2016年8月27日土曜日

新長崎駅は頭端式に



そして、受賞した提案書が掲載されている。

もちろん、これは設計者を決めるためのプロポーザルであり、この提案の通りに駅ができる訳ではない。特に在来線と新幹線の駅舎は長崎市が作るものではないので、市に設計する権限は何もない。

という前提でこの案を見るが、まあ、今の駅を奥に引っ込めただけで、何ら目新しさを感じない。


魅力ある計画を立てるには、今の長崎駅、そして区画整理後の長崎駅は、どこが長所なのかを考える必要がある。

まず今の長崎駅は何が魅力なのか。地元の人はほとんど気付いていないが、よそから来る人は、いわゆる「頭端式ホームである」ことを最大の魅力として感じているのだ。

長崎は日本の西の端にある。そして、その長崎駅に着いたら、線路がそこで途切れていて、ホームを端まで歩いた所に改札がある。ここに旅情をかきたてられるという声を、私は今まで何度も耳にした。

この構造はバリアフリーという観点でも優れている。長崎駅にはホームと改札の間にエレベーターもエスカレーターもない。そんなものは必要でないことは構造上誰にもわかるが、その素晴らしさに気付いている長崎市民は、ほとんどいない。

在来線・新幹線とも高架になって、今の計画のままだと高架のホームから下に降りた高架下が改札口になる。それではごく普通のありふれた駅にしかならない。せっかくの終着駅の魅力を、何も活かさない構造になるのは、もったいない。

次に、移転後の長崎駅の魅力は何か。海に近付く。だから海(あるいは浦上川)に対する見晴らしを良くしよう、ということになるが、そのためにはどういう構造にすべきか。

とりあえず県庁のHPにある図から見てもらう。

ここから引用)

大波止側から見ると、線路が海に向かって進んできているのがわかる。それも、県庁舎の建物の隙間に向かって。

続いて長崎市の資料から。

ここから引用)

この図を見て、改札口はどこに付けるべきか考えて欲しい。これ、ホームを頭端式にして、新県庁を向いた場所に改札を作るのがベストだと、みなさん思わないだろうか。

なのに、市のイメージだと、こうなってしまう。

(上図の次のスライドから引用)

今の駅のイメージから抜ききれていないというか。最初にリンクを張った、受賞した提案書でも、この最後の図面のイメージから全く抜けきれていない。

ちなみに、他の案も見てみよう。


ここから引用)

これは私のイメージに近い案。なかなかいいじゃないの。

あとは、これ。

ここから引用)

これがあるから、頭端式にするアイデアを提案することは不可能なんだけど、でも何で下の2案を抑えて最初の案が採用されたのか、私にはよくわからない。

続編はこちら