2019年6月17日月曜日

ゲストハウスブームはユースホステルブームを思い出す

先日、東京で行われた、『令和時代の働き方とライフスタイルについて考えよう!』というイベントに参加してきた。長崎に拠点がある「HafH」というサービスの説明も聞きたいのが、目的の一つでもあった。

具体的なHafHのサービスについてここでは説明しないが、簡単にいえば、どこか一箇所に拠点を構えるのではなく、世界中を旅しながら仕事をして生活をしよう、ということである。

最近、ゲストハウスが流行っているようなことを聞いた。インバウンド旅行者が増え、その人たちが安価に泊まれる宿としてゲストハウスが増え、そこで国際交流をしようとする日本人も増えている、という流れであろうか。具体的に調べてはいないが、近年ゲストハウスの数は増えているのだろう、とは思う。

その話を聞く中で、なんか昔のユースホステルと同じような文脈だな、と感じてしまった。詳細は省くが、ユースホステルはチェックインの時は「お帰りなさい」「ただいま」で、チェックアウトは「いってらっしゃい」「いってきます」である。原則会員制で、世界中にユースホステルの加盟宿舎があり、部屋はドミトリー、夜はミーティングがあって宿泊者が交流して、みたいな感じ。当時はインターネットなんてなかったから、海外(国内でもそうだが)の宿を探す時にはユースホステルの施設ガイド冊子を見て宿を選ぶ。

今回講演されたHafHの方は、加盟施設を開拓するのが現在の仕事だそうだ。ううん、もうこれ、宿泊料金を月額定額制にしているのが新しい部分で、コンセプトはユースホステルと同じじゃないのか、と、素朴に思った。

今回の主催者や参加者は1990年代以降生まれの人が中心。もうバブル後生まれの人だ。ユースホステルが日本で流行ったのはバブル以前なので、その時代を知るはずもないし、興味もないとは思うが、事業として成功させるには、過去の経緯も知っておいた方がいい、とは思った。


それはさておき、最近は若い世代、1990年代以降生まれの人が元気なのかな、と思うようになってきた。私は1970年生まれで、バブル世代と氷河期世代の狭間。私より上の世代(現在50代以上)が元気で、下の世代はさっぱり、という感じである。各種のイベントで、中心になって活動するのは私より上の人たちで、下はさっぱり、というのは、結構いろんな所であてはまるのではないだろうか。

そして今は、そのさらに下の1990年代以降生まれの人が元気になってきたのかな、と感じるようになった。

HafHが提唱する「アドレスホッピング」という考え方も、そういえば私より上のバブル世代的だという気がしてきた。

そもそも居住地を固定しないとなると、自分1人ならいいが、結婚して子供ができれば家族はどうするのか、という問題がすぐ発生する。「そこは考えない。そうなった時に考える。」というのが、バブル世代だった。

「後のことを考えない」で済むのは、「後のことは、その時にどうにかなる。」という思いが根底にあるからだ。バブル世代はそうだった。バブルが弾けるなんて考えもしない。就職は簡単で、困ったらいつでも仕事は見つかる。そういう世代だ。

その後の氷河期世代。もう仕事はない。今でも食えないのに将来いつかは食えるとは、思いもつかない。だから安定した職を見つけないといけない。公務員が大人気。その世代の人には先のことを考えずに今を楽しむ、なんてことは、到底不可能。仕事以外のイベントにも参加する余裕はないし、そもそも仕事がなくて稼ぎが低い中で、プライベートの活動にお金をかけることは、できるはずがない。

それがもう一巡まわってきたのかな、という気がしてきた。近年、就職状況は改善し(これは政治の問題ではない。日本の人口構造が団塊の世代に偏っていて、その人たちが離職して職が一気に増えているのに、若年層の人数が少なくて、補えていないだけだ。)、バブル時代のように「いつでも職は見つかる」という発想になってきたのではないか。だから、世界を放浪するとか、アドレスホッピングというようなことに思考がまわるようになった。


私の世代だと、世界をバックパッカーとして放浪する、なんてのは一世代上の人たちだな、「兼高かおる世界の旅」(1990年終了)を見て育った人たちだよ、という気がするのだが、それが今もう一巡してきたのかな、というのが、先日のイベントに参加した感想である。そういえば、今回の主催者は桃岩荘の「愛とロマンの8時間コース」に参加したことがあると言っていた。あれまだやっていたのかよ。