2011年8月11日木曜日

離島航空路の再編を

長崎県の離島を結ぶ航空路は、住民の貴重な生活の足としての面と、今後増やさないといけない観光客の取り込み手段という面がある。

それを担う役割としてのORCが抱える運行上の問題といえば、次の2つであろう。

・長崎対馬線で、特定の便の乗客が集中し、予約が取りにくい状況にある。
・欠航が多い。


第一の点。もともとこの路線はANA(ANK)のジェット機が運航していたものを、ORCの経営再建のために、ORCに移譲させたものである。
(公式には、ORCの参入発表→ANKの撤退発表、という形だった気はするが。)

ANKからORCに移って、確かに1日の便数は増えたが、もともとこの路線、朝と夕方に乗客が集中する性質がある。便数が増えて1日あたりの座席数は増えても、多くの人が乗ろうと思う時間帯の便の座席数が減っては、積み残しが出るのは当然のことである。特に金曜対馬夜発の便は乗客が多く、2便体制にしても、今でも満席になることがしばしばある。

ここは考え方の問題である。確かにORCの経営問題も重要であろうが、住民の足としての交通政策を考えるべきではなかろうか。

そのためには、対馬発最終便と長崎発始発だけ、ANAのジェット機運航に変えてもらえばいい。ORCとANAのコードシェアを行っている今となっては、これはそんなに難しいことではない。

ANAからすれば、対馬発福岡行き最終便の機材を長崎行き最終便に振り替えればいいだけだ。その機体は長崎で1泊して翌日朝一で対馬へ向かう。

そのかわり、対馬発福岡行き最終便と福岡発対馬行き始発便をORC運航にすればいい。こういう機材繰りの変更をしても、コードシェアを行えば、ANAにとっての不利益はないだろう。


第二の点。

天候不良で欠航になるのは仕方がない部分もある。ところが最近多くなっているのが、機材整備のための欠航。これは、機材が古くなっていることに起因する。

他にもこれから理由を述べるが、もう今のうちから機材の更新を考えた方がいいだろう。

現在ORCが使用している機材は、かの有名なボンバルディア社のQ200というもの。これを置き換えるものとして現在製造されている機材は、ATR42しかない。

現在のQ200よりATR42の最新型ATR-600の方が燃費はいい。この燃料高の時代、経費削減という意味でも、燃費のいい機材に置き換えるのは正しい選択だろう。

ATR-600にした場合のメリットとして、必要とされる滑走路距離の短さから、滑走路が800mしかない上五島空港でも離発着できるという点がある。上五島空港をこのまま利用せずに放置するより、新機種導入で、再度活用した方がいい。今後増やさなければいけない上五島への観光客の足としても、50人前後の乗客を運べるATR42の導入メリットは高い。

そしてATR42-600は、ILSカテゴリーⅢという自動操縦装置に対応している。これを使えば、視界不良による欠航を大幅に減らすことができる。

まあ、上五島空港をILSカテゴリーⅢに対応させるには、どれだけの費用がかかるのかはわからないが、考えてみるのもいいかもしれない。

現実には、新機種導入は費用面などで難しいかもしれない。しかしそこは考えよう。単独で導入することはない。まだ日本でATR42-600を導入予定の航空会社はないが、このサイズの飛行機を運航している会社は、いつか機材更新を検討しなければならない。ここは、ORCと天草エアライン(AMX)、そして日本エアコミュータ(JAC)が共同で2機程度購入して、3社の路線で使い始めればいい。

整備などは福岡のJACで行うようにすれば、ORCもAMXも機材維持にかかるコストを削減できる。

ANAと提携しているORCがJAL系列のJACと提携するのは難しいかもしれないが、そこは何とか知恵を出し合い解決できる方法を探ろう。