2021年12月7日火曜日

県内産の高級果物を県内業者は取り扱えない

2021年12月7日付けの長崎新聞に以下の記事が出ていた。

「出島の華」50万円の高値も 「させぼ温州」初競り 東京・大田

「出島の華」はうまくブランド化できたと思うし、それが高値での取引につながっているのは、いいことだと思う。


「出島の華」の評価は海外でも高く、海外の業者からの引きあいも強い。私も商談の際に名指しで商品指名されることが多々あった。

ところが長崎県で青果物の輸出業者を経営している私の立場では困ったことに、県内業者だとこうした高級果物を扱えないのだ。農協が長崎市中央卸売市場には出荷せずに県外の卸売市場中心に出荷するからである。

農協としては高級な商品は高く売りたいと考えるのが当然のことである。長崎の市場に出荷しても高値がつかない。だから東京の市場を目指して営業活動をする。このことに関して批判するつもりは全くない。


海外での営業活動を数年行っていると、長崎県産の農産物で売れるものは結構あるということがわかる。みかんもそうだし、県産いちご「ゆめのか」もかなりの人気である。このあたりは名指しで現地の輸入業者に指定される。他には香港では日本産びわがかなり売られていて、私は長崎県産しか見たことがないし、野菜でもミニトマトは長崎県産の割合が高い。

香港で長崎県産びわをPRしよう

ところがこうした商品を売ろうと思っても、長崎の卸売市場に基盤を置く業者だと東京や福岡の業者に勝てないのである。「出島の華」は入荷しないし、いちごも農協が我々に提示する価格が東京よりも高いのではないかと思える感じで、商談が成立しないのだ。

青果物の価格というのはきわめて市場原理に従って成立している。量が多ければ安くなり、少ないと高くなる。高値で買う人が多いと値段が上がり、少ないと下がる。

みかんにしろいちごにしろ、長崎より東京の方が高値で買う人は遥かに多い。農協としては東京で売ることを目指すのは当然のことである。いくら運賃が高くてもたくさん売れれば元はとれるし、売り上げ総額は高くなる。いちごの場合は東京で大量に売った方が儲かるから、量を売って市場を確保したい。購入実績がなく将来的の売り上げも不透明な長崎の業者に売るのなら、高目の値段を提示することも何ら不思議なことではない。


では長崎の業者が輸出において東京の業者に勝ち目はないのか。私はあると思っていた。

長崎から東京まで運ぶのには運賃が高くつく。それでは東京市場において他産地との競争に勝てない。長崎から出荷する場合最低10トントラック1台くらいの量がないと、東京での競争力がない。だから量が見込める商品でないと東京には出荷できない。

これが輸出になると、パレット1枚分、200kg程度の量があれば十分競争力を持てる。もともとアジア市場であれば東京からより福岡からの方が距離が近く、航空貨物運賃も安くなる。また長崎から福岡までの輸送であれば輸送頻度が高いので、パレット1枚分程度であれば他の荷物と積み合わせることで安く運べる。

だから少量の高級品に焦点をあてれば、東京で売るには物量が足りないものを海外で高く売ることは可能だと考えた。

こうして物量を増やしていくことで、県内業者による海外へ輸出ルートを太くしていって、結果として長崎県内の卸売市場の活性化にもつながると考えていた。


このような戦略の調整は、一輸出企業の努力ではどうしようもない。行政が各関連機関との調整の役割を担うべきことなのだ。

ところが長崎県の担当機関にはこういう姿勢が全く見られない。「全く」というのは語弊があって、最初は私と同じ考えのもとに動く担当者もいたがそれが続かないのである。役所の担当者は異動ですぐいなくなるからだ。

私が県と一緒になって一番活動していた時に、担当の係長は1年、課長補佐は2年で異動になった。担当が変わればゼロに戻る。気の利かない人が新たな担当で来れば、マイナスからの再始動になる。

そして担当者はこの短い期間で成果を出すことを期待される。するとどうなるか。短期間で実績が出る方向へ施策を変えてしまうのだ。

長崎県の事例をあげれば、県外の輸出業者に補助金を出すようになってしまったのだ。輸出実績のある業者に補助金を使えば、確実に輸出量は増える。最も簡単な補助金の使い方だ。

ところが補助金をつけて輸出量が増えた分は、補助金がなくなると元に戻る。県外業者にとって、どこの県産品を扱おうが関係ない。その時に有利な商品を扱うだけだ。補助金がなくても競争力がある商品は、そもそも元々扱われていたし、補助金がなくなっても扱われる。こういう補助金は結果として県外業者を潤わせるだけで、逆に県内業者の息の根を止めてしまう。実際に私は県外業者に補助金を出す施策が導入されてから、やる気を失い輸出の営業活動をやめてしまった。


正直に言って、長期的に継続させないと成果が出ない政策は現状の行政のしくみにはそぐわない。資本力のある企業が継続してやらないと結果に結びつかないのだ。

私が輸出の実務をやっていた感じだと、2〜3年続けていればやっと海外の取引先とも話ができるようになる。そこから実績を積んで5年くらいで芽が出てくればいい方じゃないかと感じた。1〜2年で担当が変わる役所ができる仕事ではない。そもそも農産物は大きな商談のチャンスは1年に1回しかない。いちごであれみかんであれ、シーズン始めに商談が成立しないと、次のチャンスは翌年になってしまうのだ。

こういう部分こそ地方銀行がサポートできないのかと思うが、親和銀行も十八銀行も私に声をかけてきたが、なんの成果も出すことはなく、1年も経たないうちに何も言わなくなった。まだ肥後銀行の担当者の方が前向きに考えて頂けたが、やはり(熊本から見て)県外企業のサポートをすることは難しいという結論になった。


十八親和銀行が福岡銀行傘下になった今こそ、福岡フィナンシャルグループ(FFG)が主体になって長崎県からの農産物輸出に取り組めば、少しは何とかなるとも思えるが、現状の農産物輸出は福岡の輸出業者が主体になっているので、FFGとしては本気で取り組まないだろう。実際に私が親和銀行の担当者と一緒に取り組もうと動いていた時にも、福岡銀行側は「親和のことには関わらない」という雰囲気だった。

2021年9月18日土曜日

佐世保の保健所は濃厚接触者の判定基準が厳しすぎた

以下の記事の続編。

佐世保市の保健所は濃厚接触者の判定が厳しすぎるのでは?

やはり私の推測が正しかったんじゃないかと思わせる新聞記事が出た。

佐世保郵便局 クラスター原因の配達遅延 27日には正常化

また同支社は、陽性者以外の配達員全員が濃厚接触者に認定された原因について、共用部分の消毒や換気が不十分だったためと説明した。現在は改善しているという。

佐世保郵便局では、配達を担当する職員が全員濃厚接触者に認定されたために2週間の隔離が命じられ、郵便配達をする人が1人もいなくなった、という事件の続報である。


濃厚接触者の判定基準は保健所によって違う。私は状況を知らないから具体的なことは言えないが、「マスクを着用していれば濃厚接触者にしない」という所は多いと聞く。

そもそも保健所の一存で郵便配達ができなくなるという社会生活をマヒさせる行為を許していいのか。もちろん濃厚接触者の中から感染者が大量に出て、「郵便配達が行われない」という事態よりも「濃厚接触者の隔離」のほうが社会的に重要なのであれば、濃厚接触者の隔離を第一に考えなければならない。

しかし今の感染局面では、大都市部においては保健所の業務が間に合わないという理由で濃厚接触者の調査自体をやめている所も多い。それでも感染者は急減しているので、今の状況において濃厚接触者の隔離が重要だとは、全く思えない。

濃厚接触者の調査が広く行われることにより、一定割合でPCR検査の陽性者が出る。そのため県内で佐世保市だけ行政による警戒措置が解除されず、飲食店の営業短縮要請が継続され県内対象の旅行キャンペーンも佐世保市だけが除外になったりする。学校行事も佐世保市だけ縮小され、お祭りが延期になる。佐世保の保健所で多くの濃厚接触者を出すことによる社会経済的損失は大きすぎるのだ。


ここ数日県内の市町別陽性者数の発表を見ると、佐世保市だけ他地域より多いということがなくなっている。正直、これは怪しいと思う。この1年佐世保市だけ多めの数字が続いていた。佐世保郵便局の事件を受けて、佐世保の保健所が接触者の判定を県内他保健所並みに緩くしたのではないかと勘ぐってしまうのだ。真相は知らない。

2021年9月11日土曜日

佐世保市の保健所は濃厚接触者の判定が厳しすぎるのでは?

佐世保郵便局で配達員全員が濃厚接触者に認定されたため、郵便配達ができなくなっているそうだ。

佐世保郵便局クラスター 配達遅れ 最大1週間 完全復旧、早くて9月末に

同郵便局では8日までに、郵便物の集配を担当する従業員74人のうち12人の感染が判明。残り62人全員が濃厚接触者に認定された。濃厚接触者は2週間の自宅待機が求められるため、集配担当の全従業員が出勤できなくなっている。全国の郵便局でこうした事例は初めてという。

この措置に対しては色々と議論すべきことがあると思う。まず私が最初に主張したいのは「そもそも濃厚接触者の調査が必要なのか」ということで、次に「濃厚接触者の自宅待機が必要なのか」ということになる。


まず濃厚接触者の調査が必要なのか、という点について。現実問題として、感染が拡大して保健所の調査が追いつかない地域においては、濃厚接触者の調査をしないでいいことになっている。

そしてどうなったか。感染縮小期においては、濃厚接触者の調査をしなくても、感染者は順調に減少しているのである。もう今は第5波。これまでの事例を振り返れば、この事実は統計的にはっきりしている。

私の知人に関東でコロナ診療をしている医師がいるが、今は濃厚接触者の調査はやっていないということである。それでも現在、急速に感染縮小している。これが現実だ。


次に「濃厚接触者の自宅待機が必要なのか」という点。あくまでこういう措置は、利益と損失のバランスを見て判断すべきことだ。それは医学的観点からだけでなく、経済社会面まで考慮し政治が決断することだ。

無症状で他人に感染させる恐れがほとんど無い濃厚接触者を自宅待機にすることで、郵便配達ができなくなるという損失を上回る社会的利益があるのか、行政関係者は少しは真面目に考えて欲しい。

今は「コロナ陽性者を1人でも出さないようにするためには、どれだけの社会的損失があっても構わない」という観点から行政運営が行われている。長崎県知事はちゃんとバランスを取ろうとする意志が見えるが、長崎市長はコロナ対策が全てで、飲食店や旅行関係業者がどれだけ潰れようが、子どもたちの教育や課外活動、そして健全な成長にどれだけ悪影響が出ても構わない、という姿勢しか見えない。どれだけ自殺者が増えようが、コロナの死者が1人でも増えなければそれでいいという考えのようだ。多分、佐世保市長もそうなんだろう。


それはさておき表題の件。今回、県独自の緊急事態宣言は9月12日で解除されることになったが、佐世保市だけは感染が落ち着かないということで30日まで延長になった。7月1日から行われていた県民限定観光キャンペーンも、佐世保市は感染が落ち着かないということで除外されていた。

これまでも県内で佐世保市だけ感染が収まらないという状況が繰り返されてきた。これは佐世保市に何か特殊事情があると考えるほうが自然である。

私が思ったのは、佐世保の保健所は接触者の判定が厳しく、より多くの人にPCR検査をしているのではないかという疑問である。上述した通り、感染縮小期においては濃厚接触者の検査を行うこと感染縮小とは関係がない。長崎県や佐世保市といった感染者数がそもそも少ない(1日1ケタ)地域においては、たくさん検査をすることにより陽性者をより多くあぶりだし、陽性者がゼロにならないのではないかという疑問である。

症状が出ていない感染者が他人に感染させることは、ほぼ無い。陽性者自身も数日で陰性になる。そもそも発症していないんだから、検査をしない限りは自分が陽性であるという自覚もない。そういう人に対して数多く検査をして警戒期間を長引かせることは、社会的に何か意味があるのだろうか。

保健所の管轄は地域によって違う。長崎と佐世保は市の、その他の地域は県の管轄である。だから、佐世保市の保健所が県内他保健所に比べて、接触者に対する検査をより多くやっているのではないかという疑問が出るのだ。


とにかくコロナ対策に関しては世界中が科学的根拠に基づかない非科学的な思い込みをもとにして行われている。私は、中村知事は日本の知事の中ではいちばん科学的根拠を重視していると思っているので、毎回佐世保市の感染が最後まで収まらない理由について、きちんと検証して頂きたい。

2021年9月9日木曜日

長崎大学教授の予想はやはり外れた

 本日、長崎県に出されていた緊急事態宣言が、佐世保市を除いて予定どおり9月12日で解除されることが発表された。

【速報】長崎県が県独自の緊急事態宣言解除へ 佐世保除く

という訳で、「第5波」の総括をもうやってもいいだろう。


表題の話になるが、8月8日の記事を振り返ろう。

長崎大学の感染推計は絶対に外れる

ここで書いた私の予想を引用する。

一応私の予測も書いておけば、お盆過ぎまでダラダラ流行が続いて、ピークはせいぜい70〜80人程度じゃないかと思う。但しこの1年間書き続けているが、長崎県程度の感染者数だと、クラスターの発生状況に大きく左右される。高校生のクラスターがいくつか見つかれば(これも、濃厚ではない接触者の調査をどこまで広げるか、に関わってくる)、100人を越えることも有り得るが、高校生にいくら陽性者が増えた所で、ほとんど無症状、症状が出ても微熱が2〜3日続く程度なので、ことさら大騒ぎすることでもない。

それに対して長崎大学の推計は、お盆に感染者140人だった。

「自分たちの行動で決まる」 長崎大が感染推計公表 盆には140人到達か

そして、答えはこれ。










長崎県のHPより引用)

100人を越えたのが2日だけ。あとは70〜80人程度でダラダラ続いた。

私の予想どおりだったと言って、問題ないだろう。


ちなみに8月20日に出された長崎大学教授を名乗る占い師の話はこれ。

長崎大学の占い師の予想は外れる

長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は20日、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、県独自の緊急事態宣言が19日に出されたことを受けて会見。県内の現状を「1カ月前の東京に若干似ている。嵐の前の静けさのようで恐れている」と危機感を示し、「今すぐ知事が示した感染対策を実施し、ワクチンも打ってほしい」と訴えた。

やはりこの占いは外れた。20日以降、順調に減少傾向に入っている。


では第4波の時はどうだったのか、振り返りたい。

5月8日の記事から。

長崎大学の占い師の予想は当たるのか?

長崎の医療崩壊迫る…医師が悲痛な訴え 感染症対策を呼びかけ

長崎大学病院感染制御教育センター 泉川 公一 センター長「増え方が尋常ではないというのは、間違いない事実。個人的な感想としては、これはまだ(第4波の)入り口だと思っている」

さて、この占い師の予想は当たるでしょうか。

私は、繰り返し書いているがもう長崎市はピークに差しかかっていると思っている。

答えは、5月8日がピークだった。









東洋経済オンラインより引用)

見事に占い師の予想は外れ、私の予想どおりだった。


第3波の時はどうだったか。

2020年12月11日の記事。

長崎県にも新型コロナの第3波がやってきたの?

では第3波は来ないのか。来るだろうけど、小さな波じゃないか、というのが、私の予想。これも、個人の感想です。


但し統計的に言えることは、世界中を見ても、寒い国からこの冬の流行は始まっている。日本でも北海道から始まり、東京・大阪で流行した。冬になれば流行が起こる、ということはずっと前から言われていたことで、その通りになっている。では長崎で流行が起こらないかといえば、どうやら福岡でも流行がやってきた感じで、単純に日本の中で相対的に暖かい地方は流行が始まるのが遅かったと考えるのが自然だろう。長崎でも、これから第3波がやってくると思っておく必要は、ある。

続いて2021年1月4日の記事。

長崎県にも新型コロナの第3波がやってきた

ピークで1日35人。人口規模を勘案すると、他県に比べて全然大きな波ではない。

そして、多分もうピークアウトしている。12月末の時点でそう書いておこうかと思ったんだけど、ブログを書く気力が出なかったので、書かなかった。今書いても、もう後出し。

結果はこれ。









東洋経済オンラインより引用)

ピークは1月9日の60人。ちょっと外した。まだこの頃は私も経験不足で(だって、この時第3波ということは事前に2波しか経験していないんだもん。)、予想の精度が悪い。思っていたよりピークが後ろで高めに来る傾向があるとわかったので、以後修正した。そう、科学者とは事後的に振り返って修正し精度を高めるものである。外れる占いを繰り返す人は、大学教授を名乗っていても決して科学者ではない。


私が教授を名乗る占い師について批判の発言を強めているのは、以下の記事がきっかけである。

疫学は易学だ

長崎大学 5月連休明けに感染一日120人超えを予測

「占いじゃないです。理論に基づいた値を皆さんに見せてるだけです。この図を示すことによって皆さんの行動変容を促すことにひとつでも役に立てればと思っています」

なんだ、疫学のシミュレーションは占いレベルだという自覚はあるんじゃない。

みなさん、事後的にこの占いが当たったのか、きちんと振り返りましょうね。

この記事のリンクが切れていたので、別の記事のリンクを貼る。

GW明けコロナ感染者数 第3波の「2倍超」 長崎大 県内推計 行動変容あれば抑制

上のほうの図を見てもらえばわかるけど、5月連休明けの感染者数は65人がピーク。「理論に基づいた値」の約半分。これを「理論に基づいた値」とみなすのは、余程のお人よしである。普通に考えれば、理論がおかしい。

賢明な読者の方には、いかにこの教授の話が「占い師」の予想でしかないことがわかって頂けると思う。普通はこんなに予想を外しまくる占い師の話なんか誰も聞かなくなるものだが、「長崎大学教授」を名乗っていればそれでも聞く人は沢山いて、マスコミにも取りあげられる。

真理を追究したい方は、肩書きに惑わされるのではなく、話の論理性に問題がないのかを自ら考え、後でその発言が正しかったのか検証する必要がある。それが科学的な物事の考え方だ。


2021年8月25日水曜日

本を出しました

 本を出しました。


内容は、「アゴラ」というサイトに寄稿した文章とこのブログの記事から抜粋したものです。

自分で言うのも何ですけど、結構面白いですから、買ってください。
今の所、Amazonでしか買えません。初版が売り切れたら、書店にも並べられるよう手配します。

2021年8月21日土曜日

長崎大学の占い師の予想は外れる

 また長崎新聞の記事から。

「1カ月前の東京のよう」 長崎大病院・泉川教授が会見 感染状況に危機感

長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は20日、新型コロナウイルスの感染が急拡大し、県独自の緊急事態宣言が19日に出されたことを受けて会見。県内の現状を「1カ月前の東京に若干似ている。嵐の前の静けさのようで恐れている」と危機感を示し、「今すぐ知事が示した感染対策を実施し、ワクチンも打ってほしい」と訴えた。

多分、この予想も外れる。長崎県の感染者はこれから減少していくというのが、私の予想である。

具体的な私の予想は以前この記事に書いた。

長崎大学の感染推計は絶対に外れる

一応私の予測も書いておけば、お盆過ぎまでダラダラ流行が続いて、ピークはせいぜい70〜80人程度じゃないかと思う。但しこの1年間書き続けているが、長崎県程度の感染者数だと、クラスターの発生状況に大きく左右される。高校生のクラスターがいくつか見つかれば(これも、濃厚ではない接触者の調査をどこまで広げるか、に関わってくる)、100人を越えることも有り得るが、高校生にいくら陽性者が増えた所で、ほとんど無症状、症状が出ても微熱が2〜3日続く程度なので、ことさら大騒ぎすることでもない。家で療養すれば医療機関への負担もかからない。子どもから親に感染させることも、現状ほとんど無い。家庭内感染は「子から親」ではなく「親から子」のケースが大多数なのである。

感染状況が落ち着いてから振り返りの記事を書こうと思っていたのだが、途中経過という感じで今現在の見解を書いておく。

私は長崎県の感染状況はおおむねこの予想通りに進んでいると思っている。100人を越えることがあっても1日位だと思っていたのだが、実際にはもう2日超えてしまった。そういう部分では予想が外れてしまったが、その位は誤差の範囲内だと思って頂きたい。


私のブログを読み返してもらえばわかることだが、コスタアトランチカの騒動以来、私の予想は全て当たっている。それに対し、長崎大学の占い師の予想は、全部外れている。

普通は外れ続ける占い師の予想は、そのうち誰も聞かなくなるものだが、たちが悪いことに、この占い師は「長崎大学教授」の肩書きを持っているので、予想が外れ続けても、人々が言うことを聞くのだ。

長崎大学の先生は、とにかく悲観的なことを言って県民の不安感を大きくすることを意図して発言している。それは以前書いた内容の通りである。県民の行動変容が感染拡大防止に寄与することはほとんど無いのに、それでも少しは影響があって、感染者が減り自分たち医療者の仕事が楽になればいい、と思っている。そのために飲食店や宿泊業者の経営が圧迫され、精神疾患が増え自殺者が増え、子どもたちの成長にとって大事なさまざまな体験の機会や学習の場を奪うことを、何とも思っていない。

感染症の専門家は、感染症が原因で病気になる人が減れば全て良しで、精神を病む人が増えて自殺者が増えても、自分たちは関係ないと開き直った発言をする人さえいる。


今回言いたいのは、何故こういう県民の不安感を増すような発言を記者会見を開いてまで行う必要があるのか、ということだ。今まで長崎大学の占い師がこういう会見を開いた場合、そこから感染状況が落ち着いてくる、ということを繰り返してきた。自分の予想が外れたことを研究者として恥ずかしく思わないのかと私は思うが、「教授」を名乗っていても研究者ではなく占い師なのが実態なので、何とも思っていないのが真相だろう。

2021年8月20日金曜日

「感染しない、させない」がコロナ被害を大きくする

長崎新聞に以下の記事が出ている。

「死活問題」「逆効果」の声も 緊急事態宣言 長崎県民反応 医療従事者「危機感を」

新型コロナの患者を受け入れている病院で働く別の女性看護師は「感染しない、させないという緊張状態が1年半続き、みんな疲れ切っている」と職場の窮状を吐露。


私は、コロナ禍で人々が疲弊する最大の原因は、この「感染しない、させない」という意識にあると思っている。

そもそも感染して何が悪いのか。無症状やタダの風邪で終われば全く問題はない。だから、感染対策としては最初に「罹っても大丈夫な体づくりをしましょう」ということになるはずだ。

初期の頃には専門家も「ウイルスに負けないようにちゃんと食事をして睡眠をしっかり取って適度な運動をしましょう」と言っていたが、そういう声は最近全く聞かなくなった。私がブログで珍しく評価していた熊谷千葉県知事も、千葉市長時代には「ウイルスに負けない体づくりをしましょう」と言っていたのに、最近は言うことがおかしくなって、Facebookで「マスクを着用していない人がウイルスを撒き散らしている」と発言する始末だ。

私のブログの過去記事から。

徹底した感染対策を取っている人ほど新型コロナに感染している

以下は、上記記事で引用した熊谷氏のFacebookでの発言である。

私も市長としての職務に加えて早朝・夜や週末に選挙に向けた諸作業をしていますが、しっかりと睡眠を取り、免疫力を維持するよう意識しています。また、毎日の体温測定などの健康管理も徹底しています。

https://www.facebook.com/toshihito.kumagai/posts/3648746841861464

から引用。2020年12月17日の発言。


そもそも重病人でもない人を病院やホテルに縛りつけていることに何の意味があるのか。濃厚接触者だというだけで14日ホテル隔離されたりもしていた。健康な若者が14日も狭いホテルの部屋に閉じこめられていたら、健康であっても病気になる。

長崎県医師会長がコロナ感染して入院した話が以前新聞に出ていた。私は医療に詳しくないが、医療関係者に言わせれば、家で静養していれば治ったレベルで、入院したのは精神的な問題だということである。まさに「病は気から」、なのである。

初めて書いた短い遺書… 感染経験の産婦人科医・森崎氏 “普段”の対策が重要


国民に恐怖感を抱かせ、特に子どもたちの精神状態を悪くさせることに何のメリットがあるのか。まず医療関係者がやるべきことは、「罹っても大丈夫な医療体制を作っています」と言って、国民を安心させることではないのか。

以前書いたブログ記事から引用する。

新型コロナ陽性者が出る前提での観光推進を

話を元に戻すが、少なくとも長崎県では、「感染者が出ることは気にしない」「出ても大丈夫な医療体制を整える」ということを、県民そして旅行に来る都会の人に積極的にPRすることを政策の基本に置いて欲しい。間違っても過剰な感染防止対策をすることを推し進めることは、やめて欲しい。必ずしも旅行者はそれを望んでいないのだから。

医療関係者がまずやるべきことは、コロナ患者を受け入れていない病院が受け入れを始めるよう努力すること。そして「軽症無症状の人は多くの場合自宅療養で治ります。だから症状が重い人のための病院のベッドを開けさせて下さい。デルタ株になって、死者はほとんど出ていません。過剰に恐れる必要はありません。症状が悪くなればすぐに入院できる体制は整えますから、まずは自宅で療養して下さい。」と言うべきだと、私は考える。