2021年5月8日土曜日

長崎県知事は科学的だ

 私は、長崎県知事は全国の知事の中で一番科学的根拠に基づき行動していると思っている。

そこが県民に評価されていないのが残念だし、まあ長崎県民のレベルはその程度なんだろう、だからまともな人材は県外に流出するのだ、という考えに至る。

長崎県知事のどこが科学的なのか。一番わかりやすいのは、会見の時にデータを見せて、「ここが感染源になっているから、ここに対して対策を取る」と毎回言っていることだ。政府も他県の知事も、こういう説明をしている人は、どこにもいない。

以前書いた記事から引用する。

長崎県知事の会見が素晴らしすぎた

一番重要なのは、主要な感染場所が飲食店ではないと断定されたことである。だから飲食店に対する営業自粛は求めないと、はっきり知事から言われた。都会では感染経路不明者の感染場所が飲食店だというエビデンスがある「みたい」だけど、長崎県では感染経路不明者はほんとうに感染経路がわからない、とおっしゃっていた。これは実は全国的にも重要なことである。

ほぼ全ての首長は、よそが飲食店への営業自粛を求めているからうちもやる、と、科学的根拠全くなしに営業自粛の政策を取った。しかし、中村知事は根拠がないことはやらないと明言されたので、素晴らしいと思った。

この時は、この後結局田上長崎市長の言い分を飲んで(多分)、飲食店への営業時間短縮要請を行ったのだが。

千葉県知事の熊谷氏は科学的に判断しているとずっと評価している。3月まで千葉市長を務めており、4月から千葉県知事に就任した。知事になることで小池東京都知事に対抗できる人が出たことはいいことなのだが、この人もゴリ押ししないので結局は折れる。そこは中村知事と同じ。

千葉県知事のFacebookでの発言を引用する。

大阪がなかなか減少に至らないため、政府も人流を抑えることに重点を置きつつありますが、本来は感染しやすい3密環境を作らないことが基本です。

日本では完全なロックダウン的措置ができない以上、一部の施設の休業要請にどこまで効果があるのかは未知数です。

こうはっきり言えることは素晴らしいのだが、休業要請をしない、という決断をできないのは、まあ、仕方がないのだろう。


この記事を見返していて、今はこの時と同じような状況にあると感じた。

直近の状況をいえば、会見前日に県内の陽性者数が過去最高を記録し、当日も2番目の数字であった。それでも危機感を過剰に煽ることなく、冷静に発言されていた。

私自身も、クラスターが発生して、一時的に陽性者の数字が高くなることはあっても、全体としては減少傾向に入っているのではないかとブログで書いた手前、いくらクラスターが発生しているとはいえ、陽性者の数字がこの数日高いので気になっていた。

私は、長崎県の感染状況は、今現在減少傾向に入っていると書いているが、陽性者数の大きい数字が時々出るので、ちょっとは気になっている。でも、実際はこの記事を書いた時と同じで、クラスター発生に伴いちょっと大きな数字が散発的に出るだけで、減少傾向に入っていると思う。


昨日の会見で中村知事は、長崎市を対象とした「まん延防止等重点措置」の適用を国に求める、との発言もあった。正直、これをやった所で市民の行動が萎縮し経済を冷ますだけで、感染拡大防止には何の役にも立たず弊害が大きいだけで、何故知事が今になって方針転換したのか、疑問だった。

会見の中で、「現状だと昼間だけ営業するカラオケ喫茶等への営業自粛要請に対する協力金に国から補助が出ない。まん延防止等重点措置の適用により、そこに補助が出ることを期待している。」というような返事があった。

令和3年5月7日 記者会見

○記者 今後、それで重点措置が適用された場合については、現在、県のほうで、営業時間短縮要請に伴う協力金の支給とか、ここら辺もちょっと枠組みが変わってくるという形になるんでしょうか。

○知事 いわゆる外出自粛でありますとか、営業時間の短縮、そしてまた、そこから間接的に生ずる営業上の様々なマイナス要因、そういった点について一定、一時金という形になるかと思いますけれども、そういった制度も期待できるのではなかろうかと考えております。まだ、まん延防止等重点措置の対象地域で、具体的な国の施策は明らかにされていないところでありますけれども、私どもの期待としては、そういった分野も視野に入れているところであります。

つまり、 まん延防止等重点措置の適用も、他所がやっているからうちもやる、効果があるかどうかわからないけど、やれることは何でもやるという非科学的理由からではなく、ちゃんと効果が見込める可能性があるから申請する、ということなのだ。


話は多少ずれるが、カラオケ喫茶がクラスターの発生源になっているというのは、去年の5月から言われてきたことだ。クラスターが大量発生していた札幌のカラオケ喫茶は広い所が多く、感染原因が飛沫ではなくエアロゾルで、マスクやアクリル板が感染対策にはならないということは、その頃からわかっていた。

にも関わらず、国はカラオケ喫茶への営業自粛要請はせず、協力金を払う制度も作らず、逆効果でしかないアクリル板やマスク着用を求める政策を取ってきた。ちなみに長崎県は今回の知事会見でもアクリル板の設置やマスク会食の実施には、全く触れていない。

ほんとうに国は新型コロナの感染拡大を防ごうという気があるのか、私はずっと疑問に思っている。