富山へ行った話の続き。
金沢で行われた学会に参加するついでに、新潟、富山、金沢、福井の街を見てきた。
今回は金沢の話。
金沢は文化を中心としたまちづくりを行っていることで有名である。
金沢大学の先生の話を少しだけ聞いたが、「中心部にあった石川県庁の跡地は公園になっている。中心部の商店街は寂れてきているが、文化によって人を集める方針でまちづくりを行っており、少しずつ人が集まっている実感はある」とのこと。
石川県庁跡地に全くハコモノがない訳ではないが、敷地の多くは公園になっている。
石川県庁HPへのリンク
県庁跡地は城跡の真下で、隣には美術館(金沢大学付属小中学校跡地)があり、近くの近江町市場も含めて観光客で賑わっている。
長崎も同じような構図だと思う。城跡はないけど出島跡はあるし、美術館もあるし、築町市場がある。こういう場所を地元の人(実はこれも大事)や観光客が回遊できる環境を作るべきではないだろうか。
現長崎県庁は出島が目の前に見える一等地である。ハコモノを作る必要はない。公園にして、地元の人も観光客も集まる場に育てていくのが一番である。市役所やホールをこの場所に建てるのは、もったいなさすぎるほどの立地の良さなのだ。地元の人は、往々にしてこの立地の良さに気付いていない。
「公園にして人を集める」という発想の効果は、私の家のすぐそばにある眼鏡橋界隈の変化を見ると、痛いほど実感できる。
私は今でも中島側の左岸バイパスは単に土木事業が目的だったと思っている。工事前には、あそこの家を全て立ち退かせて土木事業を行うことには反対だった。
しかし、いざ家が無くなり広々とした空間になると、その予期していなかった効果に驚かされた。空間としての魅力が格段に上昇し、人が集まるようになったのだ。
以前なら家から浜の町方面に行く時に中島川沿いを歩くことはなかったが、今は時々歩いている。中通り商店街の皆さま、ごめんなさい。
また昔なら、わざわざ観光客に眼鏡橋を見に来てとは言わなかったが、今なら自信を持って「眼鏡橋界隈に来て下さい」と言うようになった。
この例から言えるのは、私自身、身近な場所でありながら、その場所の魅力や可能性がわかっていなかったということである。
県庁跡地も同じことだと思う。あの場所の魅力に気付いている市民・県民が、どの位の割合でいるのだろうか。考えもしなかったという人は、是非県庁に足をはこんで、建物に入ってこっそり出島側の窓から出島を見て欲しい(って、県庁に入ってもいいんですよね?)。この場所に市役所を建てるなんて、もったいなさすぎる。
近くの商店街の人は、どうしてもハコモノを作って欲しいと言っているようだが、ちょっと発想を変えた方が、街全体として魅力的になる、と私は思う。いかがだろう。