2019年8月31日土曜日

JR九州は新幹線より駅ビル事業のほうが重要

西日本新聞に以下の記事が出ている。

長崎駅スカイロード構想 暗雲 県とJR、思惑に相違


もうこの話題は去年さんざんやったのだが、私にとって何のメリットもないから、今年は手を引いていた。

短く言うと、長崎駅の県庁側に改札を作ると、アミュプラザに流れる人が減るから、JR九州は作らないと言っている、ということだ。

あれ、改札を2つにするとコストがかかるから作らないと言ってたはずなのに。本音が出たの?

新駅の改札口については、この辺の記事を参照して頂きたい。

長崎市は長崎駅南口設置に反対


今までこの話題は長崎新聞にさんざん無視されてきたのだが、西日本新聞に載ったことは、大きな収穫ではある。ただ長崎・佐世保版なので、多分福岡の人の目に触れないのは残念。

長崎駅の改札口を県庁側に作ると、駅が魅力的になり、新幹線で長崎を訪れる人が増える効果が見込まれる。しかし、JR九州はそれよりも駅ビルに客を誘導することが大事だ、と言っているのである。

この姿勢は、できれば株主が多いと思われる福岡の人によく読んでもらいたいんですけど、ねぇ。JR九州の本業は鉄道事業じゃなくて不動産事業なんだよ、と言ってるようなものだ。ただ、株主はそれをわかった上で株を買ってるんだろうから、何を今さら、という感じでもあるが。

県のまちづくりの方向に協力せずに、自社に利益向上を目指すという姿勢は、公益性のある鉄道事業者としては、いかがなものか。もちろん、JR九州は鉄道事業者じゃなくて不動産会社だから、という説明で終わりではあるが、もともと長崎駅の駅ビルがあった土地は鉄道用地なのである。鉄道用地を地元商店街に悪影響を与える商業施設に転用するのにも関わらず、地元のまちづくりに協力しないというのは、さすが自社の利益追求に走る上場企業だな、としか言いようがない。

昨日、たまたま平田副知事と立ち話をする機会があった。前回記事にも書いた通り、市が動かないから県が動くという方向性になったのは確かだが、改札については厳しそうな雰囲気だ。

もう今年度中に在来線は高架になり、新駅に移転するので、せめて在来線改札口だけでも『県庁口』を作ってもらいたいものである。

2019年8月20日火曜日

長崎市中心部の交通問題に対して、ついに県が動くか?

かなり気になるニュースが出ている。

路面電車延伸の構想も…長崎市中心部の交通網見直し始まる


気になりすぎるので、全文引用させて頂く。

JR長崎駅は九州新幹線西九州ルートの開業にあわせ、駅舎が移設される計画です。 
こうした駅周辺の変化が人の動線にどのように影響するのか。 
長崎市中心部の交通網を見直す会議が20日、長崎市で開かれました。 
20日発足した検討会議は、長崎県や長崎市、長崎県内の交通事業者や経済界などで構成されます。 
約3年後に控えた九州新幹線西九州ルートの暫定開業に向けて、JR長崎駅を含めた長崎市中心部の交通網の利便性アップを目指し、公共交通機関の改善について話し合います。 
なかでも、JR長崎駅は駅舎の位置が西側に150mあまり移ることから、路面電車やバスなど、今ある停留所からのアクセスを見直す必要もあります。 
また、外国人を含めた交流人口の増加を目指す県と市にとって、鍵となるのは大型クルーズ客船が停泊する長崎港の松が枝埠頭です。 
2隻が同時に接岸できるよう、岸壁を延伸する2バース化を進めていますが、ターミナルから最寄の路面電車の停留所までは約600m離れています。 
貸切バス以外の公共交通機関を使ってもらいたいと、県は構想案で路面電車を延伸することを提案しています。 
長崎県は、1日最大1万人程度の受け入れを見込んでいますが、出席者からは新幹線の開業で市内の交通量がどう変わるのかや、公共交通機関の利用者を何人に増やすかなど、目標が具体的に見えないなどの指摘が出ました。 
平田 副知事「どういう数字を前提にしていくか、よくよく整理していかなくてはいけない。後の世代の人にも交通の便利なまちにしてもらったね、と言える様にしっかり議論していくことが大事」 
長崎県は年度内に基本計画案を取りまとめたいとしています。

この辺の問題については、もう嫌というほど、このブログで提案してきた。

何とか事が動くかな、という所までは行けた気がしたのだが、選挙結果もあって、力尽きて、もう私が動くことはないつもりだ。

ここで県が出てきたのが気になる。
とにかく市が動かないので、県がしびれを切らして、自分で動こう、という気になったのであれば、かなり心強い。
特に中村知事は議会の答弁を見ても、駅周辺の事業にかなりの興味を持っているようなので、県が一気に話を進めてもらいたい。

松が枝については、港湾管理者が県なので、県の事業として進めることができる。路面電車の延伸といっても、長崎電気軌道が自前で線路を引く体力がないこと位、県もわかっているはずだ。やりたいならば、県が自分で建設費を出して、さらに運営費まで出せば、電鉄もうんと言うだろう、という位の覚悟は、県にもあるはずだ。

平田副知事が話をしているのも気になる所だ。平田氏は国土交通省から出向で来ている。この事業をするなら国からお金を引っ張って来るという見込み位はあって、この会を開いたと期待するのだが、どうだろうか。

2019年8月2日金曜日

長崎への欧米人観光客を増やすには、広島と長崎を新幹線で結ぶことが重要

日本に来る外国人観光客が増え続けていることは、周知の通りだ。
また、国によって滞在中に使うお金が違うことも、よく知られている。
簡単に言えば、アジアの国からの観光客に比べて、欧米からの観光客の方が長期滞在し沢山お金を日本で使ってくれる、ということだ。

長崎県内には毎日のように大型クルーズ船が寄港しているが、そのほとんどが中国からの船である。県内に滞在するのは日中だけで、ほとんど地元でお金を使わない、ということは、これももう当然のことのように語られるようになっている。

では、どうしたら欧米からの観光客を長崎に呼べるのだろうか。

一番早いのは、新幹線で広島と長崎を結ぶことだ。


私は今広島に来ているのだが、いつ来ても欧米人観光客の多さに驚かせられる。新幹線ホームに立つと、日本人より白人のほうが多いようにさえ感じられる。

これは、JRのフリーパスを持った観光客が、大阪から新幹線で来ていることが要因である。欧米人観光客は長期滞在する傾向にあり、関西に滞在している人たちが広島まで来ているのだ。これはこれで日帰り観光客が多いという問題にもなるのだが、とにかく欧米人の多さにはびっくりする。

新幹線で広島と長崎を直接結ぶことができれば、この観光客を長崎まで呼ぶことは、十分可能である。JRパスを持っている外国人旅行者でれば、追加料金なしで長崎まで来ることができるのだ。

こうして関西から広島、長崎が新幹線ネットワークで結ばれれば、今は広島を日帰り訪問している観光客も、広島や長崎で宿泊することが期待できる。ルート的には関西を朝出て、日中広島を観光客して、夜は長崎へ、という流れができないだろうか。

特に欧米の富裕層に宿泊してもらうためには、高級ホテルが不可欠になっている。広島にもヒルトンホテルができるし、長崎にもヒルトンができる。ヒルトンホテルのネットワークで、広島と長崎への欧米人観光客を集めてもらうことも可能だろう。

また、関西から長崎まで来てもらえば、帰国は福岡空港からというパターンも強化したい。

現在福岡空港には夏季限定だがフィンエアーの直行便が運行されている。この便を使ってヨーロッパから片道は関西、片道は福岡という流れが作れれば、福岡空港の活性化につながる。

北米方面へは、サンフランシスコへの直行便開設を期待したい。福岡空港側は、福岡市のIT企業振興のためにも、サンフランシスコへの路線開設を望んでいるようだが、需要が見込まれないため航空会社側からいい返事がもらえていない。

申し訳ないが、福岡単体だと北米からの需要を喚起できる力はないと思うが、広島と長崎を組み合わせることにより、福岡空港の利用者を生み出す方向性はあるだろう。ユナイテッド航空はサンフランシスコをハブ空港にしており、サンフランシスコと関西空港を結ぶ定期便も持っている。ここと組み合わせることにより、北米からも関西in、福岡outのルートを作ることができる。


山陽新幹線と長崎新幹線を直通させると、こういう需要も期待できる。「自分が乗らないから新幹線はいらない」という視野の狭い意見ばかりいう人には、考えを改めてもらいたい。