ところが、路面電車へのアクセスをどうするのか、ということは全く話題になっていない。
今のところ、現在の長崎駅前電停まで新駅舎から歩いていけ、という話のようだが、ほんとうにそれでいいのだろうか。もっと議会で議論した方がいいと思う。
先日富山に行ってきた。富山は街中の路面電車網を整備して、住民あるいは観光客が街中を回遊しやすい環境づくりをしている。
そして、北陸新幹線開業に関連して駅舎が高架化されたことを契機に、路面電車を高架下まで引き込んで、新幹線から市街地へのアクセスがものすごく便利になった。
珍しく画像をUPする。
これが新幹線改札の内側から改札口を見たところ。改札を抜けた正面に、路面電車の乗り場が見る。
正面に路面電車が止まっているのが見えます?
路面電車のホーム。あいにく止まっているのは従来型車両。
大きなスーツケースを持っていても、低床車が来れば、持ち運びは簡単である。
これが外から見たところ。
新型低床車両が新幹線高架の下に入っていく。
そして、この駅周辺の高架下に入る線路は、富山市が整備し富山市が所有している。
路面電車の事業者は民間の富山地方鉄道。いわゆる上下分離方式で、富山地方鉄道はいっさいの自己負担なく、富山駅の高架下への乗り入れを実現できた。
これだけではない。富山では、市街地を循環する路線を、やはり上下分離方式で富山市が整備し、さらにそこを走るための低床車も富山市が購入。富山駅を出て市街地をまわる循環路線は、すべてが低床車である。そのため体が不自由な人だけでなく、荷物が多い人も、安心して路面電車に乗ることができる。
私も宿泊したホテルは循環線を4/5位回った場所だったが、循環線だと必ず低床車が来るのがわかっているから、駅から循環線をぐるりと回り、ホテルへ向かった。移動に時間はかかったが、荷物を運ぶのはものすごく楽だった。
これが長崎の 場合どうだろう。
大きな荷物を抱えて、駅前の歩道橋を渡り、電停へと向かう旅行者の姿を見ることは珍しくない。そして、低床車の数は少ないので、高床式の従来車両に、これまた大きな荷物を抱えあげて乗って、まわりの乗客の迷惑にもなる。
こんな状況を放置している長崎市は、観光地としてどういうつもりなのか、疑問の目で見ざるを得ないのが現状である。
長崎駅の区画整理事業を契機に、長崎も富山にならって駅に向かう新線を整備し、低床車を2〜3編成導入すれば、一気に問題は解決する。長崎の場合、市街地の環状路線は完成しているので、それ以上の新路線整備は必要ない。
富山の場合は、路面電車の上下分離方式が日本初の事例だったので、法律を作るために国会を動かしたり、いろいろと大変だったようだ。それを成し遂げた富山市長の熱意は、素晴らしいと思う。
これに対し長崎でこのやり方を実現しようとする場合、もう富山の前例はあるので、そんなに難しいことはない。市長がやるといえば、MICEと違ってこの件に関して議会の反対は少ないと思われるので、あっさり実現するだろう。市長がやるといえば、ほぼ実現する話なのである。
区画整理事業に関わる土木費用に比べれば、新線設置や低床車導入に関わる費用は、全く大きな金額ではない。MICE云々で大騒ぎするのもいいが、もっと市民生活に直結する駅前の路面電車問題に、もっと注目すべきではないだろうか。