2016年9月1日木曜日

続・長崎駅は頭端式に

前回のつづき

9月1日の新聞各紙で、新長崎駅に関するJR九州側の考え方が掲載された。

駅ビルを拡張しホテルを作る、という話であるが、そこに完成予想図も掲載されたので、引用させてもらう。


前回のブログに掲載した図と比べて、かなり印象が違う。長崎市が書いた予想図に比べると、JRの予想図のほうが高いビルを建てることになっているから、駅北側の駅前広場から海方面への見晴らしが悪くなっているのだ。

この後、駅西側の現在更地になっている場所にMICE施設の完成図が入れば、さらに駅北側の改札予定地からの見晴らしは悪くなる。

誰が考えても、こうなるのなら、駅南側新県庁向きに改札口を作るべきと思うのではないか。

もちろん、改札口を2ヶ所作ればいいのだが、それだと運営費がかかるので、JR九州は反対するだろう。

しかし、同じ長崎駅といえども、新幹線の駅と在来線の駅は別駅扱いになる。新鳥栖駅を想像してもらえばわかるが、同じ場所にあっても駅としては別扱いで、新鳥栖駅には新幹線側と在来線側に別々に改札口があり、駅員がいる。長崎駅も同じことで、新幹線側と在来線側に駅員を配置しないといけないはずだ。

それであれば、例えば南口(県庁側)は新幹線の駅員を配置し在来線は自動改札だけで無人に、北口は逆に在来線だけ駅員を配置し新幹線側は無人にする、という方法だって、取り得る。


改札口を一ヶ所にして、新県庁側だけにしても、駅前広場は敷地の関係上北側に作らざるを得ない。その場合も、南側から北側にスロープを作って移動するようにすれば、大きなキャリーバッグを持った観光客でも問題なく移動できる。

在来線と新幹線の駅の間にスロープを作って、バスやタクシーに乗る人はここを降りてもらって北側に向かう、という導線にすればいい。

これは香港国際空港のイメージである。香港空港では、入国口を出て正面に進めば快速列車の駅、右にスロープを降りればバス乗り場、左にスロープを降りればタクシー乗り場、という構造になっている。

このHPから引用。バス乗り場に向かうスロープ)


あとは路面電車も絶対新駅に乗り入れて欲しい所だ。その話は以前ブログに書いた

ではついでに、どう乗り入れさせるか。今度はシドニー駅のイメージで。
公会堂前方面から長崎駅に向かってきた循環線の電車が、現長崎駅前電停を過ぎて左折し新長崎駅方面に入る。
そして鉄道の高架をくぐり、スロープを登り、頭端式の新長崎駅改札正面に乗り入れる。

このHPから引用。駅の正面にトラム乗り場がある)

シドニーの場合も、駅正面に向かって路面電車が坂を登ってくる。そして駅を出て、また坂を下りて市内に向かうという経路をとっている。

新長崎駅でも、港を向いた新改札口の前に電停があって、そこから坂を下りてホテルニュー長崎の横で今の線路に合流、五島町方面に向かう、というルートにする。

なかなか夢があるプランではないか。


どうしても今の長崎市の計画だと、夢を感じられないのは私だけだろうか。




2016年8月27日土曜日

新長崎駅は頭端式に



そして、受賞した提案書が掲載されている。

もちろん、これは設計者を決めるためのプロポーザルであり、この提案の通りに駅ができる訳ではない。特に在来線と新幹線の駅舎は長崎市が作るものではないので、市に設計する権限は何もない。

という前提でこの案を見るが、まあ、今の駅を奥に引っ込めただけで、何ら目新しさを感じない。


魅力ある計画を立てるには、今の長崎駅、そして区画整理後の長崎駅は、どこが長所なのかを考える必要がある。

まず今の長崎駅は何が魅力なのか。地元の人はほとんど気付いていないが、よそから来る人は、いわゆる「頭端式ホームである」ことを最大の魅力として感じているのだ。

長崎は日本の西の端にある。そして、その長崎駅に着いたら、線路がそこで途切れていて、ホームを端まで歩いた所に改札がある。ここに旅情をかきたてられるという声を、私は今まで何度も耳にした。

この構造はバリアフリーという観点でも優れている。長崎駅にはホームと改札の間にエレベーターもエスカレーターもない。そんなものは必要でないことは構造上誰にもわかるが、その素晴らしさに気付いている長崎市民は、ほとんどいない。

在来線・新幹線とも高架になって、今の計画のままだと高架のホームから下に降りた高架下が改札口になる。それではごく普通のありふれた駅にしかならない。せっかくの終着駅の魅力を、何も活かさない構造になるのは、もったいない。

次に、移転後の長崎駅の魅力は何か。海に近付く。だから海(あるいは浦上川)に対する見晴らしを良くしよう、ということになるが、そのためにはどういう構造にすべきか。

とりあえず県庁のHPにある図から見てもらう。

ここから引用)

大波止側から見ると、線路が海に向かって進んできているのがわかる。それも、県庁舎の建物の隙間に向かって。

続いて長崎市の資料から。

ここから引用)

この図を見て、改札口はどこに付けるべきか考えて欲しい。これ、ホームを頭端式にして、新県庁を向いた場所に改札を作るのがベストだと、みなさん思わないだろうか。

なのに、市のイメージだと、こうなってしまう。

(上図の次のスライドから引用)

今の駅のイメージから抜ききれていないというか。最初にリンクを張った、受賞した提案書でも、この最後の図面のイメージから全く抜けきれていない。

ちなみに、他の案も見てみよう。


ここから引用)

これは私のイメージに近い案。なかなかいいじゃないの。

あとは、これ。

ここから引用)

これがあるから、頭端式にするアイデアを提案することは不可能なんだけど、でも何で下の2案を抑えて最初の案が採用されたのか、私にはよくわからない。

続編はこちら

2016年7月5日火曜日

長崎空港に経由便を活用した国際線誘致を

長崎空港を発着する定期国際線は、現在、週2便の上海線だけである。

これだけインバウンド客が増え、九州の他の空港は台湾や香港と結ぶ路線が続々と開設されているという社会情勢の中、長崎空港は、一時期多客期には毎日運行もされていたソウル線が平成27年11月に撤退し、現在は上海線のみになっている、という惨状である。

長崎はアジアの人から観光地として人気がないのか、というと、そうではない。

例えばこの台湾人のブログ、県内のかなり細かい所をまわっている。日本人でも長崎県民でも、ここまでツボを押さえた行程の旅行はできない、という感じの素晴らしい内容である。

このブログで他に採り上げられている国内観光地を見てもらえばわかるが、台湾人にとって長崎は、日本全体で見ても魅力のある場所だというのは間違いない。またアジア諸国では、個人ブログが他の人の行動に与える影響は、日本と比較にならない位大きい。こういうブログの影響で、長崎観光の需要がさらに高まっているのだ。


ではなぜ長崎空港に香港や台湾からの定期便がないのか。チャーター便なら何回も就航しているにも関わらず。

その理由を私は知らないが、あくまで一般論でいえば、日本人の利用者が見込めず、トータルで路線を維持できる客数にならない、ということはあるようだ。長崎からのソウル線が廃止になったのも、それが理由の1つだった。

となると、長崎空港から国際線を利用する客を増やさないといけない。その時に、例えば香港路線であれば、香港だけでなく、香港で乗り継いで東南アジア諸国やヨーロッパに向かう人も、長崎空港から香港行きに乗ってもらうことで、利用者は増やせる。

私はヨーロッパに向かう際、福岡空港から香港経由で行くこともある。羽田や成田で乗り継ぐこともあるが、香港空港は魅力のある空港なので、特に日本から(ワンワールド加盟社の)直行便がない都市へ行く際には、香港経由を積極的に使っている。

香港をベースとするキャセイパシフィック航空は、ヨーロッパ路線の発着時刻を、香港発を夜0時台、香港着を朝6時台に揃えている。つまり、香港に夜11時頃着、香港朝8時発、のようなスケジュールにすると、長崎からヨーロッパへの乗継がものすごく便利になるのだ。

福岡便の所要時間をあてはめたダイヤを想定すると、

香港 8時15分発  長崎 12時40分着
長崎 19時40分発  香港 22時10分着

こんな感じだ。
香港から長崎に来る観光客にも使いやすい時間帯だろう。

しかし、これだと長崎空港に機材を7時間も遊ばせることになる。航空会社は、できるだけ機材を休むことなく使いたいので、こんな無駄なダイヤを組ませるのは難しい。


そこで、この時間にソウルまで飛んできて貰うのだ。
実際には、香港発長崎経由ソウル行き、という路線にすればいい。そうすることで、運休中のソウル路線の埋め合わせも同時にできる。

香港 8時40分発  長崎 13時05分着 14時05分発  ソウル 15時30分着
ソウル 16時30分発  長崎 17時50分着 18時50分発  香港 21時20分着

これでどうだろう。あと1時間遅くしてもいい。
ちなみにこの時間だと、香港でその日のうちにバンコク行きに乗り継ぐことができるので、バンコクに当日中に(日付は変わるが)着けるというメリットもある。

ちなみにこのダイヤだと、ソウルでアメリカン航空のシカゴ、ダラス便に行き帰りとも乗継できる。キャセイパシフィック航空(CX)とアメリカン航空(AA)は同じワンワールドアライアンス加盟社(日本では日本航空(JL)が加盟)なので、香港ソウル便がAAとCXのコードシェア便になれば(AAとCX、JLは多くの路線でコードシェアしている)、アメリカン航空のチケットで長崎からシカゴ、ダラス、さらに乗継で北米各地へ、安く便利に旅行することができる。

こうして見ると、アウトバウンドが弱いと言われる地方空港の国際線も、路線とダイヤ次第で何とかできるのではないか、という気になる。


ちなみに、経由便にするということでいえば、香港から台北経由長崎行き、という路線も考えられる。こうすることにより、香港台湾双方からのインバウンド客を集められるという魅力があるし、実際にキャセイパシフィック航空の香港福岡便は台北経由である。

その福岡便のダイヤを長崎にあてはめてみると、こんな感じになる。

香港 8時50分発  台北 10時45分着 11時45分着  長崎 15時20分着
長崎 16時20分発  台北 18時00分着 19時00分発  香港 21時05分着


こういう感じで、是非長崎空港の国際線を拡大してもらいたい。

2016年6月18日土曜日

MICE施設は県の運営に

長崎市中心部の再開発問題は、なかなか収束する兆しが見えない。それは、県の土地と市の土地が複雑に絡み合った話になっていることが根本的な問題になっているからだ。

市民にとっては、どちらも公共の土地だ、という括りで見てしまうが、当事者からすると、県の土地は県の土地、市の土地は市の土地で、全くの別物なのだ。市役所移転問題にしても、仮に長崎市が県庁舎跡地に市役所を移転すると住民投票で決めても、そこは県の土地なのだから、県が何というかでそれが実行できる保証は全くないのだ。

話は少しそれるが、市が躍起になっているMICE施設は、ほんとうに長崎市および長崎国際観光コンベンション協会に施設の運営能力があるのか、多いに疑問である。長崎市は市民病院の運営ですでに迷走しているし、運営を任されるであろうコンベンション協会にしても、会計や「長崎さるく」について市議会でかなり問題視されている。2月議会で問題にされた専務理事のお金の使い方は、最近問題になった舛添東京都知事と同じような性質のものであった。

そこで、駅西に確保したMICE施設用の土地と、県庁舎跡地の土地を交換することにより、MICE施設は県に建設・運営をお願いし、長崎市は県庁舎跡地の開発に力を入れれば、かなりこじれている問題がすっきりするのではないだろうか。

元々MICE施設が欲しいという話は民間から出てきたものだ。市が先に作りたいと言ったことではない。欲しいと言う民間側からすると、それこそ市が作ろうが県が作ろうが関係ない。

県が建設・運営するとなると、新県庁舎と一体的な開発ができるので、市が行う場合よりも全体としていいものができるだろう。

また県庁舎跡地も、以前から私は出島と一体にして市が開発すべきだと主張していた。長崎市もMICE施設よりはこちらの方に力を入れた方が、地域にとっていい結果が出ると思うのだが、果たしてどうだろうか。