長崎駅周辺の区画整理事業にからんで計画中のMICE施設に関して、反対意見が出ている。
そもそもMICE施設とは何なのか、ということが実感を持てないし、作った所で需要があるのだろうか、という疑問も多いようだ。
私はいくつかの学会に所属しており、学術大会にも継続的に参加しているので、その辺は普通の人よりは事情に詳しいはずである。
需要があるのか、似たような施設が各地に建設される中で、長崎が勝てるのか、という点について私見を述べたい。
先日、とある学会の全国大会が長崎市内で開催された。私も参加したのだが、実行委員の方の話だと、「予想したよりかなり参加者は多かった」とのことだった。全国大会は毎年各地で行われているので、これは、「長崎で開催される学会は、他都市より遥かに多くの参加者を集められる」ということである。
実際に参加している人の様子を見ると、確かに他都市で開催されるいろんな学会とは雰囲気が違った。まず、カステラを持っている人が多い。カバンの中はお土産のカステラでいっぱいだ、なんて話も聞こえる。持ってなくても、これから帰りにどこでカステラを買って帰る、なんて話は、みんながしていた。
こういうことは、他所で開催される学会では見かけない状況である。
少なくとも長崎ではカステラを買う、という魅力がある。その他さまざまな要因が合さって、長崎で学会が開催されるのなら、参加してみよう、と思う人は、結構いると感じた。当然、主催者側は参加者にとって魅力がある開催地で学会を開催したいと考えるのだから、「他都市との競争」という点では、長崎は相当優位に立っているのだ。
また、これだけみんながカステラを買って帰ってくれるのだから、経済波及効果も、他の都市より遥かに高いはずだ。もちろん、波及効果が福砂屋にばかり及ぶ、という見方もあろうが、そこは他の業者が頑張ればいいことだ。
長崎に住んでいる人は、外から見ると、長崎がどれだけ魅力のある所なのかがわかりにくい。実際には、住民が思っている以上に魅力のある都市だと外からは見られている、というのが、私の今までに受けている印象である。別項で書いたが、長崎はクルーズ船の寄港地として、現在日本一魅力のある港になっている。長崎市民はその事実を、どれだけ客観的に理解しているのだろうか。それと同じことで、学会の開催地としても、福岡には劣るだろうが、その他の都市に比べると、遥かに競争力を持っている都市なのだ。
MICE施設に反対する理由として、「他の都市に勝てない」というのは、外した方がいい、というのが、私の印象である。