9月16日から18日まで、食農資源経済学会の長崎大会が長崎市内で開催された。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~ksae/
この学会は以前は九州農業経済学会という名称で、現在も年一回九州各県を持ち回りで大会が開催されている。
私も会員なので参加した。本当は全日程参加したかったのだが、他の用事が先に入っていたこともあり、16日と17日の午前中だけの参加となった。
私は一応農業経済学が専門であるのだが、実は主要な調査地域が東北・北海道であったため、長崎の農業についてはほとんど素人である。今回、2日間(どちらも半日なので、実質1日分)しか参加できなかったが、そこでの議論を通じて、ほんの一部ではあるが、長崎の農業がわかった気がする。
まず一日目の内容から。
初日は、県内の元気な農家の方から事例報告があった。
長崎での先進的な農家の方のお話しを聞けて、非常に有意義であった。
この農家の方々の特徴として、みなさん明るい、元気がある、ということが挙げられる。
「暗い暗いと言う産業に未来はない。明るく夢を持たないとダメだ。」
というようなことを、みなさんおっしゃっていた。
まさにその通りだと思う。先行きがない、暗い、厳しい、というようなことばかり言うような産業に、未来があるはずがない。厳しさを強調するのは、「苦しいから補助を下さい」という、後ろ向きの姿勢でしかないのだ。
そして長崎の農業を牽引しているのは、今回発表されたような、明るい農家の方々なんだな、と思った。
それからもう1つ印象的だったのは、「きちんと稼げれば後継者も自然とできるんだ」というお話しだ。
これは私の持論でもある。私が東北や北海道の農村を回っていた時の印象でも、きちんと稼げている農家では、大きな後継者問題は起こっていない。後継者問題を解決する一番の方法は、きちんと稼げる経営体を作ることだ、という私の持論が、さらに裏付けられた気がした。
似たような話の繰り返しになるが、「日本の農業は競争力がないから、国の補助がないと消滅してしまう。」なんていう議論は、あまりに後ろ向きすぎる。強い経営体は、全国各地に、そして長崎にも沢山あるんだから、そんな後ろ向きの議論よりも、強い経営体を広く紹介し、それを広げていく、という方向性がより重要だと感じた。