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2020年5月18日月曜日

「シンクながさき」の提言は完全に間違っている

長崎新聞の記事で、ながさき地域政策研究所(シンクながさき)がコロナ後の提言をまとめたというものがあった。

「ピンチをチャンスに」 コロナ後見据え提言

具体的な内容について、もうシンクながさきのHPに掲載されている。

(第1部)コロナウイルス緊急事態宣言を受けた長崎への提言―コロナ後の世界に向けて

(第2部)コロナウイルス緊急事態宣言を受けた長崎への提言―コロナ後の世界に向けて


これを読んで、「ああ、参考になった。読んで良かった。」と思う県民が何人いるだろうか。ほぼ誰の参考にもならない文章である。そもそも読む人が何人いるのか。私のブログのアクセス数も少ないが、それと大差ないレベルではないだろうか。それも、本当に参考にしようと思って読む人が何割いるのか、悪いけど疑問に思っている。公務員がとりあえず読むだけ読んで、特に参考にできる話はなかったな、で終わりだろう。県内の公務員のそれなりの割合の人が読むだけで私のブログより遥かに多くのアクセス数にはなるのだろうが。

それとは違い、私のブログを今読んでいる人は、本当に参考にしようと思って中身を真面目に読んでいる人ばかりだと思う。申し訳ないが、シンクながさきの提言より、私のブログの方が遥かに価値が高い。

「コロナ後」を見据えた観光戦略を

「コロナ後」の対策を、特に対馬で早めに立てよう


じゃあ長崎県はこれからどうすればいいのか。具体的な提言を上の記事以外にも、これから書く。


まず長崎新聞の記事の引用から。

 これらの予測や考察を基に、長崎県が取り組むべき具体策を列挙。▽人口分散を見込んだ移住受け入れの促進▽「近距離間観光」の模索▽造船業振興に向けた「病院船」「災害救助船」の製造検討-などを提案している。

いちいち突っ込みを入れるのも面倒なので、観光に絞って書く。

観光についていえば、国内旅行は8月には正常化すると思う。だから、7月以降、どれだけ全国から、特に関東からの客を長崎に呼べるか、その準備を他県に先駆け今できるのかが、問われている。

日本がこの夏までに外国人の観光客を受け入れるとは思えないので、海外からの集客は見込めない。しかし逆に、日本人の海外旅行も、仮に相手国側が許可しても(ヨーロッパは許可すると思う)、日本が帰国後2週間自宅待機などを命じるだろうから、あまり増える見込みはない。となると、これまで海外旅行に出かけていた日本人が国内旅行に振り替える可能性は、高いのだ。

長崎県の現状を考えると、クルーズ船客を除けば、そこまで極端に海外客に依存していた訳ではない。逆に、それを埋めるだけの「海外旅行をしていた日本人客」を県内に呼び込むことが、努力次第では可能だと思う。それこそ今年の夏は県内の離島を売り込みチャンスなのである。

最近東京に行っていないからわからないが、駅などの広告スペースはガラガラらしい。そうであれば、目立つ場所は取り放題。値段も安く叩けるだろう。じゃ今のうちに広告を作っておいて、国内の移動が解禁されれば、一気に長崎県の広告で東京を埋める、なんてことも可能である。これは今年じゃないと、できないことだ。


次に重要なのが修学旅行である。政府もできれば修学旅行は中止ではなく秋以降にやって欲しい、という意向を示している。

まずは長崎県に来る予定だった修学旅行が、確実に来てもらえるように努力するのが第1。そして、時期や目的地を変える学校が、変更後の行き先として長崎を選んでもらえるようにするのが第2である。

近年、特に高校では海外への修学旅行をする学校が増えている。残念ながら今年度は海外は無理だろう。じゃあ代わりに長崎に来てもらおう、ということだ。

沖縄や北海道も受け入れ側の都合もあり、避けられる可能性はある。じゃあ、長崎に来てもらいましょうよ。沖縄の離島に行くつもりだった学校に、かわりに長崎の離島を提案するということも、できるだろう。

そのために、今から県内のホテルを修学旅行用に押さえる。そして航空会社にも、大型の飛行機を秋には長崎に飛ばしてもらうようお願いし、飛行機の座席も押さえる。貸し切りバスはクルーズ船が来ないので空いているだろうから、観光バス会社の経営安定化のためにも、修学旅行用に今から話をしておく。特に飛行機は全国的な航空需要の低下から小型化されているので、夏以降運休便が再開されるスケジュールを立てる時に、「長崎は修学旅行を呼びますから、大型機を入れて下さい」と今からお願いする必要がある。

県内の旅行を増やそうと市長会が県にお願いに行ったようだが、今やることはそれではない。県外客の受け入れ準備をすることだ。

経済浮揚のカギは旅行!?市長会が県に緊急要望【長崎】


今書いた話は、決して非現実的な話ではないと思うし、今すぐにでも対策を立てるべきだと、読んだ人はみんな感じてもらえると確信している。

問題なのは、訳のわからない提言をしている組織に県の政策を委ねている現状である。私のこの文章を、是非平田副知事や中崎文化観光国際部長に読んでもらって参考にして頂きたいと、強く思っている。自分から読んでくれとお願いするつもりは、全くないが(苦笑)。


<追記>
スシローが渋谷スクランブル交差点の広告をジャックしたそうです。

スクランブル交差点が寿司だらけに コロナで人が消えた渋谷、スシローに占拠されていた


私も東京のどこかを、長崎県が観光広告で埋め尽くせ、と言っているのです。

2019年2月10日日曜日

長崎港・空港からの農産物輸出が増えないのは業者のせい?

西日本新聞に気になる記事が出ていた。

長崎の貿易現状は「鎖国」 日銀支店リポートで指摘 空港と港湾 機能に課題 [長崎県]


長崎港や長崎空港からの農産物輸出が他県に比べて少ない、という話。

リポートは「空港の24時間化を含め、需要地のニーズに合わせた物流体系の確立が急務」と総括。貿易の玄関口として(1)港湾や空港のインフラ整備(2)生産地から港湾や空港までのアクセスの整備(3)需要地に向けた航路、航空路の拡充-などの遅れている対応を列挙した。平家達史支店長は「これまでは長崎の中で商売していれば何とかなったので、販路の開拓を他地域よりしてこなかったのではないか」と辛口に評価する。関係者はどう受け止めるか。

関係者として言わせてもらうと、「何を偉そうなことを言ってるの?」という感じで、こんな訳のわからないことを言っている人が発言力を持っている時点で、長崎の経済は終わっている、という印象である。


私は水産物流通についてはわからないので、農産物についてだけ書く。

まず販路開拓。「長崎の中で商売していれば何とかなったので」云々のくだり。何を言ってるのですか、という感じ。今、東京のデパートやスーパーに行けば、長崎県産のみかんやいちごは普通に売っている。私の印象だと、長崎県は他県と比べても、東京での営業は相当頑張っている。長崎は東京から遠いため運賃がかかるから、東京で売るのは相当不利な地理的条件にある。それでもこれだけ東京の店に商品が並んでいるのだから、「販路の開拓を他地域よりしてこなかったのではないか」と言われても、「何を見てるんですか」という感じになる。もっとも、この人の他の発言を見ても、「何も見ていない」という印象しか私は持っていないのだが。


次に輸出に関していえば、「なぜ農産物の輸出をしなければならないのか?」という根本的な問題がある。輸出は基本的に儲からないからである。

私の印象としては、果物が世界一高い値段で売れるのは東京である。となると、生産者は東京で売った方が一番儲かる。一番儲かることを目指すのが、経済原理としては正しい。

では将来的にどうなるのか、という視点から考えても、やっぱり将来的にも値段という点では、香港やシンガポールなどのほうが東京より高い値段で売れる、ということは、まあ無いだろうというのが、実際に商売をやっている私の感覚である。もちろん小売価格の話ではなく、農家が受け取れる価格の問題だ。

それでも実際に輸出をしようと頑張った所で、福岡や関東関西の業者に勝つのは、相当厳しいというのが現実である。大消費地の業者は長崎の業者に比べて品揃えが豊かで、それだけでも海外の業者との取引で優位に立てる。そして輸出ルートをすでに作っているので、そこに長崎から新興業者がルートを作って営業をする、というのは、余程のことがないと成功しない。是非日銀長崎支店の平家達史支店長に、実際に営業をしてもらいたいと思う。

長崎港や長崎空港からの海外への貨物便が少ない、という点については、実はそんなに営業上の障害になっている訳ではない。福岡から香港やシンガポールへの農産物輸出でも、船なら週1回、飛行機でも週1回や2回という業者が普通である。福岡港からでも釜山港経由で輸出されるケースも普通で、長崎港の便数が少ないことがデメリットになるという印象は、今のところ感じていない。

最大の問題は、その週1回分のコンテナを満載にするだけの商品を運ぶ営業力がない、ということである。そんなに簡単に営業ができる程、商売は甘くない。


では何が現状問題なのかと言えば、あくまで私の印象だが、県の姿勢である。少なくとも農産物輸出の部署からは、長崎港や長崎空港から農産物輸出を増やそうという姿勢が、全く感じられない。

私も以前から、特に香港は水産物の輸出が多いから、貨物輸送も見込めるということで香港の航空会社の誘致をすればいいんじゃないですか、と県の農産物輸出担当者に話をしていたが、多分、それが空港担当の部門には全く伝わっていない。

また、今回香港エクスプレスの就航に合わせて、福岡から香港エクスプレスの貨物輸送を行っているフォワーダーさんから、長崎でも貨物を扱うように香港エクスプレスに頼んでみてもいいですよ、という話をされたが、残念ながら売る相手がいないので、販路が開拓できるまで待って下さい、という返事しかできなかった。


基本的に貿易は民間がやることなので、何でも行政にお願いするというのは間違っていると思う。しかし、こういう業者間の調整をするのが行政の仕事ではないだろうか。

実際に長崎県の農産物輸出担当部門がやっているのは、福岡や関西の輸出業者に補助金を入れて、福岡や関西からの輸出を増やす施策なのである。長崎の地元業者と手を組んで、長崎港や長崎空港からの輸出を増やそう、ということは、全くやっていない。

日銀長崎支店の平家達史支店長も、業者の努力が足りないという前に、県の姿勢はどうなんですか、と言う方が先じゃないだろうか。

また行政側も、こういう数字を見て推測しているだけで現実のわかっていない人の話をありがたがって聞いているから、長崎の経済が発展しない、と、常々思っている。

2018年12月11日火曜日

地域航空会社提携により上五島・小値賀航路復活へ

地域航空会社の再編に向けた協議が、一歩進んだという報道が出ている。


この話は元々、現在ANAの実質的傘下にあるORC(オリエンタルエアブリッジ)の面倒をJAL系航空会社に見てもらうために国を巻き込んで起こしたもので、連携の枠組みがすでに出来ているJAL系にとっては何のいいこともなくJAL側が反対していた、という状況だった。

それが、とりあえず九州3社(ORC、AMX(天草エアライン)、JAC(日本エアコミュータ))が業務提携するということで話がまとまったということだ。

ORCにとっては、行き詰まっていた新機種導入の目処がつけられることになり、特に長崎壱岐路線を存続させる道筋ができたので、大きな合意だ。

長崎壱岐路線を運航させるには、現状JAL系の航空会社が導入しているATR42を、ORCが現行のQ200の後継機として購入する方法しかなかった。ところがORCはこの1機だけのためにATR機の整備などを行うのは経営的に不可能であるとし、他に方法がなく故障がちの現行機の更新ができなかった。苦肉の策として現行機と同型の中古機を買うという話まで出ていた状況だった。

もしORCがATR42を導入できれば、現在定期便が運航されていない上五島や小値賀への定期便を復活させることもできる。世界遺産登録で観光客を呼び込みたい上五島や小値賀にとっても、いいことである。

ATRが開発中のATR42-600s機は800m滑走路での離発着が可能である。そのため現在800m滑走路しか持たない上五島・小値賀の両空港への就航も、この機種を導入することで可能になる。

日本には県内両空港以外にも800m滑走路をもつ所は多い。そのためATR社は、日本へのこの機種の売り込みを積極的に行っている。

ATR42-600S機は上のリンク先に書いてある通り、伊豆小笠原諸島においても使用価値がある。そちらにANA系の会社が路線を広げられれば、今回の地域航空会社提携の意味も大きいので、ANA側も熱心に話を進めるだろう。


今回の提携では、同じ便でANA系とJAL系双方のコードシェアも行うようだ。これにより、ORC運航便に乗ってもJALのポイントを貯めることが可能になり、いわゆる「修行僧」と呼ばれる乗客もORC路線に集めることができる。

「修行僧」とは、航空会社の高い会員ステイタスを得ることを目的として飛行機に乗る人である。ANAのステイタス基準は搭乗距離を基準にしたものだけだが、JALの場合は搭乗距離と搭乗回数の両方の基準がある。搭乗回数を目標にする場合は、短距離路線を一日に何往復も乗るのが効率が良く、特にステイタス基準期間末である年末の週末になると、福岡宮崎間を何往復もする人がたくさんいるような状況である。

JACの離島路線も、「修行僧」による搭乗率の底上げ効果は意外と大きい。搭乗回数を稼ぐためのツアーまであるので、ORCとJAL(JAC)のコードシェア実現は、長崎県の離島航空路の搭乗率底上げにも大きく寄与することになる。

さらに大きいのは、JAC運航便にもORCの便名を乗せられることになれば、長崎の離島路線をJACに運航してもらうことも可能になることだ。

上五島・小値賀路線は、長崎空港からより福岡空港からのほうが需要は高い。しかし、ORCは現在長崎空港を拠点にしているため、ORCが運航する場合は一度長崎から上五島や小値賀に飛び、そこから福岡に向かわないといけない。そうすると、長崎からの離島路線便の搭乗率が低く、経営的に苦労することになる。ところがJACは福岡にも拠点を置いている。

今回の提携をもとに、JACに福岡からの上五島・小値賀路線を運航してもらい、その便にORC/ANAの便名を乗せチケットを売れば、長崎空港からの機材を送り込む必要がなくなり、効率的な路線展開ができる。

新機種を導入しても、導入が1機だけだと整備期間中に運航できなくなる。AMXは飛行機を1機しか持たない会社なので、以前は整備期間には運休せざるを得なかったが、ATR導入を機にJAL系航空会社間で整備期間中の機材を融通するシステムを作ったため、現在は整備期間中でも運休する必要がなくなった。

長崎でもJACにATR42-600sを導入してもらい福岡-上五島・小値賀航路をお願いした上で、ORCも同型機を1機導入し、JACの整備期間中にはORCから貸し出せばいいのだ。


今回の事業提携を機に、行き詰まったように見えた長崎の離島路線が活性化されることを期待したい。




2018年12月3日月曜日

長崎空港国際線に対する有効な補助金の使い方

前回の続き

長崎空港の国際線利用者を増やすには、その便利さを県民に知ってもらわないといけない。ソウル便の場合、ソウル発が早すぎて、ソウルに宿泊した人が利用するのは苦痛でしかない。補助金を出して利用してもらっても、2度と利用しないと思われる危険性が高く逆効果でしかない、という話を書いた。

批判するだけでは生産性がない。ではどうしたらいいのか、ということを、本稿では述べる。


ソウル便はソウル発が早すぎて、宿泊先から空港に向かうのには厳しいが、ソウル早朝着便であれば逆に利用しやすい、ということを前回書いた。

具体的にはどういう便があるのか。アシアナ航空のHPで検索した結果を以下に示す。

-->
行先 長崎発 ソウル着 ソウル発 現地着
シンガポール 10:15 11:45 16:20 21:55
バンコク 18:20 22:15
香港 15:55 18:55
サンフランシスコ 18:00 11:25
ロサンゼルス 14:40 8:40


-->
行先 現地発 ソウル着 ソウル発 長崎着
シンガポール 23:10 6:35 7:55 9:15
バンコク 23:10 6:35
香港 1:00 5:30
サンフランシスコ 23:30 5:30
ロサンゼルス 23:00 5:20
表が乱れている点はご容赦下さい。うまく行きません(苦笑)。

こうして行き先を示されたら、ソウルに向かう人以外にも乗客を集められそうな気がしないだろうか。特にロサンゼルスは結構いい時間帯になっていると思う。

帰りはみんな深夜便になる。深夜便は最終日まで現地で有効に時間を使うことができるし、帰ってきた日もそのまま仕事に行ってもいいし、ゆっくり休んでもいいが、現地での宿泊を減らせるのでホテル代を節約できるというメリットがある。

行きは確かにソウルでの乗り継ぎ時間が結構あるが、仁川空港は空港内でも時間が潰せるし、一旦入国して短時間の無料観光ツアーに参加してもいい。そこを考えても、長崎から福岡空港まで行って現地に向かうよりは、長崎空港からソウル乗り継ぎで行く方が快適である。

こうしたプランを県内の旅行会社で大々的に売り出せば、それなりの利用者は集まるのではないだろうか。前回リンクを張った記事にあるように、ソウル便の補助金利用申請者が5人、というのよりは、多く集まるはずだ。


続いて補助金の使い方だが、旅行代金5千円割引よりは、空港駐車場無料、のほうが効果は高いと思われる。

前回の記事にもあるように、長崎県内から福岡空港まで車で行って国際線を利用する人も多い。私も時々、福岡空港の国際線駐車場を利用する。ここは24時間1000円なので、5日で5000円かかる。まさに補助金相応の金額だ。

長崎空港駐車場の利用料割引に補助金の5000円を使えば、福岡空港の駐車場よりもっと長い日数分に充てることができる。長崎空港の駐車場であれば、県の補助金利用のためなら駐車料金の値引きも可能だろう。東南アジア方面へ行く人の駐車場利用は3〜4日だろうから、北米行きの人にはもっと長く使わせてあげてもいい。上限15日とかにしても、現在の旅行代金5000円引きよりは同じ補助金総額で多くの人に利用してもらえるのではないだろうか。


県の施策は申し訳ないが実際に旅行をする人の気持ちを考えているとは思えない。できれば私のような案も検討して、長崎空港の国際線利用者をもっと増やせることを願っている。

2018年12月2日日曜日

長崎ソウル便の利用補助金は税金の無駄遣いだ

ちょっと古い話だが、長崎空港発着の国際線利用者に補助金が出るが、特にソウル便の利用者が少ないというニュースが出ていた。

長崎就航2年 ソウル便 伸びぬ邦人客

私もソウルに用があることは無いのだが、トランジットで使えるかもしれないということで一度利用したいと思っていた。

今日、この便に乗ってみたので、その感想を書く。


参考までに、上の記事で重要な部分を引用しておく。
県などでつくる県空港活性化推進協議会と日本旅行業協会(JATA)長崎支部などは長崎-ソウル線、長崎-上海線の旅行商品の代金を先着200人を対象に5千円値引きするキャンペーンを10月27日から11月末まで展開中。ただ、8日時点で長崎-ソウル線の商品に申し込んだのは4人だけ。同室は「ぜひとも利用してほしい」と呼び掛けている。
本稿はこの値引きキャンペーンが無駄なお金だ、と言いたいのだ。


最初にこういう補助金にはどんな効果があるのかを考えてみる。

今回のような一時的な補助金は、一度利用して利用者に良さを知ってもらい、次回以降は自費で使うことにより、価値が生まれる。そう、自腹を切ってでも使おうという気持ちを持ってもらえないのなら、補助金は全くの無駄になるのだ。

補助金が出て安いから利用しよう、安くないのなら使わない、というケースもありうる。その場合は永続的に補助金を出し続けないといけないのだが、果たして補助金を出してまで路線維持をするメリットがあるのか、という別の価値判断が必要になる。今回のケースは違うので、その議論はしない。


なぜソウル便の日本人利用者が少ないのか。長崎から韓国への旅行客が多くないということもあるが、この便の最大の問題点はソウル発の時間が早すぎることだ。引用した記事中にも触れられているが、ソウル発は朝7時55分。空港に2時間前に着く必要があるので、6時頃には空港に着かないといけない。エアソウルはLCCなので時間には厳しいため、ここは絶対条件になる。市内のホテルから空港まで1時間程度かかるので、ホテル発は朝5時だ。そうすると、何時に起きないといけないのか。

入国審査の時に近くにいた旅行客のご婦人と話をしてみると、やはり4時起き5時出発ということだった。

私もホテルを5時前に出たが、これは避けたい。多分タダででも一度この行程を経験すると、もう行きたくないと思うだろう。つまり、補助金の目的を全く果たせておらず、逆効果にしかならない、ということだ。


このソウル便が全く使えないということでもない。ソウル仁川空港はいわゆるハブ空港であるため、ソウルで乗り継いで他の国に行き来する時には使えるのではないかと思う。朝が早いといっても、早朝にソウル着の便から乗り換えるのなら、ちょうどいい時間になることもある。

乗り継ぎで使うと言っても、宿泊を伴う場合はきついな、というのが今回の印象だ。まさに早朝着便限定でしか使えないだろう。トランジット利用で宿泊が必要になることは多々ある。成田空港近くにホテルが沢山あるのも、乗り継ぎ利用者が宿泊するためのものだ。余談になるが、羽田空港が国際化される前も、成田の方がソウル仁川より遥かに多くの人に乗り継ぎ利用されていた。また長崎から海外旅行をする場合に成田で前後泊することはは珍しくなかった。そういう利用者が成田ではなくソウルを使う、というのは、ちょっと勘弁、という気がする。


そうして最後にダメ押しだったのが、長崎空港での税関検査である。

私はこの数年、月1回平均位で日本に入国している。そして、今まで一度も税関で荷物を開けろと言われたことはなかった。

ところが今日初めて荷物を開けさせられ、金属探知器にも通させられたのだ。

出入国で時間がかかるというのは、その空港の利用をためらう大きな理由になる。例えば今回の仁川空港では、空港に着いてから出国審査が終わるまでに1時間近くかかった。これではトランジットで使う気になれない。

帰国時に入国審査でどれだけの時間がかかるかというのは、家に帰る時間が違ってくるので、できれば早く終えたい。

福岡空港で仮に審査が長引いて、長崎に戻る高速バス『九州号』が1本遅くなると、家に着くのが1時間遅くなったりする。タイミング次第で、入国審査の1分2分が命取りになることがあるのだ。飛行機の遅れで家に帰るのが遅くなるのは仕方がないとあきらめがつくが、税関でつまらないことに時間を取られて遅くなるのは、非常に不愉快だ。

福岡空港の場合、日本人だとすんなり通過できることが多いので、ここでストレスを感じることはない。しかし今日は長崎空港で時間を取られて、危うくリムジンバスを1本逃す所だった。1本逃すと30分遅くなったりすることもある。幸い出発間際のバスに乗れて、実害はなかったが。


長崎空港発着の国際線を利用しようと思うためには、いろんな要素がある。値段だけではなく、出入国手続きの手間や航空会社の快適性などである。

私も一度だけシンガポールに行く際に、長崎発着上海乗り継ぎを利用したことがある。結論としては、もう使いたくない、という印象を持った。

その理由は、中国東方航空のサービスレベルが低いこと、乗り継ぎの上海浦東空港が快適に過ごせないことなどである。

もちろんメリットもあって、値段が安いこと、時間帯がいいこと、長崎空港での出入国がスムーズに行くことが挙げられる。

実際には福岡空港からキャセイパシフィック航空を使って香港経由で行くことが多い。それはキャセイパシフィック・キャセイドラゴン航空のサービスレベルに満足できていること、香港空港でのトランジット時間を快適に過ごせること、香港で乗り継ぎのために1泊することもあるが、宿泊地としての香港の魅力が高いことなどが挙げられる。

上海乗り継ぎだけでなくソウル乗り継ぎでも条件を比較してみたい。長崎ソウル線に就航しているエアソウルはアシアナ航空とコードシェアを行っており、ソウルから先はアシアナ航空を利用することになる。アシアナ航空には乗ったことがないが、多分サービスレベルには満足できると思う。しかしソウルに宿泊地としての魅力を私は感じない。

最初のテーマに戻ると、ある路線を利用するには値段以外のいくつかの要因があるので、補助金を出して値段のメリットを出した所で、他のデメリットを打ち消せなければ、補助金の効果はないということになる。

そして長崎空港の税関の問題。これも長崎空港国際線利用のメリットを見事に打ち消してくれた。もちろん金の密輸が多発しており、地方空港が狙われているから厳しく検査しないといけないのはわかる。しかしそれが原因で福岡空港を使った方がいいと思われるのでは、元も子もない。税関検査が原因でその空港が避けられることがあるというのは、フランクフルト空港が実証しているので、長崎空港はそうなって欲しくない。

もちろん長崎空港の審査を緩くして欲しいと言うつもりは毛頭ない。福岡空港と同程度になればいいだけである。ちなみに、長崎空港は長崎税関の、福岡空港(対馬の厳原・比田勝も)は門司税関の管轄になる。

税関の立場からすると、地方空港が密輸で狙われるのであれば、わざわざ地方に職員を配置してコストをかけるよりは、極力地方空港を使わせないようにして拠点空港に利用客を集めた方が効率的だということにはなる。

私は今までどこの税関でも荷物を開けろと言われたことがないのだから、税関職員から見て私が怪しい人間でないのは間違いないはずだ。長崎だけ厳しいというのは長崎空港を避けたいという理由になってしまったので、その辺は職務遂行にあたって税関側も考えて頂きたい。

2018年1月29日月曜日

インバウンド観光客の増加には新幹線と定期航空路が不可欠

先週仕事で香港に行ってきた。
今日はその時の話題を書く。

香港人の通訳の人が、先日九州に旅行に来た、という話をした。どこへ行ったのか聞くと、福岡と熊本と言う。

そして熊本では、熊本城はさておき、「くまモンスクエア」に来て、くまモンに会ったと言って写真まで見せてもらった。

くまモンスクエアにいつもくまモンがいる訳ではない。HPにくまもんがいる時間を公開しているので、それを見て、くまモンがいる時間に合わせてくまモンスクエアに行った、ということである。

そして長崎には来たことがあるのか聞いたら、無いという。香港人で長崎に来る人は少ないとも言っていた。理由は、新幹線が走っていないことと、直通定期航空路がないことである。

香港と鹿児島との間には定期航空路がある。そのため、九州新幹線を利用して、福岡から入国し鹿児島から帰国する、などのルートで旅する人が多いとのことである。

このことは以前からわかっているのだが、果たしてそれを長崎の人がどれだけ理解しているのであろうか。

もちろん香港からの旅行者を増やすためだけに新幹線を作るべきだ、というのは言い過ぎである。

しかし、「自分には必要がないから」という理由で新幹線建設に反対する、というのはいかがなものかと、常々私は思っている。

昨日書いた新長崎市庁舎の話にも共通するが、「自分が必要だと思うかどうか」だけを中心に物事を判断するという姿勢は、もうやめて欲しいのだ。昨日の繰り返しになるが、長崎の人がどうするかを中心に長崎のことを組み立てても、ジリ貧になるのは明白である。今は他所の人がどう思うのか、から考えるようにしなければならない状況なのだ。

再度繰り返す。「自分には必要ないから要らない」という発想は、もうやめよう。




香港からの帰りの飛行機で航路を撮ったもの。香港発福岡行きの飛行機は、長崎市、長崎空港、ハウステンボスの上空を通って、福岡空港に向かう。

いつも思うんだけど、この飛行機が長崎空港に着陸してくれれば、どれだけ楽か。そう、私が楽をしたいから、香港と長崎を結ぶ定期航空路が欲しいのである。

2016年7月5日火曜日

長崎空港に経由便を活用した国際線誘致を

長崎空港を発着する定期国際線は、現在、週2便の上海線だけである。

これだけインバウンド客が増え、九州の他の空港は台湾や香港と結ぶ路線が続々と開設されているという社会情勢の中、長崎空港は、一時期多客期には毎日運行もされていたソウル線が平成27年11月に撤退し、現在は上海線のみになっている、という惨状である。

長崎はアジアの人から観光地として人気がないのか、というと、そうではない。

例えばこの台湾人のブログ、県内のかなり細かい所をまわっている。日本人でも長崎県民でも、ここまでツボを押さえた行程の旅行はできない、という感じの素晴らしい内容である。

このブログで他に採り上げられている国内観光地を見てもらえばわかるが、台湾人にとって長崎は、日本全体で見ても魅力のある場所だというのは間違いない。またアジア諸国では、個人ブログが他の人の行動に与える影響は、日本と比較にならない位大きい。こういうブログの影響で、長崎観光の需要がさらに高まっているのだ。


ではなぜ長崎空港に香港や台湾からの定期便がないのか。チャーター便なら何回も就航しているにも関わらず。

その理由を私は知らないが、あくまで一般論でいえば、日本人の利用者が見込めず、トータルで路線を維持できる客数にならない、ということはあるようだ。長崎からのソウル線が廃止になったのも、それが理由の1つだった。

となると、長崎空港から国際線を利用する客を増やさないといけない。その時に、例えば香港路線であれば、香港だけでなく、香港で乗り継いで東南アジア諸国やヨーロッパに向かう人も、長崎空港から香港行きに乗ってもらうことで、利用者は増やせる。

私はヨーロッパに向かう際、福岡空港から香港経由で行くこともある。羽田や成田で乗り継ぐこともあるが、香港空港は魅力のある空港なので、特に日本から(ワンワールド加盟社の)直行便がない都市へ行く際には、香港経由を積極的に使っている。

香港をベースとするキャセイパシフィック航空は、ヨーロッパ路線の発着時刻を、香港発を夜0時台、香港着を朝6時台に揃えている。つまり、香港に夜11時頃着、香港朝8時発、のようなスケジュールにすると、長崎からヨーロッパへの乗継がものすごく便利になるのだ。

福岡便の所要時間をあてはめたダイヤを想定すると、

香港 8時15分発  長崎 12時40分着
長崎 19時40分発  香港 22時10分着

こんな感じだ。
香港から長崎に来る観光客にも使いやすい時間帯だろう。

しかし、これだと長崎空港に機材を7時間も遊ばせることになる。航空会社は、できるだけ機材を休むことなく使いたいので、こんな無駄なダイヤを組ませるのは難しい。


そこで、この時間にソウルまで飛んできて貰うのだ。
実際には、香港発長崎経由ソウル行き、という路線にすればいい。そうすることで、運休中のソウル路線の埋め合わせも同時にできる。

香港 8時40分発  長崎 13時05分着 14時05分発  ソウル 15時30分着
ソウル 16時30分発  長崎 17時50分着 18時50分発  香港 21時20分着

これでどうだろう。あと1時間遅くしてもいい。
ちなみにこの時間だと、香港でその日のうちにバンコク行きに乗り継ぐことができるので、バンコクに当日中に(日付は変わるが)着けるというメリットもある。

ちなみにこのダイヤだと、ソウルでアメリカン航空のシカゴ、ダラス便に行き帰りとも乗継できる。キャセイパシフィック航空(CX)とアメリカン航空(AA)は同じワンワールドアライアンス加盟社(日本では日本航空(JL)が加盟)なので、香港ソウル便がAAとCXのコードシェア便になれば(AAとCX、JLは多くの路線でコードシェアしている)、アメリカン航空のチケットで長崎からシカゴ、ダラス、さらに乗継で北米各地へ、安く便利に旅行することができる。

こうして見ると、アウトバウンドが弱いと言われる地方空港の国際線も、路線とダイヤ次第で何とかできるのではないか、という気になる。


ちなみに、経由便にするということでいえば、香港から台北経由長崎行き、という路線も考えられる。こうすることにより、香港台湾双方からのインバウンド客を集められるという魅力があるし、実際にキャセイパシフィック航空の香港福岡便は台北経由である。

その福岡便のダイヤを長崎にあてはめてみると、こんな感じになる。

香港 8時50分発  台北 10時45分着 11時45分着  長崎 15時20分着
長崎 16時20分発  台北 18時00分着 19時00分発  香港 21時05分着


こういう感じで、是非長崎空港の国際線を拡大してもらいたい。