2024年9月10日火曜日

公共交通に対する福井市民と長崎市民の認識の違い

長崎市から福井市に転居してほぼ1年が経った。

同じ地方の県庁所在地であっても、両都市の性格は対極的に違うということが、生活してみてよくわかる。

特に公共交通に対する住民の意識が全く違う。とある統計で、地方中堅都市の中で公共交通機関への依存度が最も高い都市が長崎市で、最も低いのが福井市だというデータを見たことがある。福井に来て地元の人と話をすると、車に対する感覚が違いすぎてびっくりする。車社会ってこうなんだ、と、予想以上の状況に驚かされた。

長崎市や佐世保市で公共交通機関への依存度が高いのは地形的な要因が大きいのだが、実際には住民の意識の違いも相当大きな要因になっている、ということを実感している。


私は現在、福井県立大学永平寺キャンパスに勤務している。立地的には長崎県立大学シーボルト校と似ている。永平寺キャンパスは福井市の隣の永平寺町(旧松岡町)にあり、福井駅からバスで30分程度、いっぽうシーボルト校は長崎市の隣の長与町にあり、長崎駅からバスで30分程度。同じ位の距離である。

私は福井駅の近くに住んでいて、毎日福井駅から松岡駅まで電車、そこからバスに乗り換えて通勤している。長崎でいえば長崎駅から長与駅までJRに乗って、そこからバスという感じだ。これがあり得ないという言い方をされる。何で車じゃないの?不便で大変でしょ?みたいな。

確かにシーボルト校でも教員はほぼ車かもしれない。私も長崎の昔の自宅(麹屋町。中心市街地にある。)からシーボルト校に勤務するとなると、車だったかもしれない。ただ、学生まで車通学が当然、となると、えっ、と感じる。

実際、私が通勤する電車・バスで大学生の姿はほぼ見かけない。シーボルト校の学生って、そもそも自動車通学は認められているんですか?知らないけど、禁止されていてもおかしくない、というのが元長崎市民の感覚だ。

だいたい、免許取り立ての学生がシーボルト校まで車で行きたいと思うのか。あんな道を運転したくないと感じる人が結構いるんじゃないだろうか。これも長崎で公共交通が選択される地形的な要因である。

長崎に住んでいた頃、TOEICの試験会場がシーボルト校だったことがある。受験票には「駐車場はありませんので、公共交通機関をご利用下さい。」と書いてあった。当然のように私はバスで行った。果たして福井県立大学で同じことを言ったら、福井市民に何と言われるだろうか。永平寺キャンパスに大人がバスで行く、なんて想像もつかないし、やれと言われたら、ふざけるな、行かないと言われる気がする。

長崎県庁も長崎市役所も、車通勤は禁止されているはずだ。だから、みんな公共交通機関で通勤している。ごく一部に庁舎近くの駐車場を借りている人がいるっぽい、という話も聞くが、基本は全員公共交通機関である。だからシーボルト校周辺の団地に住んでいる公務員はみんなバス鉄道で通っている。それが当たり前、というのが長崎市民の感覚だ。さて、永平寺町から福井県庁や福井市役所までバス電車で通っている人の割合はどの程度なんでしょうね。


大昔から福井市は車依存社会だったのか。そんなことはない、この30年位の間で商業施設の郊外化が進んで車への依存度が高くなったんじゃないか、と最近思うようになった。それに伴い公共交通に対する市民の意識が、長崎市と福井市で大きく違ってきたのではないだろうか。

福井市の中心商店街は福井駅周辺にあった。そこがいつまで中心だったのか。

少なくとも生活創庫ができた1990年頃は駅前が中心だったようだ。私と同世代の人に聞いた話だと、高校生の頃、福井駅周辺の商店街は賑やかで、そこに行くのは楽しみだったしワクワクした、と言っていた。

そして2000年、郊外の国道沿いにフェアモール福井がオープン。ここに生活創庫を運営するユニーが中核テナントとしてアピタ福井大和田店を開業し、生活創庫は2002年に閉店した。駅前商店街に代わり、今はフェアモール福井周辺が福井市最大の商業集積地になっている。


先日、福井県知事を16年務めた栗田幸雄氏がお亡くなりになった。栗田氏が今の福井の基礎を作ったという報道を沢山目にし、その中には県立大学の開校や県立図書館の開館が挙げられていた。

知事就任後は「生活満足度日本一」の実現を掲げ、県立大の開学やハーモニーホールふくい(県立音楽堂)、県立図書館の開館など大型施設の整備で県民の暮らしを向上させた。県立恐竜博物館も整備し「恐竜王国福井」の礎を築いた。 
(中日新聞2024年5月18日) 

私は県立大学や県立図書館がなぜ鉄道路線の近くにないのか疑問に思った。県立大学はえちぜん鉄道が、県立図書館はJR越美北線がすぐ近くを通っている。いずれも田んぼの真ん中にあり、鉄道沿線に土地がなかったということもない。この辺の施策が、福井を一気に車社会へと変容させた契機になったのではないかと思う。

前述したフェアモール福井にしても、行政が市街化区域への編入を行っている。市街化調整区域のままであれば、あの場所に商業施設は建てられなかったのだ。車社会への誘導は、行政主導の側面も相当程度あったのではないかと感じている。


但し福井は、地方鉄道に対する施策は全国でもトップレベルにある。JR長崎本線だと長崎と長与の間は日中1時間に1本程度しかないが、えちぜん鉄道も福井鉄道もパターンダイヤで1時間に2本走っている。私もさすがにえちぜん鉄道が1時間に1本しかなければ、鉄道利用はあきらめて車通勤に切り替えたかもしれない。どちらの鉄道会社も、経営危機から地元住民の支援により運営組織を建て直し利用客を伸ばしている。

鉄道側の体制はできているのだから、後は住民の意識が変わることにより、公共交通を活かしたまちづくりをすることは可能だと考える。福井に来て「ふくい路面電車とまちづくりの会」の幹事にさせて頂いたので、微力ながら会の活動を通じて福井のまちづくりに貢献したいと思う近況である。



2023年11月13日月曜日

金沢の商店街から長崎駅への商業中心移動を考える

 先日、金沢の市街地を歩いてきたので、その感想から。

北陸に住むことになって、北陸の地域経済を考えることが私の主たる業務になった。

私が北陸の経済を考えるにあたっては、九州と対比してみるのがわかりやすいと思っている。石川県・金沢市が長崎県・長崎市で、福井県・福井市が佐賀県・佐賀市に対応する。人口規模的に、ちょうどその位である。


金沢は北陸新幹線開業効果もあって、インバウンド観光客も多く大賑わい、駅は大混雑でホテルも取れない、市内電車を廃止したこともあってバスが大混雑になって色々大変だ、という声が聞こえてくる。

人が沢山来ることによって観光関連業者は賑わっているが、果たして商店街はどうなんだろうか、というのが私の素朴な疑問であった。商店の多くは観光客に依存していないからだ。


金沢市の商業規模に関しては、私は長崎市と同程度だと思っている。金沢は北陸3県から人が集まるという点で、福岡への商業流出に悩む長崎とは性格が違う。長崎より金沢の方が圧倒的に高価格帯のブランド店は多い。しかし中心商店街の広がり方などは、長崎と金沢は同規模、あるいは長崎の方が上だというのが私の認識である。

金沢市の商業施設は、中心商店街である香林坊から片町にかけてのエリアと、金沢駅周辺、そしてその中間部で近江町市場のある武蔵地区に分かれる。長崎市でいえば、浜の町と長崎駅周辺、そして大波止あたりに新大工商店街がある、というイメージだ。金沢にあるデパートは、香林坊に地元資本の大和と、武蔵に元名鉄系のエムザの2軒で、長崎に浜屋と玉屋があるというのと同じ感じだ。もっともそれぞれの店舗規模は全く違うが。

この中心商店街から駅周辺に商業の中心が移っていることが、長崎市の将来を考える上で重要になるかもしれないと私は思っている。金沢市の公示地価の最高点は、香林坊から駅前地区に移っているのだ。長崎市の最高点が今でも浜の町なのとは大きな違いである。


中心市街地に竪町という商店街がある。長崎市でいえば浜市アーケードみたいな位置付けだ。普通ならアーケードになる場所だが、ここはアーケードはなく歩行者天国だけである。日曜日の昼間に歩いたのだが人通りは少なく、浜市商店街とは対照的であった。竪町にはかつてユニーと長崎屋が店を構えていたが、今現在大型スーパーはなくなっている。

そして香林坊にあるデパート大和は、もともとこの竪町の入口にあたる片町にあった。移転後も跡地は「ラブロ片町」という商業ビルになっていたが2014年に閉店、改築して2015年「片町きらら」になった。

2006年に駅ビル「金沢フォーラス」が開業すると(所有者はJR西日本関連会社、運営はイオン系列)、ラブロ片町に入っていたABCマート、島村楽器、タワーレコードなどが閉店し金沢フォーラスに移転するなど、中心商店街から金沢駅地区への商業移転が進んだ。またユニクロが香林坊に移転するなど、「ラブロ片町」はテナント集めに苦労するようになっていた。「片町きらら」にはH&Mが入店しているが、かつて入店していた「ロフト」はやはり金沢フォーラスへ移転している。


こういう事例を見ると、浜の町は頑張っているなと思えるのだが、今後どうなるのかは今の所何とも言えない。私の意見としては、浜の町も「浜町地区市街地再開発事業」をちゃんとやってテナントの床面積を広げないと、金沢のようにどんどん有力テナントが長崎駅周辺に集まり、浜の町に人が集まらない状況が来ると思う。

2023年10月2日月曜日

福井県立大学に教授として赴任しました

 2023年10月1日付けで、福井県立大学地域経済研究所教授に着任しました。

今後は福井県経済の発展のために力を尽くしたいと思っています。

このブログもほぼ更新されなくなるでしょう。これまで読んで頂いた方々、ありがとうございます。これだけ書き続けてきても、何にもならなかったという無力感しか残っていません。まあ、私には長崎県では誰にも認めて貰えない程度の能力しかなかったので、しょうがないですが。福井で頑張ります。

2023年4月27日木曜日

長崎港にダイヤモンドプリンセスがやって来た

前回の続きになります。

長崎港のクルーズ船寄港、順調に増えています

今日の昼間、浜の町を歩いていると外国人が沢山いたので、またクルーズ船が寄港しているのかと調べてみると、ダイヤモンドプリンセス号が「里帰り」していた。

私も久しぶりにクルーズターミナルに行ってみることにした。


浜の町から大浦海岸に向かう電車の中でクルーズ船の乗客っぽい人がいたから話しかけてみると、日本語が通じなかった。日本人かと思えば、どうやらシンガポール人だった感じ。英語で「ダイヤモンドプリンセスは長崎で建造されたんですよ」と言ったら、「知っている」との返事。外国人乗客にもそれを知らせているんだね。電停で降りた時、対岸の造船所を指さして「あそこで生まれたんだよ」と教えた。


やっぱり大型客船が接岸していてこそ、長崎港だと強く思う。私が「さるくガイド」をやっていた時も、風頭の龍馬像の場所からクルーズ船が着岸しているのを案内するのは、絵になって良かった。


そしてクルーズターミナルの中に入る。私は以前、ここでクルーズ船乗客向けに果物を売っていたので、その時に一緒だった顔見知りの人がいないかな、と探すと、いらっしゃいました。やっと商売ができて、嬉しそうな反面、「大きい船が来ないので、あんまり売れないんですよ。今日は久しぶりに大きい船です。」と忙しそうにしていた。

今日の乗客は2000人で、うち日本人は400人だとか。ダイヤモンドプリンセスは今日本路線を中心に運行されていて、航海中1ヶ所だけ外国(だいたい釜山)を挟んで国際航路扱いをしている。そういう「実質国内航路」でもこの日本人乗客比率ということは、やはり日本人はまだクルーズ船を敬遠しているということだろう。

基本、この船の航路は横浜港を起点・終点にしている。外国への寄港は韓国だけ。では外国人乗客はどうやって来ているのかを考えてみよう。何のことはない、飛行機で日本に来て、横浜から乗下船しているのだ。


ではこの外国人を長崎で乗下船させることはできないのだろうか。「世界航路」の船だと、東アジアの寄港地が香港・上海・釜山・長崎だけであることも多い。つまり日本での寄港地は長崎だけなのだ。こういう船に長崎から乗下船してもらえば、長崎に宿泊して貰えて地元への経済効果も高い。

それができなかった理由の1つに、宿泊施設の問題があった。海外から日本まで来てクルーズ船の旅を楽しむような富裕層に泊まってもらえるホテルが長崎には無かったのである。

しかし今はヒルトンが開業し、他にも外資系高級ホテルがオープンする予定がある。ガーデンヒルズも西洋人観光客が好きそうな感じに改装され、クルーズ船利用客が泊まれるホテルがない、という状況ではなくなったと言える。

今後は長崎港で乗下船できるようなチケットの売り方ができるよう、長崎の観光団体が営業をかけられる素地はできたので、頑張って欲しい。

2023年4月19日水曜日

長崎港のクルーズ船寄港、順調に増えています

 コロナ騒動で止まっていた長崎港へのクルーズ船寄港、他港に比べて申し込み再開はちょっと遅れましたけど、順調に増えています。

という訳で、2023年4月の寄港予定です。

もう13回入ってます。
中国路線が復活していないのに、すごい戻り方ですね。

ライバルの状況を見ましょう。

寄港数日本一だった博多港。


こちらは中国便が復活しない影響で9回です。長崎港より少ないです。

もっとも、中国便が中心だった時でも単月では長崎港の方が博多港より多かった時もありましたけどね。


そして現在日本一の横浜港。


21回です。

但し、これは日本船が横浜港発着なので、その分数が多くなってます。

「飛鳥Ⅱ」と「にっぽん丸」の日本船籍分が7回。外国船は14回で、長崎といい勝負です。

ということは、あと10日ほどありますから、長崎港の寄港数が今から増えれば、横浜を抜いて外国隻クルーズ船では今月日本一になる可能性も、まだあります。


横浜港はこれまで東京のお客さんが乗り降りするのに利用されてきました。

ところが東京・お台場に東京港新ターミナルが開設されたので、横浜から東京に流れる船が相当数出ると予想しています。横浜だと大型船は大黒ふ頭という町外れのコンテナ埠頭を利用せざるを得ず、乗客に相当不評でした。出入国審査は大桟橋でやって、そこからバス移動ですから。国際航路だと空港の国際線みたいに出入国審査を港でやらないといけません。

それに対して東京港ターミナルはお台場です。

その東京港。


まだ9回です。

でも、せっかくクルーズターミナルを作ったのにコロナで全く利用されていなかったので、これだけでも利用されて、ひとまず良かった、という感じでしょう。


長崎港の価値が国際的に見てどれだけ高いか、ということを、是非県民の方に知って頂きたいです。2バース化しても、かなり利用率は高いと思いますよ。


2023年4月8日土曜日

長崎大学学長は科学者か?政治家か?

長崎大学の学長は科学者なのか、政治家なのか。

私は政治家だと思っていた。学長には学内政治に長けている人じゃないとなれないし、科学者なら煩わしいことが多い学長になんかなりたくないと思うものだからである。

で、このニュース。


【長崎】「マスク外して何ら問題ない」長崎大学・河野学長が見解

今週火曜4日に長崎ブリックホールで執り行った入学式でもマスクの着用は「個人の判断」としましたが、ほとんどの人が着用していました。

河野茂学長は「今までの学校生活の(マスクの)インパクトはこれだけ強いんだなと。今後のマスクの状況は(感染症専門の)泉川教授や有吉教授と相談するが、現状の感染をモニターして長崎大学の予測を出して、ある一定数感染が増えれば急速に増える。その時には早めに対策を指示する」と話しました。

(ncc長崎文化放送 2023年4月7日)


この発言が政治家なのである。科学的ではない。

そもそもマスクに感染拡大防止効果があるのか。科学的には「わからない」、あるいは「無いか逆効果」なのである。はっきりした効果が実証されていないマスク着用を、ここまで国民に強要するのは科学的ではない。

「マスクにはっきりした効果がない」ということは、2023年1月30日に出された「コクランレビュー」で医学的には勝負がついたとみなす研究者が圧倒的多数だ。

コクランレビューが導き出したマスク着用効果


コロナでマスク着用 個人の判断より周りの視線?

コクランレビューのRCTのメタ解析でも有意差無しなので、科学的にはほぼ決まりでしょう。

(毎日新聞2023年3月2日)



2021年3月に長崎大学が主催して行われた日英公開シンポジウムで、イギリスの研究者が「マスクに意味はない」と発言していた。長崎大学の学長であれば、このセミナーの内容をふまえて「マスク強要はやめよう」と発言し続けるべきだったと私は考える。


マスクに効果がないのだから、感染状況に関わらずマスクは不要なのである。科学者であるなら、そう学生に伝えないといけない。「今の感染の状況であれば外して何ら問題はない」という発言自体が政治的である。マスク着用は科学的に意味のないことだから、「今の感染の状況」も何もないのだ。常にマスクは外して問題ない。「問題ない」ではなく、マスクで顔を見せないことによる弊害は大きすぎるので、「外さないと問題」なのだ。

学長はここまで学生がマスクを外さないと思っていなかったようだ。それは正しい現状認識ができていなかったということである。そうであれば、「個人の判断」などと言うだけで終わるのではなく、もっと積極的に「マスクを外しましょう」と学生に訴えないといけない。正しい現状認識ができたのだから、それに沿って行動して欲しい。

長崎大学も関西学院大学を見習え、と強く主張したい。関西学院大学は、入学式の日に大学の広報がtwitterで「マスクを外すと、心も開放的になります」と言っている。

https://twitter.com/KwanseiGakuin/status/1642814199272472577


さらに学長に問題があるのは、「泉川教授や有吉教授と相談する」と言っていることだ。

私が繰り返し述べている通り、泉川教授や有吉教授は占い師であり科学者ではない。何故学長が占い師に相談しないといけないのか。その行動自体が科学的ではない。

長崎大学の占い師の手口を分析する

私が学長だったら、こういう非科学的な発言を繰り返す泉川教授や有吉教授に対し、「大学の恥をさらすような発言は慎むように」と注意していた。それもせずに、今でも「相談する」と言うのは、いかがなものか。

そして「ある一定数感染が増えれば急速に増える。その時には早めに対策を指示する」と言うが、何か効果が出る対策はあるのか?ほぼタダの風邪にまで弱毒化してインフルエンザ程度の扱いに変えることが決まっている新型コロナに対して、そこまで反応する必要があるのか?こういう発言が出る時点で、科学者ではない。政治家なのである。


私は長崎大学の医学部は感染症の専門家を除いて世界に誇れるまともな分析ができていると思っていたし、河野学長もその一員だと思っていた。だから学長もマスク着用を始めとした感染対策に意味はないと理解している、と信じている。こういう「政治家の発言」をするのはやめて、今後は「科学者」として「科学的に正しい」発言をすることを強く願う。

2022年7月18日月曜日

長崎大学の占い師の手口を分析する

 長崎大学教授を名乗る占い師連中が、ついにマスコミに予測を発表した。

新型コロナ 現状なら8月2000人超…長崎大が予測「接触機会2割減を」

(2022/7/16長崎新聞)



接触機会を減らさなければ8月上旬に2千人を超えるが、接触を2割減らせれば7月20日ごろに約千人に達するものの、その後は減少に転じると推計を明かした。


接触機会が減ったら感染が減る、という証拠は世界中どこを探してもみつからないのに、まだ言ってます。もう世間の人も「接触を減らしたら感染が減る」ということはウソだ、と気付いてきてます。なんで今年のゴールデンウイークは旅行客が増えて接触が増えたのに感染が縮小したんでしょうね。


で、この占い師の手口だが、もう毎回同じパターンなので、完全に読めてます。「何もしなければ爆発する」という予測を立てて、「みなさんの努力のお陰で感染拡大を防げました」と言う。「接触がこれだけ減りました」という証拠を後で示すことは一切ありません。だって、接触と感染度は関係ないのですから、証拠の出しようがない。

上のグラフだけど、今後の現実は多分「3割減」の予想みたいな形になります。それで「みなさんの努力で接触が3割減ったから、こうなりました」と言うつもりでしょう。いやいや、お盆で移動が増えるのに3割削減はないでしょ、と、賢明なこのブログの読者の方はいい加減気付きますよね?


私はシミュレーションに関しては専門外だから詳しくはわからないが、「疫学以外の」シミュレーションの専門家の人によると、コロナの感染者数は、上昇期の変曲点を越え「上に凸」の状況に来れば、ほぼ以後の動きは予測できるらしい。今は変曲点を越えたので、この占い師が出した「3割減」のグラフは当たる、というのが私の感想。

でまあ、私の前回のブログは、ちょっと書くのが早かったな、というのが今の正直な気持ちです。

長崎県の「第8波」は大きくなりそう

今のペースで増えれば、過去最高を更新してもおかしくない。7~800人程度がピークだと思う。

もう完全に外れました。今週1000人超えます。そして、上の占い師のグラフのような感じでピークアウトするでしょう。

そう、上の記事を書いたのは、まだ「変曲点」を越える前だったんです。だからどこまで増えるかは、かなりヤマカンに頼るしかなかった。だったら予想するな、というのが正解。長崎大学の占い師みたいに、ほぼ当たるだろう、というタイミングまで予想を出さない、というのが、信仰心を高められる方法なのだ。