかった。

特にインバウンド観光関係を重視する地域では、自分の発言が海外にどう報じられるかまで考える必要があるのが、今の時代なのだ。

「Nagasaki」の名前は、地元住民が思っている以上に海外で知られている。私がジンバブエに行った時に、昼食で同席したケープタウン在住の南アフリカ人に「日本のどこから来たのか?」と聞かれたので「長崎」と答えると、「港がある街だね」との返事があった。多分、クルーズ船関係で長崎の名前を知っていたのだろう。それ位、長崎の名前は世界に伝わっている。

長崎で製造された「ダイヤモンドプリンセス」の名前は、悪い意味で世界に伝わってしまった。しかし今回、世界中で忌避されているクルーズ船の対応を長崎でしっかりやった、ということになれば、世界中に「長崎はいい所だ」という評判が伝わるだろう。


今回の県医師会の発言が海外で否定的に報じられることはないと思うが、メッセージを出す場合は、誰がどう受け取るのかをしっかり考えてから、県民に対してだけでなく世界の人まで伝わるということを意識しなければならない。


<追記>
横浜でダイヤモンドプリンセスの対応にあたった方からも、「長崎県境を越えて負担を分散し、医療提供体制を守らないといけない」との指摘がある。


<追記2>
4月25日現在のデータで、日本国内で重症化するのは、感染者の2%程度である。当然、検査されていない感染者も多いので、実際の重症化率は、もっと低いと考えられる。

「東洋経済オンライン」より引用
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

クルーズ船乗員の不安感は長崎市民の比ではない

前回の続き

「市民が不安だからクルーズ船を着岸させるべきではない」という意見がある。
これは余りにも自分勝手な意見ではないか。
クルーズ船の乗員がどれだけ不安に思っているのか、想像して欲しい。

修繕中だった「コスタアトランチカ」号に加え、「コスタベネチア」号が補給のため長崎港に着岸した。

この船は、どこも受け入れてくれる場所がないから、乗員を乗せたまま長崎近海をうろうろしていた。いよいよ燃料と食料が尽きてきたから、補給するために長崎港に一時的に着岸したのだ。

少しでも船員たちの気持ちになれれば、どれだけ不安感を覚えているか、想像できるだろう。この状態で船内にウイルスが蔓延すれば、いよいよ受け入れてくれる場所はない。いつ船を降りられるかも、わからない。降りられても、自分の国に帰れる保証はない。帰れた所で、この仕事を続けられるかどうかも、わからない。船会社が倒産することだって考えられるし、今まで通りの便数でクルーズ船が就航できることは、当分あり得ないのだ。

だからこそ、長崎港で受け入れてあげるべきだということは、前回書いた。長崎でなら、十分対応可能なはずである。


そもそも、コスタアトランチカ号の船員がどこから感染したのかは、まだ不明である。長崎市内で市民から感染した、という可能性だって、あるのだ。

欧米諸国で一気に感染拡大したのに比べて、日本での拡大の勢いが遥かに小さいのは事実だ。何故拡大しないのか。理由はいくつか考えられているが、有力なのは「すでに感染した人が多くて抗体を持っているから、罹らない人が多い」という説である。

今、諸外国では抗体検査を進めている。抗体検査をすれば、発症していなくても無自覚で罹患していて、すでに免疫ができているかどうかがわかる。外国の調査によると、思ったより遥かに多くの人が抗体を持っていたという報告が、あちこちから出てきている。ニューヨークでは14%の人に抗体があったと発表されている。

米ニューヨーク州 約14%に抗体確認と発表 コロナウイルス


日本にも、すでに去年からウイルスが入ってきていたという話は、結構耳にする。私の知人の関西在住者も、今思えば明らかに新型コロナウイルスの症状で発熱していたし、関東在住の医者は、1月に診た肺炎患者の症状は、実は新型コロナじゃなかったかな、という話もしている。

医者から見ても、「ちょっと変だったけど、治ったからいいや」という症例が、実は相当あるのだ。

長崎市内だって、あれだけ中国人が来ていたのだから、全くウイルスが市内に出ていないとは考えられない。すでに罹患している人は、相当数いるはずだ。私自身も、1月にいつもと症状が違う発熱があった。あれだって、新型コロナだったのかもしれない。

日本でも相当数の無症状感染者がいる、ということは慶応義塾大学病院の検査でわかった。なんと無症状者のうち6%の患者が陽性だったのだ。

慶應大病院「新型コロナ以外」入院患者、5.97%で陽性


となると、クルーズ船の乗員から長崎市民が感染する危険性よりも、市民から乗員に感染させる危険性の方が、高いのかもしれない。


と、色々考えても仕方がない。話を元に戻せば、「困っている人がいたら助けてあげる」というのが人として当たり前のことであり、長崎ではクルーズ船の乗員を助ける能力はあるのだから、クルーズ船を排除するのではなく受け入れる方向で考えるのが、当然の答えになると私は考える。

2020年4月23日木曜日

困っている人がいたら助けてあげるのが人として当然の行為

前回の続き

修繕中のクルーズ船「コスタアトランチカ」号だけでなく、物資の搬入のために別のクルーズ船も長崎港に入港している。

それに対しても「入港させるな」という声があるようだ。

クラスター発生のクルーズ船と同会社が運航のクルーズ船が 長崎港に入港


何故、困っている人に対して、助けてあげようという気になれないのか。
乗員の人たちは食べ物がないと生きていけない。世界中の港から寄港を断られている中、長崎で助けてあげようという気に、どうしてなれないのか。

ウイルスが怖いということもあるかもしれない。しかし、横浜でダイヤモンドプリンセス号が停泊していたからといって、横浜で感染が広まったという話は、全くない。何も怖がることは、ないのだ。きちんと対応すれば、何の危険もない。

長崎大学は感染症の分野で世界でもトップクラスの実績がある。だからこそ、長崎で対応するべきなのだ。今のコロナウイルスより遥かに危険な所で研究を進めている方々がいるのだから、今回のクルーズ船の対応には、全く問題がないはずだ。

長崎大学の専門家は、ダイヤモンドプリンセスの事件を見て、「自分が手助けしたい」と強く思っていたはずだ。研究者って、そういうものである。自分にその能力があるのなら、何かあった時に、すぐその知見を活かしたいと思うものだ。思わないのであれば、税金を使って研究者を支援する必要はない。

今度は長崎に出番が回ってきた。「今度こそは、自分たちがうまくまとめてやる」という気持ちで燃え上がっているだろう。


困っている人がいるのであれば、助けてあげられる人が助けるのが、当たり前のことである。

福島の原発事故の後、福島産の桃を長崎で大量に販売した。

風評被害が大きく、福島産というだけで、日本のどこでも店頭に置くことができない状況だった。しかし、長崎の人だからこそ、食べ物に被害はないということは知っている。だから、長崎で沢山売って、福島の人に深く感謝された。

事故の年だけでなく、その後もずっと桃のシーズンになると福島市長が長崎に挨拶に来るようになった。私の会社の小さな事務所にまで、福島市長が挨拶に来た。後でたまたま福島市から長崎市に出向で来ていた職員の方とお話しする機会があったが、福島市長が桃の季節に長崎に挨拶に行くことは、最重要事項として申し送りされているそうだ。


後で感謝されるために助けてあげる、というのは間違った考え方だが、困った人がいるのであれば、助けられる人が助けてあげるというのは、当たり前のことだ。クルーズ船に関しては、積極的に長崎で手助けするべきである。

2020年4月22日水曜日

「コスタアトランチカ」号への対応は人道的見地から行うべき

長崎港で修繕中のクルーズ船「コスタアトランチカ」号の乗員から、新型コロナウイルス感染者が発生した。

長崎のクルーズ船、感染拡大懸念 乗員「家に帰りたい」


長崎からすぐに出ていって欲しい、という声も出ているようだが、ここは人道的見地から冷静に考えて欲しい。

クルーズ船は感染拡大を恐れて、各国から寄港を拒否されている。
そうなると、乗員はどうすればいいのだろうか。

国に帰ればいい、と簡単に言うかもしれない。でも、多分だが、フィリピンは帰国を許さない。そして、許されないまま、何ヶ月も船内での生活を続けて、修繕中であるにも関わらず、長崎でじっと船の中に留まっていた、という事実はしっかりと受け止めないといけない。

国に帰りたくても帰れない人は沢山いる。日本人だって、アフリカから帰れない人が何百人もいるのだ。クルーズ船には世界中の乗員がいるので、帰りたくても帰れない人たちの事情にも配慮するべきだ。

アフリカ15カ国から10ルートで帰国 茂木外相明かす



日本はダイヤモンドプリンセス号への対応経験があるので、対処にはもうノウハウがある。当然、長崎港のことであっても、国の協力は確約されている。

日本の方針として、軽症者はホテル待機という方向が出ている。幸いこの船には乗客が乗っていないので、船内に部屋はあり余るほどある。そこで待機すればいいのだ。

重篤化すれば長崎市内の病院で世話をすることになるだろう。しかし、若者の多くは重篤化しないので、うまく行けば船内から誰も外に出ずに全員快方へ向かうことも、少なくない可能性として、ある。

クルーズ船の乗客は高齢者が多い。しかし乗員は若い人が多い。今船内にいるのは乗員だから、船内で重篤化させない方向で努力して、外に出さない努力をすることが大事なのだ。

(東洋経済オンラインよりhttps://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

これが年齢別の感染者の状況である。40代以下なら、ほぼ重症化していない。

長崎市民であれば、市内を歩いているクルーズ船の船員らしき人を見かけたことはあるだろう。みんな40代以下だと思いませんか?

フィリピン籍の船員は、当分国に帰れないと思う。そうなると、きちんと健康面の確認が取れれば、伊王島のホテルに滞在させてあげてもいいだろう。

新型コロナウイルスは、管理されていれば何も恐れることはないのが現状である。下船時に全員の感染チェックをして、そのままホテルに滞在してもらうというのが、人道的に見た正しい方針だと思う。


そして、いい対応をして貰えたと感謝されて、以後の修繕受注に結びつける方向を目指すのが、長崎にとって最良の方針である。