2011年2月21日月曜日

鯨離れの真相

近年、若者の鯨離れが進んでいるという言い方がある。

5年ほど前、長崎で「長崎くじら食文化を守る会」というものが発足した。鯨の食文化を広めようというような趣旨だったと思う。そこには、若者が鯨を食べなくなっているからという理由もあっただろう。

では、なぜ若者は鯨を食べなくなったのか。

理由は簡単。高いから。

街中で売っている鯨カツは、一枚300円から400円する。それに比べてコンビニで売っている鶏の唐揚げは、100円台だ。

高校生が学校帰りにコンビニの唐揚げを食べている姿は普通に目にする。しかし、鯨カツを食べている姿はなかなか見かけない。理由は普通に考えたら誰にでもわかるだろう。鯨カツは高すぎるのである。

「長崎くじら食文化を守る会」を主催したながさき地域政策研究所(シンクながさき)の、菊森淳文常務理事が会の発足の時期に、「鯨の在庫が詰み上がっていて、来年には価格が暴落する。」とおっしゃっていた。そして、「鯨の消費を増やすために、何か手を打たなければいけない。」とも言われた。

それに対して私は、「値段が下がれば売れるようになりますよ。」と答えた。長崎で生まれ育った私には、値段さえ下がれば、長崎の若者は鯨を食べるという確信があったからだ。

さて実際はどうなったのか。あれから5年。確かに鯨肉の在庫は増えているようだが、鯨カツの値段は全く変わっていない。その辺の理由には政治的なものが相当からんでいるのであろうが、菊森氏がおっしゃったように、鯨肉の価格が暴落するということには、なっていない。

長崎の年配の人はみな口を揃えて言う。「昔は鯨は安かったもんね」。その言葉の裏側には、「鯨は安かったら食べるけど、高い金を出してまでは食べようと思わない。」ということが読み取れる。

経済学的には、在庫が増えると価格が下がって消費が伸びるというのは当たり前のことなのだが、実際には全くそうなっていない。

鯨の消費を増やすにはどうしたらいいか、なんて色々考える必要は全くない。値段を下げればいいだけの話である。鯨カツが鶏の唐揚げと同じ位の値段でコンビニで売られるようになれば、鯨肉の消費は爆発的に伸びると断言したい。