2017年6月20日火曜日

十八銀行頭取の意見に反論する

ここの話の続き。

Yahooニュースに、十八銀行の頭取のインタビューが掲載されていた。

「統合で50店削減 400~500人捻出」 十八銀行頭取・森拓二郎氏


このコメントをそのまま受け取っていいのだろうか。もし素直に受け取るのであれば、人が良すぎる。もっとも、長崎人は人が良すぎるから経済が停滞しているという気もするのだが。

以下、全くの私感から、このインタビュー記事に反論したい。

十八銀行がふくおかフィナンシャルグループ(FFG)の傘下に入ってどうなるのか、というのは、全くの想像でしか話ができないものではない。親和銀行がすでにFFGに入っているので、親和銀行が今どうなっているのかから推測することができる。

ここでの私の意見の根拠は、親和銀行の現状をふまえたものであり、数多くの十八・親和・福岡銀行の行員と接触した経験をもとにしている。


まずここから。
 十八、親和で立地が重複する約50店を削減でき、コストを年間数十億円抑えられる。離島・郡部の店舗網も維持し、事業性融資を扱っていない店舗では新たに扱える所を増やしたい。400~500人の人員を捻出できるので、中小零細企業まできめ細かく訪問し、相談に応じる体制をつくれる。経済振興のため専門性の高い人員を育成する余力が生まれ、現地派遣もできるようになるだろう。

専門性の高い人員を育成する、って、それができる人間が現在十八銀行にどれだけいるのだろうか。400〜500人ってことは、まずない。申し訳ないが、1人もいないと思う。
親和銀行にしてもしかり。こういうと本当に申し訳ないが、親和銀行には現状「経済振興のため専門性の高い人員」なるものは、いないと思っている。こういった人材は、育成すれば誰でもなれるというものではない。ある程度の素養がないと無理である。

試しに身近にいる親和銀行の行員に、「福岡銀行の人って、どうですか?」と聞いてみてもらいたい。「みんなものすごく優秀です」と答えるだろう。逆に福岡銀行の人に「親和銀行の人って、どうです?」と聞けば、露骨に言うかどうかは別にして、「みんなパッとしないよね」という反応が返ってくるはずだ。

私は実際に新規事業を行うために、親和銀行の行員に協力を仰いだことがあるが、申し訳ないが全く使い物にならなかった。親和銀行の行員は、そんなものだろうと思っている。十八銀行だって大差ない。もし十八銀行には優秀な人材がいるのであれば、是非紹介してもらいたい。一緒に事業を広げたいと、真剣に思っている。

こういう経験をふまえて頭取のインタビューを読むと、何を寝ぼけたことを言ってるのか、と思ってしまう。別に私は十八銀行や親和銀行の行員の悪口を言うのが目的ではない。むしろ反論してきて欲しい。逆にそんな元気のある行員がいるのであれば、まさか福銀傘下に入ろうなどという意見が出て来るとは思わないのだが。


融資はもっと前向きにできるし、統合したからといって金利を上げるようなこともしない。人口減少や経済規模の縮小で運用先や預金は減っていく。他金融機関との競争も続く。企業努力を続けないといけない。

実際には、親和銀行はFFG傘下に入って、ものすごく融資姿勢は厳しくなっている。これは私のまわりだけかもしれないが、正直、長崎で資産を持たない企業に対して福岡銀行は厳しい姿勢で臨むとしか思えないので、十八銀行の頭取が何を言おうと、FFGの社長のコメントがない限りは、信用できない。

 福岡さえよければいいということなら、長崎の経済は発展せず、新銀行やFFGの収益も上がらない。地元を軽んじることはない。統合時は株式交換するので、今の十八の株主はFFGの株主になり、もの申せる。取引先は、大経済圏の福岡とのつながりが強まる。FFGの東アジアの店舗網を活用でき、FFGが先行する(金融とITが融合した先進サービス)「フィンテック」にも力を入れられる。メリットは大きい。
そうですねぇ、今の十八の株主がFFGの株の何%を持てるのですかねぇ。過半を持てるのなら、この話も額面通り受け取れますが。

そもそも、今の福岡人の「福岡中心主義」をきちんと理解しないと、先の展望はできない。日本全体における東京一点主義よりも、福岡人の「福岡一点主義」のほうが遥かに強いように、私は感じる。長崎で前途有望な企業が出て来れば、「福岡に出てきてもっと発展しよう」と言い出すのが、普通の福岡人の感覚ではないだろうか。

人材にしても同じこと。地元出身で優秀な人材が、地元で働きたいと思った時に候補に上がるのは県庁と地元地銀しかないのが、今の日本の現状である。十分十八銀行もその候補になる得る。ところが、十八銀行がFFG傘下に入れば、銀行に就職するのであれば最初から福岡銀行に就職するのではないだろうか。

また本当に優秀な人材が十八銀行に入ったとしても、その人をそのままFFGが長崎に置いておくとは思えない。福岡に引き抜くだろう。 福銀とはそういう銀行だと、私は思っている。これも違っていれば反論を頂ければ幸いである。


この文章を書いたのは、繰り返すが十八銀行や親和銀行の行員を罵倒するためではない。私の正直な気持ちを書いただけである。

だから、是非十八銀行や親和銀行の方には、この私の考え方に反論してきて欲しい。そういう姿勢が、長崎経済の浮上につながると、真剣に考えている。



補足
「福岡一点主義」に対抗するためには、肥後銀行鹿児島銀行と組むのは有効だと思っています。私は肥後銀行とも付き合いがあります。